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oh…好きすぎるッ、太宰さんが求めていた人物が乱歩さんで中也さんが太宰さんに片思い…やばい想像が止まらない…、太宰さんは織田作さんを失った喪失感からそんな人物を願ったのかな…、兎も角中也さんと乱歩さんは太宰さんが好きなのは分かりますが勝手に物扱いしないで欲しい… 安定で神作でした!この後の展開こ想像が膨らみます!有難う御座います!
ゆあです。
この話は中太中心、乱太要素ありの1話完結小説です。
中原視点で進みます。
織田作が死んでから少しの間は、太宰さんはまだポトマに居たかなーなんて考えながら書きました。
序盤はふわふわしてます。相変わらず下手くそです。
それでも大丈夫な方のみご覧下さい。
それではどうぞ。
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「この物語みたいにねェ、其の内この状況から私を救い出してくれる人が現れる筈なんだよ」
なんて、2人で安っぽい恋愛ものの映画を見た直後に太宰がぽつりと言った。
「私とその人以外の全員が異常な世界で、異常に見える世界で、二人きりで生きていくって決めるの。何処か、遠い所で」
此奴、、映画と全く違う内容をぶっ込んできやがった。随分と夢見がちな話だ。濃すぎて、逆に安っぽい。太宰がこんな話をしてくるなんて珍しい。
「其れは、此処じゃ駄目なのか」
俺の言葉を聞いた太宰は俺から返答があった事に驚いたのか少し目を見開いて、数秒経ってからゆっくりと目を閉じ、少し微笑みながら言った。
「そうだよ。此処じゃ駄目。駄目、というか、兎に角、此処じゃないの。此処じゃ無い何処かで、二人で生きていこうねって誓い合うんだ。素敵でしょう? 」
「死にたいんじゃねぇの」
「其の人となら生きたいって思える筈なんだ。絶対そう」
「其の人ってのは前に死んだ織田とかいう奴の事か?未練ったらしいなァおい」
太宰は首を横に振る。
「んーん。違う」
「じゃあ誰だよ」
「誰かなぁ、私より頭のいい人かな」
「癪だが、そんな奴いねェよ」
「いるよ。きっといる。何処かには、必ず、いる、、」
その口調は何処か自信がなさげだった。
「……お前はお姫様みたいに其奴を待ってるだけか?」
「あー、、確かに。今時待つだけ守られるだけのお姫様は古い。行動を、起こさなきゃねェ。明日か、明後日か、その次にでも……ていうか、私がお姫様なんて柄に見えるのかい?気持ち悪い蛞蝓だなぁ。私の事、えっちな目で見ないでね」
「誰が見るか!!!!!!!」
彼の下級構成員が死んでからというもの、此奴とふざけ合ったのは久々な気がしたから嬉しかった。少しだけ。
だからか知らないが、太宰が話した夢見がちな童話の中のような話は、もう、どうでも良くなっていた。
数日後、太宰はポートマフィアを抜けた。平和で馬鹿みたいな会話をした数日後だ。
其の知らせを聞いた瞬間、鮮明に思い出した。脳内で消えそうになっていた太宰の浮かれた話の内容を。
王子様が現れたのか、自ら行動を起こしたのかは、もう、俺に知る由は無かった。
其れから、何年後だろうか…二年か、もしくは三年後くらいに、砂色の似合わねェコートを着て歩いてる太宰を見かけた。
探偵服の奴と一緒に。
太宰は何処か大人びていて、でも妙に生き生きとした、見た事の無い顔をしていた。
他にも知らない奴と歩いている太宰を何度か見かけた事があるが、あんな顔の太宰を見るのは初めてだった。
あれが太宰の王子様か?太宰が求めていたのは彼奴か?じゃあ、彼奴と太宰からしたら俺は、異常に見えるのか?その他大勢の異常な奴らに紛れて。
そんな中、一つの大きな問いがうまれた。
俺じゃ、駄目だったのか?
なんとなくあの馬鹿げた話を聞いた時から思っていた。其の王子様、とやらに、もしかしたら俺がなれるかもしれない、なんて。
太宰より頭の良い奴なんかいる筈がないと思っていたし、過ごした時間も長かったから。
そして何より、何度か寂しい夜をお互いの体で紛らわせた事があったから。
そんな悶々とした気持ちになった一年後、共喰い事件の時。あの探偵服を着た奴に、あの名探偵に、小説空間に閉じ込められた時に言われた。
割れた鋭利な硝子片を連想させるような鋭く小さい笑みで、
「太宰を奪っちゃってごめんね」
と。
嗚呼、むかつく。なんで俺じゃ駄目なんだよ。其れにあの名探偵、可笑しい程に頭が良かった。多分、太宰より上の、太宰が求めていた奴。つーか、俺が太宰にこんなに頭を遣うってのも気に入らねェ、第一、気色悪ぃ。俺と太宰はそんな間柄じゃねェ。そうだよなァ、自分が1番判ってた筈なのに…
なんか、もう、めんどくせェ、考えんのとか、全部。
そこで俺は思考を放棄して、我武者羅に葡萄酒を体に流し込んだ。かなり金をかけた酒だったが、味はほとんど覚えていない。
あの名探偵で、王子様な、むかつく男だけは、潰す。何がなんでも、何処かの機会で、絶対に。
そして太宰も……取り返してやる。元々俺の所に彼奴がいたかと言われれば微妙だが…そこら辺はどうでもいい。兎に角太宰を取り返すんだ。其れが今の俺の戦いだ。彼奴に劣らない、『王子様』になる為の、負けられない戦い__。
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ここまで、、誤字脱字等ありましたらすみません🙇♀️
最近一話完結ばっかり書いてますね…面白くなかったらごめんなさい。
江戸川も中原も、『奪う』とか『取り戻す』とか、そうやって物みたいに太宰を扱うなよ、、なんて思いながら書いてました(何様)。
楽しんでいただけたら幸いです!
それではまた次の時に。