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目が覚めた
重い瞼を持ち上げるとそこはあの日の惨劇がそのままにあった
惨い、そう言えばさっきから頭に違和感がある
なんだか重い…?というかなんだろう、触ってみるか
?!
なんだコレ…俺の頭の両端…耳の上くらいか…?
羊の角みたいなモノが生えてる…?!なんでだ?!
視界も狭い、片腕が無い…!
【当たり前だろう】
え、誰…?
【我だ】
チラッと見るとそこには小さくなったあの妖精さんがいた
「よ、妖精さん?どうしてそんな姿に」
【妖精さんだと?我の名前はクラークだ覚えておけ】
「クラーク?」
【あぁ、クーリーで良い。主】
「主って…僕が?!」
【あーうっせぇうっせぇ】
「ひどくない?」
【もう良いだろ、てか良いのか?兄貴あそこでぶっ倒れてんぞ】
「あっ!兄さん!」
駆け足で兄の元へ行く
そこで見たものは、
「に、兄さん…?!」
兄には左目が抉り取られていた、そして右腕も無い
「大丈夫、?!兄さん、!」
【大丈夫だバカ、我が貰ったが中々美味だったぞ】
「食ったのか?!なんで!」
【あ”ぁ?!お前がにいさ〜んにいさ〜んって喚くからお前らの目と腕で我慢してやったんだろうが!】
【分かってんのか!生き返らすんだぞ!死に際の!人間を!その意味理解しろ!】
「ッ……、」
【分かったようだな、取り敢えず起こせ】
「うん、ごめん」
【謝んなくていーよ、ダァホ】
「ありがとね、クーリー」
【……、ケッ…】
「んん…、ぁ…」
その時、兄さんが目を覚ました
兄さんは啞然とした顔で言った
「アキト!お前目は?!腕はどうしたんだ!それにその角…、」
「兄さんもだよ…」
「えぇ…?!ほ、本当だ…あ、でも角の形…触った感じちょっと違う…?」
「そういえばそうだね、なんでだろ」
【んーーー……、説明すると。黒い子、お前は蘇生という魔術、つまり禁忌だ。それを犯したお前は悪魔の象徴とも言える山羊の角。そして白い子、お前はその術者の反対、つまりは神だ。だからお前の角は羊。お前らは2人で1つ、だが対比せざるおえない者達。分かったか】
「なるほど…、あと思ったんだけどなにその黒い子とか白い子とか」
【だって我お前らの名前知らねーもん】
「でもなんで白い子、黒い子な訳?」
「ちょ、ちょっと兄さん」
【単純だ。お前は頭の毛が白いから白い子、お前は頭の毛が黒いから黒い子。】
「はぁ……、良いか?私の名前はアヤトだ、白い子じゃない」
「僕もアキトって言う名前があるんだ、黒い子じゃないよ。」
【ったく…めんどくせーなー、分ーったよ】
「で、今更なんだけど何で私らにはそれぞれ片方ずつ目と腕がないんだ?」
【あ?そりゃ代償だよ代償】
「代償?」
【アキト?がお前を助けるために申し出た時のだよ】
【死に際のヤツ生き返らすにはそれだけの代償がいるんだよ】
「なんだって…?!」
「……ごめんなさい…、兄さん。僕のせいだ…。僕が兄さんに生きてほしいって思ったから…禁忌の魔術で…兄さんを人間でなくならせちゃった…。」
「それに…目も、腕も…」
「……、」
「ごめんなさい…、ごめん…っなさい…生きてて欲しかったの、死んで欲しくなかったの…ッ…ごめんなさい…ごめんなさい、」
僕はとうとう泣き出した、そりゃそうだ。
僕が愛する人を、頼みもなしに勝手に助けて、あまつさえ人間である事をやめさせただなんて。
もしかしたらあのまま兄さんは人間のまま死にたかったのかもしれない。
嫌われて当然、恨まれて当然だ
「アキト」
「っ…、」
ぽんっ…
!
慌てて兄を見る、するとそこには穏やかな笑みで俺の頭を撫でる兄の姿があった
「ありがとな、お前がいなかったら兄さん死んじゃってたよ。ありがとう、優しいなぁ…凄いなぁ…」
「っ…、うぅ…っ…兄さんっ…」
僕は思わず抱き着いた、兄さんからは生きている温かみが得られた。それが酷く安心できて、涙が止まらなかった。
「アキトは相変わらず泣き虫だね。私の可愛い可愛い弟よ」
兄は俺の額にキスを1つ落とすと
「これからは2人、いやクーリーもいれたら3人かな(笑) 」
「3人で協力して生きていこう」
「クーリーの反応とか見てると、多分私たちは死ねないんだろう?」
【ま、そうだな】
「えぇ?!そうなの?!」
「え、アキト知らなかったの…?」
「私でも分かったよ…?」
「兄さん凄いね…」
【お前アホ過ぎんだろ】
「はぁ!?酷い!」
「まぁまぁ…取り敢えず、街まで降りようか。このままだと私達、野宿だよ」
「僕…お腹空いちゃった」
【我もー】
「じゃあ早く行こっか」
「うん」
【おう】
そんなこんなで僕達は街まで行くことにした