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「ねえ、一つ聞いていい?トリスタン」
「ああ、なんだ?」
今日はアルフェリズの近場のダンジョン、蟻の営巣の40階層に行ってきた。
その帰りだ。
蟻の営巣は昆虫型の魔獣が沢山出るダンジョンだ。
クロエ曰く、震天雷を使わない実戦経験をもう少し積んでおきたい、ということらしいので、ここにしてみた。
LV98の星騎士が今更実戦経験と言うのも意味が分からないんだが。
ただ、確かに最初は動きが堅いというがぎこちなかった。
なんというか、理想的な動きに体がワンテンポついていっていないというか、ぎくしゃくした感じだ。
戦っているうちにその辺は解消されていったが……やはりクロエの居た世界と言うのはどういうのだか分らんな。
ダンジョンの中は要石で目標階まで飛べるし、帰りは脱出のスクロールがある。
とは言え、ダンジョンへの行き来は歩きだ。
そして、今はその帰り道、森の中の獣道って感じの細いでこぼこ道を歩いている。
「あのトールギルと決闘っていうのしてたでしょ?」
「ああ」
「ああいうのはよくあるわけ?」
「いやー、あんまりないな」
基本的に冒険者同士は戦わない。
神託教会が禁じているというのもあるが、それ以前にやる意味が殆どない。
勝って相手の装備を取り上げたりすれば教会を追放されて賞金首にされる。戦っても経験値が得られるわけでもない。
万が一にでも勢い余って相手を殺せば、これまた賞金首。
自分が死んでしまえば意味がないし、死なないにしても痛い思いをすることになる。
決闘をやるのは、重大な侮辱を受けて名誉を傷つけられたから損得は関係ないって時か。
あとはクリア報酬の武器とかを複数が装備できて意見が纏まらない時に、後腐れなく決着をつけるためにするとか、そのくらいだな
「そっか、この辺は同じなのね」
クロエが頷きながらいう
「ミッドガルド・オンラインはPKのシステムは無かったのよ。
あんなのトラブルのタネになるだけだからね。とはいえ、それでもやるバカはいたけどさ」
プレイヤーキルとは何なのか。
こいつが言う言葉には分からない言葉も多い。向こうの世界とやらの言葉なんだろうが。
#執着攻め
#ファンタジー
#メスガキ
とはいえ、説明してもらっても意味が分からないことも多々あるんだが。
「そういえば、チーターってこの世界にもいるの?」
「なんだそれ?」
そんな神職は聞いたこともないが。
「クラスか?」
「そうじゃなくて、ズルする人のこと」
「ズルってなんだ?」
「不正な手段を使って得しようすること、かな。説明が難しいね」
「神託教会と組んでズルするってことか?それは無いな」
神託教会は教義だ何だとうざったいし、あいつらには色々と言いたいことはあるが、基本的にはフェアな組織だ。
ドロップアイテムの買い取りにしても、同じ品物は売った奴がレベル1の駆けだしでもレベル99の最強の騎士でも同じ値で買い取る。
「そうじゃなくて、例えば経験値を倍にするとか、ステータスをいじるとか、そういうの」
「いや……そんなことできないだろ」
経験値もステータスも神が管理する領域だ。人間が触れる部分じゃない。
勿論、レベリングのように、戦い方を工夫して誰かに経験値を稼がせることはある。だが、倒した時に得られる経験値の数は万人に平等だ。
ステータスもレベルアップしたときに神が与えてくれるものだ。
そこに人の意思は介在する余地はない。俺達に選べるのはクラスチェンジだけだ
「ただ……昔そう言うのがいたっていう記録はある。悪魔と取引をしたもの、と言われたらしいな」
そう言うと、クロエが嫌そうな顔をした
「そいつはどうなったわけ?」
「神の領域を犯したわけだからな。神罰としてステータスウインドウを砕かれて死んだらしい……確か」
詳しいことは知らんが。アルフェリズに戻れば記録があるかもしれない。
とはいえ、そもそも真偽定かならぬ話だ。レジェンドクラスみたいなもんだな。
「なら良かったわ。この世界の運営と言うか神はチート野郎には厳しいわけだ」
「なんでそんなこと気にするんだ?」
聞くとクロエが嫌なことを思い出したって感じで顔をしかめた。
「あたしの世界にね、いたのよ。そういうのが。チートでステータスいじって、配信で稼いでさ。ヴァロア・スレイプニルとかいう気障ったらしい嫌な奴。しかもやり方が巧妙なのよね。だから運営も困ったみたい」
「なるほど」
運営なる言葉はたまにクロエが言うが、俺達が言うところの神に近いものらしいと言う事が最近分かってきた。
チートと配信なる言葉は初耳だ。
「あたしもだけど皆は真面目にレベリングしてたってのに。
なんかもうミッドガルド・オンラインそのものをバカにされてる気がして本当に……って聞いてる、トリスタン」
「ああ、聞いてる」
その話はアルフェリズに戻るまでの1時間ほど、延々と続いた。
チート野郎なるものが何だか俺にはわからんが、余程嫌いだったんだろう。
とはいえ、普段あまり好き嫌いを見せたりしないクロエのそう言う姿は少し新鮮でなかなか面白かった