真昼間に出せるようなテンション感のアレじゃないので深夜に失礼します🖐🏻🖐🏻
𓏸 黄桃
𓏸 R18
𓏸 死ネタ
𓏸 病気ネタ
𓏸 バドエン
👑「…..癌が見つかったから、明日からでも入院しようか」
👑「個室用意しておくから、荷物もって近いうちにまた診察来てね」
医師に告げられた突然の入院宣言。
医師は深く深く頭を下げて、ごめんなさいと言わんばかりに俺の手を弱々しく握った。
🌸「…..もう治療とかは大丈夫です」
🌸「母子家庭ですし、うち裕福とは程遠い家系なんで。」
知ってるよ。俺に個室部屋を用意する時点でもう希望はかなり薄いだなんてこと。
緊急治療に臨んだって治る確率なんて何処を探してもないんだから、もう救おうとしないんでしょ。
ただ、まだ生きている人を半殺しにするには病院の評判としては悪いから助けるような素振りは見せるだけで。
👑「っでも…まだ希望が完全に無くなった訳じゃ…!」
診察や治療を一回してもらうだけで、莫大なお金が必要になってくる。
どうせ直ぐ死ぬ俺にお金を掛けたって全て無駄になるだけだ。
女手一つで育ててくれたお母さんの大切な持ち金をそんなことに使いたくなんてない。
🌸「…..宝くじを買うことに馬鹿馬鹿しいと思う人が大多数いるのと同じですよ」
👑「…っ、でも僕はまだ諦めてませんからね」
不安げに揺れる黄金色の瞳。
彼は医者としては優秀で、少しでも救える命があるならばそれを見放すことを嫌った。
暗闇から連れ出すように手を差し伸べるなんて、俺にとってはとんだいい迷惑だ。
🌸「…..そうですか。」
控えめに会釈をして、差し出された医師の手を握り返した後に直ぐに離した。
無愛想な態度にも彼は嬉しそうにただにこっと微笑むもんだから、なんだか調子が狂いそうだ。
👑「お着替えの時間だよ!」
🌸「あーもう、自分で着替えれるっつーの!」
らんらんが入院してからはや2週間。
いくら経っても屈する様子のない俺に折れ、その後は案外すんなりと打ち解けてくれた。
👑「だめっ!少しでも体を動かすのは最小限にするの!!」
🌸「そんなんで変わるかよ」
少し嫌がるらんらんから病衣を脱がせて、また新しい病衣を着させていく。
らんらんの華奢で白い肌の背中には、痛々しく広がる無数の煙草の焼跡。
👑「…….っ、」
現在は母子家庭のらんらんだけど、過去にお義父さんからの家庭内暴力や肉体的攻撃などを受けていたことがつい最近発覚した。
煙草の熱と言うのは案外恐ろしいもので、皮膚に押し付けられては中々消えない。
🌸「…..みこと?紐結ばないの?」
👑「っうぇ…!?」
👑「あ、考え事しとった…..」
そんな状態に癌が発覚して入院。
治る確率なんかほぼゼロに等しくて、まさに泣きっ面に蜂の状態だ。
この子が一体何をしたんだと考える度に目尻が熱を帯びていく。
👑「…..ねぇ、らんらん?」
🌸「ん〜?」
医師の立場としても、俺自身としても。
そんな人間を客観的に憐れむだけなんて許されないことだと思い、そんならんらんを見兼ねてひとつ提案をした。
👑「…..最期に、俺がなんでもらんらんのお願い叶えてあげる。」
👑「といっても論理的に可能なものとかだと助かるけど…..笑」
最小限のお世話で、最大限の償い。
医師という立場に在りながらも最期まで結局治すことを諦めた俺自身への復讐も兼ねて。
🌸「…っなにそれw」
🌸「なんの子供騙しか知らないけど俺の事ばかにしてんの?もう高校生なんだけどw」
だからだよ。高校生という若さにして病気に打ち勝てずそのまま願いも叶わず朽ちていく虚しさがどれだけ苦痛か。
👑「….たまには逃げてもいいと思うよ」
👑「たまになら弱音吐いたって、泣きじゃくっても誰も怒らないよ。」
いつも彼は何かを見透かしていた。
死ぬことは怖いはずなのに、体全体でそれを優しく受け入れるかのように首を縦にしか振らない。
どうして癌と診断されてもパニックにならずにすんなりと受け入れることが出来るのか。
🌸「…….じゃあさ、夜にまたここ来て。」
🌸「そのときに言うから」
今じゃないと遅い時だって有るのに。
もし夜に亡くなってしまったらどうするのかなんてことしか頭になかったけれど、それがらんらんのお願いだと捉えて俺は頷いた。
👑「…..できるだけ今日は早く仕事終わらすからね。」
🌸「ゆっくりでいいってばw」
🌸「せっかちな先生だなぁ〜…」
らんらんの後ろにある大きな大きな病院の窓から覗く桜の木が、風によって花弁を荒らしていく。
そのままふわりと宙で舞った後、案外あっけなくコンクリートへと落ちてゆく。
👑「…..らんらんは桜みたいに綺麗だけど、桜みたいにはならないでね」
🌸「なに、月が綺麗ですね的な話?w」
👑「…….近いかもね。」
俺はらんらんに背中を向けて、ゆっくりと扉を引いて廊下に足を踏み出す。
だって今日は、いつもよりはやく仕事を終わらせる必要があるから。
🌸「…..お仕事頑張ってね」
👑「そっちこそ、俺がいないときに抜け出したりせんでよ?笑」
🌸「俺の事なんだと思ってんの?」
らんらんがくすりと笑う度に耳元の桜の飾りが無造作に揺れる。
君は、俺には折れていいけど風の強さなんかには折れずにずっとしがみついていてね。
👑「…..じゃあ、行ってくるね」
🌸「ごゆっくりどーぞ」
控えめにふりふりと手を振ってくれたらんらんの何倍ものの大きさで、俺はぶんぶんと手を振り返した。
🌸「確かに夜来てねって言ったけどさ…..21時は早過ぎない??」
👑「だって心配なんやもん、っ…!」
ベッドの上で大人しく読書をしていたらんらんは、驚いたように目を大きく見開いて俺を見つめた。
🌸「こんな心配性が医者ってまじか」
👑「ばかにしてるやろっ!?」
小悪魔みたいにクスクスと笑うらんらんと手を握ると、まだまだ全然温かくて安心した。
👑「…..それで、お願いって?」
🌸「ほんまに食いつくの早いなぁ…」
病院の大きな窓から覗く月の光を浴びながら、らんらんは俺の耳に口を近づけた。
🌸「…..おれ今高校生なんだけどさ、周りのみんな青春とかしちゃってんの。」
🌸「初キスはレモンの味だとか、えっちをしたら仲が深まっただとか、俺にはわかんない話ばっかり喋ってるんだよね」
らんらんの優しい吐息が俺の耳にふんわりとかかってどうにもくすぐったい。
どうにも反応出来ずにいると、らんらんは俺の手を恋人繋ぎに握り直した。
🌸「…..俺も、その話がわかるようになりたいなっていうのが俺のお願いかな。」
👑「……….」
恥ずかしそうにゆっくりと離れていくらんらんの顔に手を添わせ、優しく唇を塞いであげる。
🌸「…..っん、…..」
👑「…っふ、…」
🌸「ぁ、…っ…..んむ、…」
そのまま舌を差し込むと直ぐにらんらんからも舌を絡めてくれる。
可愛らしくてぎこちないキス音が脳に小さく反響して、らんらんは目を瞑っている。
👑「…..どう?らんらんの初キスは何味だった?」
🌸「…….れもん、味…?/」
👑「ほんまに?w」
恥ずかしそうに目線を逸らすらんらんに覆い被さるように、ゆっくりと押し倒す。
既に紅潮させたらんらんが愛おしくて、唇にライトなキスを落とした。
👑「…..俺と青春、しよ?」
病院のかたいベッドは、ミシミシと嫌な音を立てて小さく揺れる。
もちろん患者さんひとりが寝れれば良いものとしてつくられている為ふたりじゃ狭い。
🌸「っあ、…う…っん、…♡//」
🌸「ひ、…っあぅ、…♡♡」
初めての青春はきっとふわふわのベッドでかわいい女の子の同級生としたかったと思うけれど、青春が体験できたならいいかと妥協して俺で許して欲しい。
👑「っしずかに、…..♡」
👑「他の部屋の患者さん起こしたらだめやよ、っ…?♡」
月明かりに照らされてきらりと輝くらんらんの涙がこれまでに無いくらい美しくて。
🌸「っ、は…っひ、〜〜〜〜っ、゙…♡」
🌸「ぁ…っあ、…ゃ…..♡」
風でなびく桜みたいに小さく震える姿が今までに無いくらい愛おしくて。
👑「…っは、かわいい…..♡」
🌸「も、…っばか、ぁ…/(涙目)」
看護師さんも他の患者さんも、なんで俺がはやく仕事を切り上げたかなんて知る由もない。
でも、知っているのはらんらんだけでいい。
👑「っ、らんら…っ、…♡」
🌸「ひぁっ、゙…!?♡」
🌸「…っえ、あ…..ぉく、っ…..♡」
太腿を伝って流れる愛液も、ぐちゃぐちゃになった髪の毛も、はだけた病衣も、強く結ばれた片手も。
全部、ふたりだけの秘密でいよう。
👑「…大丈夫、俺はここにいるよ、♡」
🌸「っん、…やら、ゃ…あ、…♡」
有限なその儚い命を俺で溶かして。
死ぬ間際に思い出す誰かは俺にしてよ。
たまたま担当だった医者じゃなくて、最期に好きになった人って印象に塗り替えてよ。
👑「…..っね、俺の事…っすき、…?♡」
🌸「ん、っ…す、き…〜〜〜っ゙、♡」
🌸「すき、…っすき…゙♡♡」
ふたり一緒に手をぎゅっと結んで、お互いびくびくと腰を震わせながら目を瞑った。
「…..ご臨終です。」
一直線のままの心電図。
静寂な個室に差し込む眩い光とひとつの桜の花びらが歪んで見える。
何人ものの医師が昨日俺が過ごしたばかりのベッドを囲って、目を瞑り手を合わせる。
👑「…っやだ、…..いかないで、…!」
👑「らんらっ、…!」
ひんやりと冷たいらんらんの手は、握っても握り返してはくれない。
重たい瞼は開く様子がなくて、名前を呼びかけても応答なんて寄越してくれない。
📢「っちょ、みこと…!」
🍍「おい、お前…死人に触れるな!」
👑「うるさぃっ、…..だまって、…黙っててよ…..っ、!」
急性で状態が悪化してたんだって。
看護師さんが朝食を提供しに来たときには、気づいたららんらんは既に朽ちていて。
深夜に通り去った暴風によって全て落ちてしまった桜と共に、らんらんは息を引き取った。
🍵「っ、みこちゃん…違う部屋行こう?」
👑「…っ離して、はなしてよ、っ!」
👑「触んないで…っ、ねえってば、…!」
煙草を押し付けられたみたいになんだか身体中がヒリヒリと痛くて、鉄の棒で頭を殴られたように頭がガンガンと痛くて視界が朦朧とする。
未だに俺の目とお腹には、熱が留まっているまんまだ。
コメント
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わあああああッ!好きすぎる!💕 切なくて儚いの大好きです!✨️ 黄さんが心配症なの解釈一致すぎます!✨️ てか表現が美しすぎます!🫶 想像力分けてください(( 俺と青春しよ?の破壊力レベチすぎます😇尊すぎて発狂しました喉枯れました(乙) 最後黄さんが泣いてるところ更に儚い感じで最高です…!✨️ バトエンも好きなので最高でした!✨️
すごい好きです。星野さんの作品で一番好きです。黄くんが最後まで語り掛けてるとことかめっちゃすきです、感動しました。
黄桃ねー!いいかもねぇぇ。 流石バドエン厨🫵🏻🫵🏻 切ない感じとはれんちな感じを1つのお話に混ぜ込めるのさいてんの天才すぎて最高ちゃん✊🏻🥹 黄攻め最近大量発生すぎて困っちゃうわほんと頭痛い でもどのペアでも尊いのは変わんないんですね…………👉🏻👈🏻