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完結おめでとうございます!! アメリカ報われないな、、、それでヨシ!!((( ソ連復活したらナチも一緒に復活しそう
雪が激しく舞う崖の上。手袋の隙間から風が突き刺さるように冷たい。息が荒く、肺が焼けるようだ。俺は必死に駆ける。駆けながら、頭の中では二人の姿が何度も何度も浮かぶ――ソ連とナチス。
アメリカ「やめろ……!」
声が風にかき消される。届かない。近づこうとしたその瞬間、靴が雪で滑り、地面に膝を打つ。痛みよりも、心の焦燥が強く、何度でも立ち上がる。心臓は破裂しそうに早鐘を打つ。
崖の縁に、二人の影。互いに抱き合い、そして……崖下の暗闇へ体を預けようとしている。
アメリカ「やめろ……やめろっ!!!」
俺の声は震え、嗚咽となり、雪と風に飲まれる。両手を伸ばすが、届かない。手のひらの空気を掴もうとするだけで、何もできない無力さが胸を締め付ける。
ナチスの低い声が、風にかき消されながらもかすかに聞こえる。
ナチス「……お前のこと……好きだ」
ソ連の返事もかすかに届く。
ソ連「っ……!もっと早く言えよ」
俺は足がすくみ、声を上げることすらできなくなる。雪の中で、二人の体が崖から消えていく。空白と静寂だけが残る。目の前の世界が、崩れ落ちた。
俺は叫ぶ、泣き叫ぶ。
アメリカ「だめだ……だめだ……!」
崖の下から吹き上がる風が、二人の姿を持っていくようだ。俺は必死に追おうとするが、手を伸ばしても、踏み出すことすらできない。雪と風のせいで、視界が狂い、耳が詰まったようになる。
手元のスマホを握りしめ、震える指で連絡を試みる。ロシア、ベラルーシ……いや、もう、何もできない。何を伝えても、もう遅い。胸の奥の絶望が、叫び声とともに爆発する。
数日後、ようやく現実が追いつく。ロシアとベラルーシに、事実を告げる。電話口の向こうで、二人の声が震える。
アメリカ「……ソ連は……ナチスと……崖で……」
沈黙が長く続き、ロシアの声がかすかに震える。
ロシア「……親父…」
ベラルーシも、嗚咽混じりに小さく呟く。
ベラルーシ「……アメリカさん……」
俺はただ、電話越しに二人を抱きしめることもできず、震える手でスマホを握る。自分の無力さに、吐き気がするほどの絶望を覚える。
そして数年後。街灯の下で、一人、歩く。夜の風に凍えながら、思い出す。雪、崖、二人の体、最後に交わした言葉――あの光景が、何度も瞼に焼き付く。
アメリカ「……お前にまた会いたい……」
声は夜に消え、返事はない。ただ風だけが、あの時の絶望を運んでいく。俺は立ち止まり、目を閉じ、胸の奥に残る痛みと後悔を抱えたまま歩き続ける。
誰も救えなかった。あの時、手を伸ばせば――いや、どんなに手を伸ばしても、止められなかったのかもしれない。
雪に覆われた夜。俺は、一人、心の中でソ連と呼んだ。
届かない声に、ただ涙をこぼす。
終わり☆
ではまた!