テラーノベル
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「ああ。ずっと長い間一緒にいた相手と結婚できて、佐藤は幸せだな」
「う、うん、そうだよね。本当に……幸せだよね」
「……ああ」
「……だね」
急に空気が重くなったその瞬間、お店の看板が私達の目の前に現れた。
「こ、ここだね」
リーズナブルなのに質が良いと評判なだけあって、もう数組並んでいる。
その列の1番後ろに立つと、少し前にいた女性の4人組があからさまに表情を変えた。チラチラこちらを見ては、何か小声で話している。間違いなく龍聖君を気にしているのだろう。
わかるよ……
だって、こんな国宝級のイケメン、滅多にいないもんね。
そうは思うけれど、今はあまりこちらを見ないでほしい。ようやくできた2人だけの時間を邪魔されたくはない。
女性達の視線は私にも向けられ、「なぜあんな女が超イケメンの隣にいるの?」と言われているような気がした。被害妄想かも知れないけれど、かなり怖い目付きで睨まれると少し落ち込む。
4人ともかなりの美人で、スタイルが良くて、モデルさんみたいな容姿。涼香姉さん程ではないけれど、みんな眩しいくらい綺麗で輝いている。身につけている物も煌びやかで、地味な私とは全然違っている。
「琴音? どうかした?」
「えっ? あ、ううん。何でもないよ」
「もしかして、お腹空いて我慢できなくなった?」
「ち、違うよ! 本当に、何でもないから」
えっ……
その瞬間、龍聖君から伝わる温もりが一気に体中を駆け巡った。
手を握ってくれてる……?
そうわかった途端、そのおっきな手の感触に私の全ての意識が集中し、急に心臓がドクドクと早い音を立てて騒ぎだした。
すかさず2人の手元に釘付けになる女性達の視線。
龍聖君は平気なのだろうか?
相手は私だし、バカにされてるかも知れないのに……
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