コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
学校帰り、ふと海に行きたくなり、私は学校から近い海辺に向かった。
太陽に反射し、キラキラ光っている砂浜を歩く。
歩く度にジャリ、ジャリ、と音がした。
青色と水色のグラデーションになっている海を眺める。
……海って、羨ましい。
ただ、規則的にゆらゆらと流れるだけ。
私も、何も考えずに、海のようにただ流れていたい。
そう思うと、自然に海の方へ体が動いていた。
何故か、危ないという考えはなかった。
溺れる。流される。なんていう気持ちも感じなかった。
…そうだ。別に、死んでもいいと思っているから、怖いって感じないんだ。
膝まで海に浸かったその時。
人の気配がし、後ろを振り向くと誰かが座っていた。
全然気がつかなかった。人がいたなんて。
私の視線に気がついたその人は、一瞬だけ目を見開き、私に声を掛けてきた。
「海って、綺麗だよね」
「……は、?」
急にそんなことを言われて驚いた。
そんなところに居たら危ない、何をしている。そういうことを言われると思ったのに。
「青空も、青空に浮かぶ真っ白な入道雲も、すごく綺麗」
…この男の人はなんなんだろう。どうして急にそんなことを?
そう思いその男の人の顔をよく見ると、とても綺麗な顔立ちをしていた。
真っ白な肌にスッキリとした鼻。透き通ったグレーの瞳に、サラサラと揺れる茶色い髪。
年は、私と同い年ぐらいの高校2年生に見えた。