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氷咲 吹雪❄
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氷咲 吹雪❄
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男のあとを追って街の奥へと進むにつれ、綺麗な洋風の街並みは姿を消し、どんよりとした黒煙が立ち込める「工場街」へと景観が変わっていった。
金属が擦れ合う甲高い音と、蒸気が噴き出す音が響き渡る巨大な廃工場の前。
男は周囲を一度も振り返ることなく、重い鉄の扉の奥へと消えていった。
「ここに入っていったわね……」
「葵、気をつけて。中から嫌な匂いがする」
正一の言葉通り、工場からは油と煤の臭いに混ざって、焦げついたような「血の臭い」が漂っていた。
忍び込んだ工場の内部は、薄暗く、不気味な機械の音が鼓膜を揺らしていた。
無数の歯車やパイプが張り巡らされた巨大な空間。
その中央にある実験台のような場所で、先ほどの男――蘭堂 獅子丸が背中を向け、一心不乱に何か作業をしていた。
「よし……適合率は悪くない。これをギアに組み込めば、出力はさらに跳ね上がる……」
蘭堂の目の前にあったのは、分厚い鉄の檻。
その中に閉じ込められていたのは、鎖で固く縛られ、恐怖でガタガタと震える小さな妖だった。
「ひっ……助けて……っ」
「泣かないでください。君のような小さな妖でも、我が科学と融合すれば立派なエネルギーになるのですよ」
蘭堂の言葉には、憎しみすら感じられない。
ただの「部品」を道具箱から取り出すような、冷徹で無機質な口調だった。
「――そこまでよ!!」
わたしは真鍮の仕込み棒を叩きつけるように構え、蘭堂の背中に向かって叫んだ
「妖をなんだと思ってるの!? 意思も心もある生き物よ! 道具みたいに扱うなんて、絶対に許さないわ!」