TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

文豪ストレイドッグス 🎩 様の夢小説




⚠自己満夢小説

⚠意味不かも

⚠雰囲気重視

⚠前半→🎩side   後半→夢主side

⚠悲しい




それでもいい方はお進み下さい𓂃🚬️🫧













「ねえ、一本ちょうだい?」


誰もいない夜の喫煙所で煙草を吸っていると、後ろからそんな声が聞こえた。

ただでさえ小柄な俺に比べても一回り小さい彼女が、隣に歩み寄ってくる。


「やらねぇよ」

「えー」


拗ねて頬を膨らます彼女に、ふーっと煙を吹きかけると、途端に噎せ始める。そんな甘える時の子供のような顔で強請られたって、渡す気にはなれない。


「手前にはまだ早ェ」

「ちぇっ」


小生意気で、邪気のない純粋無垢な此奴を汚すことはできない。とっくに血にまみれた両の手では、触れることも許されない。だからせめて手袋越しに彼女の頭をくしゃりと撫でた。


ポートマフィアの俺と、普通の生活を送る彼女。

穢れた俺と、無垢な彼女。


本来なら対等に話すことも出来ない筈なのに、其れを知らないから彼女は俺を追いかける。俺は上手くかわす。其の繰り返し。


「んな顔すんなよ」


悲しそうな顔をして俯く彼女に、胸がズキリと痛む。其の顔をさせているのは紛れもない俺。自分が云った言葉に心の中で苦笑した。


「だって中也さん、手を掴んでないと何処かへ行ってしまいそう。二度と会えなくなりそうなんだもの」

「……」


何も云えなかった。未だ十七、八の少女。子供は子供なりに何か察したらしい。鈍感なくせにこういう時だけ勘が働くから厄介だ。

彼女が俺の手を掴もうとして、咄嗟に避けてしまった。


「っ……」

「……悪い」


味が悪くなった未だ長い煙草を灰皿に擦り付ける。表情を隠すように帽子を深く被って背を向けた。バサリと黒い外套が舞う。


「中也さん、!」


彼女の高い声が響く。絞り出したような声。奥歯を噛み締めて、其れをも聞こえぬふりをした。




例えるなら…俺は煙草、彼女はシャボン玉。

きっと彼女と会う事はもうない。あってはいけない。でもこれから先俺が彼女を忘れる事もなくて、何度も何度も夢に出てきては会いたくなるのだろう。きっと其れは、彼女も同じ。

どうか俺の事は忘れて、俺と違って穢れのない男と家庭を築け。













「一本ちょうだい?」

「やらねぇよ」


甘えるような声を出して云う。けれど彼は何時もくれない。


時々会うお兄さん。出会いは駅の階段で落ちかけた私を助けてくれたこと。其れから街で会う事が増えて、私はたまらず声をかけた。きっと私は最初から惚れていた。あの赤髪に魅入られていた。

彼は神出鬼没で、煙草の煙のように突然現れては瞬きする間に消えてしまう。

何の仕事をしてるのかも、何歳なのかも判らない。唯一判るのは名前と、吸ってる煙草の銘柄くらい。


「んな顔すんなよ」


私の頭を雑に撫でる。黒く分厚い革手袋。其れが中也さんが私を拒んでいるように感じて、余計に悲しい気持ちになった。


「だって中也さん、手を掴んでないと何処かへ行ってしまいそう。二度と会えなくなりそうなんだもの」

「……」


私の言葉に彼は返事をしなかった。数秒沈黙が続いて、彼は煙草を灰皿に擦り付けた。其れが別れの合図だと悟って、思わず手を掴もうとしたけど、するりと避けられてしまって。


「中也さん、!」


くるりと踵を返す彼の大きな外套が舞う。ふわりと苦い煙草の匂いが鼻腔を燻る。

いかないで。其の五文字が出ない。追うなと云われたような気がした。




例えるなら…彼は煙草、私はシャボン玉。

大人っぽくて素敵な彼に、幼稚で未熟な私が追い付く事はない。きっと今後私と彼が会う事はない。でも私は彼を幾度となく思い出して、毎夜のように夢に見るんだろう。彼も同じだったらいいな。

どうか私を忘れないで、たまにでも良いから思い出してね。

この作品はいかがでしたか?

1,300

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚