テラーノベル
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放課後の教室。部活の喧騒も遠くなり、カーテンの隙間から差す夕陽が床に長い影を落としていた。
机に突っ伏していたらんは、ドアが開く音で顔を上げる。
もう誰も来ないはずの時間に、決まって現れるのはひとり。
🎼📢「また待ってんのかよ」
低い声とともに、いるまが近づいてくる。
🎼🌸「待ってなんか……ない。帰れよ」
🎼📢「嘘つけ。俺が来るの分かってただろ」
強引に椅子を引き寄せて、らんの隣に座る。
その距離感は近すぎて、息が触れるほど。
らんは視線を逸らした。
本当は待っていた。けど、それを認めるのは悔しくて、口では否定する。
そんな態度すら、いるまは読んでいる。
🎼📢「ほら」
いきなり手首を掴まれる。
ぐっと力を込められ、らんは思わず顔を歪めた。
🎼🌸「……っ、痛い……」
🎼📢「痛いのがいいんだろ?」
囁かれ、胸が跳ねる。
否定したいのに、声は喉でつかえて出てこない。
いるまは鞄から細いリボンを取り出し、らんの手首に巻きつけた。
何度か結び、机の脚に固定する。逃げられない。
🎼🌸「や……っ、こんなの……」
🎼📢「お前が俺に依存してんの、こうやって形にしてやんねぇと落ち着かねぇだろ?」
反発の言葉は、いつも途中で奪われる。
顎を指で持ち上げられ、唇を重ねられた。
浅く舌先だけをなぞるような口づけ。甘さよりも、支配の意味合いが強い。
🎼📢「ビビってんのか? でも本当は、こういうのが欲しいんだろ」
らんの胸元に手が滑り込む。制服越しに指先が肌を撫で、背筋に電気が走る。
抵抗の言葉を探しても、縛られた腕は震えるだけ。
🎼🌸「……俺、ほんとに……壊される」
🎼📢「壊れてもいいだろ。どうせ拾うのは俺だし」
リボンの食い込む手首に痛みを感じながら、らんは目を閉じた。
怖いのに、それ以上に安堵している自分がいる。
縛られているからこそ、逃げなくていい。
囚われているからこそ、確かに彼のものだと分かる。
――依存。
それを認めるのは恐ろしいはずなのに、心のどこかで甘美に響く言葉。
夕陽が赤く教室を染める中、らんは囁いた。
🎼🌸「……俺は、いるまじゃないとダメだ。もう逃げられない」
🎼📢「そうだな。だからずっと縛ってやる。お前が望んでんだから」
縛りと口づけを繰り返しながら、二人は夕闇に沈んでいった。
それは愛か、束縛か。
もう区別も必要ない。ただ「彼だけ」だと証明できれば。
――この共依存は、甘い牢獄。
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