テラーノベル
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首領が死んだことが信じられなくて壊れてしまった最高幹部さんのお話です。一方通行の想いほど辛いものはないなあ。
伸びなさすぎてAIさんからしかコメント来ないの病むんですが。
1、落下
音は、思っていたよりも軽かった。
鈍く、何かが潰れるような音が1つ、やけに遠くで響いた気がして。
それが自分の立っている場所と繋がっているのだと理解するまでに、数秒の時間を要した。
屋上の縁に立ったまま、視線を落とす。
地面は、赤かった。
広がっている、というより、滲んでいる。
どこまでが境界なのか分からないほどに、曖昧に、ただ色だけが広がっている。
その中心に、形の崩れたものがあった。
輪郭は判別できない。
頭部だった筈の場所も、既にそれと分かる形をしていない。
ただ。
白い筈の包帯だけが、妙に鮮明だった。
赤に沈みながらも、それだけがはっきりと“それ”と分かる。
「….は」
息が漏れる。
理解はしている。あれが何で、誰だったのかも。
けれど、顔が分からない。
確認できない。
だから、現実が、どこかで止まる。
「……何だ、それ」
言葉にしても尚、実感が伴わなかった。
2、空席
部屋は、変わらなかった。
机も、椅子も、そのままの位置にある。
書類の積み方も、開け放した窓の角度も。
何もかもが、昨日の続きみたいにそこに残っている。
まるで、彼は少し席を外しているだけかのように。
「…..おい」
声をかける。無意識だった。
返事がないことに、遅れて気づく。
分かっている。彼はもう居ない。さっき見たばかりなのだから。
それでも、視線は向かいに落ちる。
何もない席。空白。
それでも、目が離れない。
一度逸らしても、すぐに戻る。
そこに何かがあるみたいに、引き戻される。
「….居るンだろ、?」
低く呟く。根拠はない。
ただ、そうでないと、辻褄が合わないだけだ。
3、前提
理解はしている。
あれが何だったのかも、何を見たかも、全部。
頭では、はっきりと分かっている。
「….終わって、る…?」
口に出す。確かめるみたいに。
けれど、その言葉はどこか軽く、現実に触れていない。
彼奴が、あんな形で終わるわけがない。
勝手に終わるような奴じゃない。絶対に。
なら。
「…来る、だろ」
自然と、そうなる。理由なんて要らない。
来るのが前提だ。
ずっと、そうだったんだから。
4、呼応
「…汝陰鬱なる汚濁の許容よ、」
言葉は驚くほど滑らかに出た。
躊躇はない。考える余地もなかった。
「…..更めて我を目覚すことなかれ」
空気が沈む。
床が軋み、空間そのものが歪むように、重さが増していく。
分かっている。これが何かも、その先に何があるのかも。
止める人間が居なければ、終わる。
それでも。
「…..来いよ、太宰」
低く呟く。
視線は、何もない場所へ向いたまま。
その時、ふと、声がよぎる。
「遅いね、中也」
聞こえた訳じゃない。ただ、記憶が勝手に再生された。
何度も聞いた、あの軽い声音。
「…遅ェのは手前の方だろ、」
吐き捨てる。歪んだ笑いが、喉の奥で軋む。
「….来るだろ」
今度は確認ではなく、断定だった。
5、未了
重さが、限界を越える。
床が割れ、壁が軋み、空気そのものが押し潰されるように歪んでいく。
視界は沈み、形を保てなくなり、それでも尚、力だけが膨張していく。
制御は効かない。
止めるものが居ないのだから、当然だった。
喉の奥で、言葉にならない音が弾ける。
叫びともつかないそれが漏れ、次の瞬間には、もう音の形すら保てなくなる。
それでも、視線だけは動かない。
ずっと、同じ場所を見つめている。
来る筈の場所。
何も、来ない。
それでも。逸らさない。
最期まで、そこだけを見つめている。
――来る筈だった。
その前提だけを残したまま。
すべてが崩れ、風にゆるゆると溶けていって。
涙の跡も、感情の残滓さえも残さずに、消え去った。
コメント
1件
ああ、これ…序盤から重い空気がずっしり来たわ。中也が太宰の死を受け入れられずに壊れてく感じ、1Pごとにじわじわ心臓抉られるみたいだった。「来るだろ」って何度も言い聞かせてるのがもう…一方通行の想いの辛さが痛いほど伝わってきた。最後、全部消え去っちゃう描写が凄く綺麗で、でも切なくて涙出そうになったよ。続きが気になる…!
紫 苑 。( 元 あ や 。)
紫 苑 。( 元 あ や 。)
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