私の家は、洗面所と脱衣所が一緒になっている。
そのため洗面所から脱衣所は、丸見えなのだ。
「早くお風呂に入りなさい!!」
洗面所にいる母が私に向かって、急に怒鳴った。
私もお風呂に入りたかったが、母が洗面所を占領しているため入れなかった。というか、入りたくなかった。
だから、読みかけの本を読んでいたところ怒鳴られたのだ。
思春期真っ只中の私は、単に裸姿を見られたくなかったというのもあるが、下着をお風呂場に持く姿をみられ、母に生理だと悟られるのが嫌だった。
その前に、服を脱ぐとにナプキンをとっている姿を見られるのはもっと嫌だ。
だから、わざと本を読んで誤魔化していたのに叱られる始末。
私はイライラした。
「分かってるから」と少し強めに反論したが。それ以上は何も言わなかった。
母親なのだから、もう少し察してどいてくれればいいのに。
親も人間なのだから完璧でもないし、人の心が読めるわけでもない。そんなことは知っている。でも理屈なんて今はどうでもいい。
母親なんなら察しろ、出来ないのならうざいから死ね。
こんなくだらないことで、そんな風に思う娘がいるなんて親って可哀想。
何かあるたびに死んでしまえと思ってしまう私は本当に腐ってしまったのだう。
こんな風に思うのは多分、生理のせいではなく性格の問題だろう。
こんなに歪んでしまうなんて、と自分がとても可哀想に思えた。
一人になって、何となく母親に対してのこの気持ちを口に出してみなくなった。
でも、やめた。
言霊がこわかったからだ。
私は、母が好きだ。今は一時的にこんな風に思ってしまうが、長くみたら好きだ。
昔からの大のままっ子である私は、14歳という難しい時期になっても未だにお母さんに甘えている。いわゆるマザコンだ。
こんな風に思うこともあるけど、好きだから死なれては困る。
だから、私は慌てて口を閉じた。
そのかわりに違う言葉を口に出した。
だいすき。
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