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君を夢に想う
ニキしろ
ニキ視点only
学パロ
※死ネタです
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電話の着信音が静かな部屋に鳴り響く…
こんな夜遅くになんの用だと思ったが
電話先を見た途端に
心臓が激しく脈打つような
どうしようも無い衝動に駆られた。
大好きな俺の彼女…
俺には勿体ないなんてよく言われる。
聞きなれたものだ。
「もしもし……こんな遅くに…どうしたの?」
「っ…なんか…声聞きたくなってな…(笑)」
「……迷惑だったよな…夜遅いもんな…」
「…すまん」
夜だからお互い小声で話す
彼女のこの声を知っているのなんて
俺だけだろう
甘え上手で…俺を癒してそして支えてくれる
だからこんな夜中に電話してきても
不快なんかない
むしろ嬉しいのだ。
でもそんな彼女の声には
少し泣いていたような
震えが残っている
「いや…でも……少し怖い夢見ただけ…やから…気にせんで…」
少しの静寂が訪れる…
「…ふふ…俺がいるから安心しな(笑)」
我ながら漫画のような
少しくさいセリフだなと思う
それでも彼女は
「……ありがとな…」
「こんな遅い時間にすまん、」
なんて気遣ってくれる
「大好きだよ」
「おやすみ」
なんて告げると
「…ふふ…おやすみ…(照)」
「ぁっ…」
「どうした?」
「いや…なんでもないで……(笑)」
そんなやり取りの後…電話を切った
どんどん俺を引きずり込んでくる
君という…深い……深い
愛という心が温まる一種の闇に…
これからもずっと
ずっと…好きでいよう…
その後
あの電話の後…
最後に彼女が電話を切る時に
一瞬何かを言おうとしていた…
それが気になって
俺の夢まで犯してきた
ここまで人を想ってしまうなんて
初めてのことで恥ずかしさも残る
それでも…愛してしまう
今日もまた学校だ
時間割を確認するために
スマホを開く
途端に届いた
友達からのメッセージの通知を見て
…また思い出す
彼女は今日も学校に来ないという現実を
あぁ…
いつの日の話だろう
もうとっくに…
終わった話だというのに
毎日…毎日毎日、
あの日の音が…光景が
俺の夢に出てくる
「…大好きだよ」
「もう会えないのにここまで好きなんだよね…っはは…」
「…馬鹿みたいだよね……」
俺の唯一の彼女
彼女はもう…
この世にはいない
事故の知らせと共に
彼女の打ちかけのメッセージが届いた
もう…戻っては来ない
今までの通話履歴も
思い出の写真も
彼女から貰ったプレゼントの数々だって
初めてのプレゼントのキーホルダーも…
付き合った記念のお揃いの指輪も…
お互いが愛し合ってきた全ての思い出も……
何もかも捨てることができない…
あのメッセージも
「なぁ」
と打たれ…終わったままだ……
なにを言いたかったのか
今はもう知る術はない…
恋の喪失は…
いつしか
存在の喪失
に変わっていたのだろう…
もうこんな虚しい思いなんてしたくないから
君を…忘れたくないから
閉ざしてしまおう…
好きという
君以外に向ける全ての好意を…
こんな頼りない俺は
それでも…
それでもまた
君を夢に想う…
もう誰も好きになれないから…
君を夢に想う[完]
ちょっと衝動が抑えきれずに
書いてしまいました…
リクエストいただいたものも
責任をもって書いているので
お待ちください…
コメント
2件
もはや短編小説じゃないですか… 本として出版できますよ!?本当に 情景が細部まで表現されててもう… 最高すぎました…