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お時「っごめんなさい…!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……!」
今日も仕事部屋からあの子の声が聞こえる。
きっとまた乱暴な客の相手をさせられているのだろう。
どうして?
ただ人より頑丈なだけなのに。死ににくいだけなのに。そんな理由で異物扱いして虐げる方が余程化け物だ。
遊女はみんな優しい。虐げられている子に食事を分けてくれるし、話も聞いてくれる。でも、聞いてくれるだけで解決はしてくれない。
分かってる。私達遊女にとってここは牢獄で、身動きの取れないここでは抵抗なんてできない事。かく言う私も何も出来てない事。そのくらい分かってるけど、あの子の泣き声を聞くたびに怒りとも虚しさともいえない感情が押し迫って来る。
青白い女達「この化け物!」「気持ち悪い」「商品が調子になってんじゃ無いよ!」
お時「ごめんなさいっ…‼︎」
あぁ、まただ。また言われている。あの子は、化け物でもなんでも無いのに。
多分、逃げた方がこれからの生活は楽だった。でも、逃げていたらきっと罪悪感がずっと付き纏ってきていた。逃げられなかった。
救いたくなってしまった。
お時「…!お香ちゃん…⁉︎」
気づけば、あの子の手を引いて走っていた。
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