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準風亭「雪夢、アイス買うてきてくれへん?」
雪夢「えー、マジで?めんどくせーよ!」
蓮「兄ちゃんが行かなあかんやろ!オレじゃ無理や!」
雪夢「はぁ?なんでオレだけやねん!」
蓮「母ちゃんも待っとる」
雪夢は弟の真剣な目を見て、ため息をついた。
雪夢「しゃーないな。すぐ戻るわ」
炎天下のアスファルトが足元から照り返し、汗が背中を伝う。
雪夢はゆっくりと家を出て、頭の中で母ちゃんと蓮の笑顔を思い浮かべていた。
「抹茶とチョコ…どっちがいいかな」
店のショーケースの前で、雪夢はアイスを選びながら、ふと心があたたかくなった。
会計を済ませ、袋を握りしめ、帰路につく。
しかし、交差点が近づくと、背後から急にクラクションの鋭い音が響いた。
雪夢「うわっ!」
黒い車が猛スピードで曲がり角から飛び出してきた。
避けようとしたが、間に合わなかった。
「ガシャーン!!」
激しい衝突音と共に、雪夢は地面に叩きつけられ、持っていた袋からアイスが散乱した。
膝と腕に激痛が走り、顔を上げると、道路に赤黒い液体が広がっている。
雪夢「……ああ……」
口から血があふれ、視界が揺れる。
準風亭(遠くから)「雪夢!!!」
涙が溢れ出て、準風亭は必死に走り寄る。
蓮も泣きながら「兄ちゃん!兄ちゃん!」と叫んでいる。
雪夢の手はかすかに震えながらも、アイスの袋を強く握っていた。
雪夢「母ちゃん…蓮…アイス…」
準風亭「しっかりして、雪夢!!お願い、目を開けて!」
しかし雪夢の目は徐々に閉じていき、静かに息を引き取った。
準風亭は声を震わせて泣き叫んだ。
蓮も嗚咽を漏らしながら、兄の手を握りしめていた。