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自覚

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自覚

1 - 第1話

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2025年02月15日

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⚠️注意⚠️こちらはnmmnです。

本人様とは一切関係ありません。


含まれる要素:

以下本文



































報告書を提出しに拠点へ戻ると、目と鼻の先に灰青の髪が揺れている。

その髪の持ち主は俺が密かに想いを寄せている人。彼の後ろ姿を捉えてすぐに駆け寄り、両手を回して背中に抱き着いた。


「小柳くーん、あっためて下さーい」

「おー星導」


ずっと外に居た俺と空調の効いた室内に居た彼とでは全然体温が違う。くっついた部分からじんわりと熱が伝わってきて温かい。


「なに、今日任務だったん?」


回した手の上に片手を重ねてそう訊ねる彼。肯定を返し、今日起きた出来事を面白可笑しく話せば、耳馴染みの良い落ち着いた笑い声が耳に届いた。彼の眉を下げて笑う姿にはいつも目を惹かれてしまう。

それもそうだ。パーソナルスペースが広めな彼がここまで心を許してくれているのは、たとえ俺でなくとも嬉しいものがある。

ふと手に視線を落とすといつものマグカップ。中には好物のココアが入っているようだった。丁度彼も居ることだしもう少しゆっくりしてから、と近くのソファーへ並んで腰を下ろす。


「あ、そういやこのゲーム会社新作出るって」

「えーほんとだ。面白そ〜」

「うちで一緒にやらん?オフコラボ的な」

「最高。予定組んどきます」


こうやってさらっと俺の好きな物を把握して教えてくれる所も、全部が彼への想いを募らせていく。


「…はぁー小柳くんまじで好き、付き合いたいくらい」

「はっ、きめぇー(笑)」


そんな彼にただひとつ難点があるとすれば、今みたく流れるように告白をしてみても一切気付く様子がないこと。普段あれ程虚言を吐いているから自業自得と言われたらそうかもしれないが、この気持ちが伝わらないのは辛い。もうこっちは想いが溢れて取り返しがつかなくなりそうなのに、本人は呑気に軽口を叩いている。


「割と本気なんですけど?」

「はいはい、寝言は寝て言いましょうねー」


スマホを見つめたままそう話す彼にとうとう我慢の限界が来てしまったのか。気付けばスマホを奪い、強引にこちらへ顔を向かせていた。ぱちりと一度瞬きをした目は見開かれていて、虹彩には驚きの色が滲んでいた。

俺の真剣な表情から感じ取ったのだろうか。その顔も一気に硬い表情へと変わっていく。


「本気で、好きなんです。小柳くんのことが」

「…小柳くんは俺のことどう思ってます?」


しん、と部屋から音が消えてしまったように静かな時が流れる。

これでどんな答えが返ってこようが、俺はそれを受け入れなければいけない。別に嫌なら嫌だと突き放してくれたらいい。ただ諦めが着くだけで、それからはいつも通り同期としてそばに居るだけ。…なんて、少し強がってみたり。

緊張したまま彼の顔を見つめていると、しばらくして口が開く。


「別に、気使わなくていい相手…っていうか…」

「…好きではないんですか?」


嫌いなわけではない、と続けて言葉を紡ぐ彼。

そんな確信的な言葉を言おうとしない彼に胸の内にあるモヤモヤが大きくなる。普段の言動からなんとなく俺のことを気に入ってくれているのだとは思っていたが、こんなにストレートに想いを伝えたのに返ってくる言葉がそんなものでは不釣り合いだ。


「なんですかその曖昧な答え、俺はちゃんとした答えが欲しいのに」

「いやだって俺、お前を恋愛対象として見たことねぇし、」


心から困惑したような顔で見つめられる。

分かりました、と一言言い、仕方なくひとつの提案を持ちかけた。


「それなら段階を踏んで検証してみましょう」







「段階ってなに」

「まずは手繋ぎ。別に嫌じゃないでしょ」


ぎゅ、と左手を握ると感覚を確かめるようにゆっくりと握り返される。


「…まぁ、普段からやってるし」

「はい、じゃあ次。ハグ」


繋いでいた手を離し、両腕で苦しくない程度に抱き締める。彼のホワイトムスクの匂いが鼻腔をくすぐって、なんとなく流れで頭も撫でてみた。


「どうですか?」

「嫌じゃない…、なんかそれ好きかも、」

「ふふ。犬じゃん」

「あ?うざ…」


どうやら頭を撫でてもらうのが気に入ったらしい。機嫌直しに良いかも。


「ハグも大丈夫そうですね」

「ん。次なに?」

「キスかな」


胸に埋めていた丸い頭をひょいと上げたかと思えば、開いた瞳孔と目が合う。微笑み返してみればすすす…と目線を逸らされてしまった。


「…そういうのは恋仲とすんだろ、普通」

「だからそれを今から確かめるんですって。こっち向いて下さい」


片腕をつき少し離れてしまった距離を埋め直す。心做しか強ばっている彼の頬に反対の手を添えてゆっくり近付き、短いキスを一度だけ落とした。ふに、と唇同士が触れる感覚がして、彼が先程まで飲んでいたココアの甘い香りが広がっていく。瞑っていた目を開いてみると耳まで赤く染まっているのが目に映った。


「…」

「どうでした?嫌だった?」


その反応を見るに答えはもう決まっているようなものだけど、一応本人にそう確認を取る。これには彼も認めるしかないだろうとどこかほっとしながら答えを待つも、返ってきた言葉はなんとも可愛らしい言葉だった。


「わ、かんねぇ…から、もっかい、」


好きな人に潤んだ瞳でそう強いられては無視なんて到底出来ない。これで最後ですよ、と自分にも言い聞かせるように言い、再度唇を重ねた。次は前より長めにしても許されるだろうか。


「ん……、っ」


息継ぎが出来ないのか鼻から抜けた苦しそうな声が耳に入る。

至近距離で金のアイシャドウが輝いていて、胸に置かれた手に力が入っていて。心臓がきゅっと苦しくなって鼓動が増していく。そんな中どこかに残っていた冷静な部分が、あわよくばこの先も、と思っている自分に気付いた。

長いキスを終えて顔を離せば恥ずかしそうに俯く彼。さっきと同じように頭を撫でると少し身じろいで、静かに話し出す。


「す、きなんか…俺」

「は…ぇ、じゃあいつから…?」


口に手を当ててそうこぼす彼に口角が上がっていく。


「ふふ(笑)えいっ!」


あまりの可愛さに力のままぎゅっと抱き締めると「馬鹿、苦しいわ!」なんて罵声が飛んでくる。はいはい、と力を抜けば緩く背に手を回されたのが分かった。


「やっと自覚してくれましたね。俺ずっとモヤモヤしてたんですよ?」

「…それはすまん」

「デートしてくれたら許します」


そう言って目の前にある肩にぐりぐり頭を押し付けると、くすぐったいのか笑い声がすぐそばで聴こえる。彼の表情が見たくて顔を上げると彼もこちらを見ていた。そのまま見つめ合って、どちらからともなくまた唇を合わせる。


「ん、…ね、小柳くん、大好きです」

「……俺も、好き」


視線に熱を流して再度想いを伝えると、俺にしか聴こえない程に小さな、でも確かにハッキリとした同意の言葉が返ってくる。

これからどんな恋人らしいことをしようか、と浮き足立ちながら、腰に回した手に力を込めた。

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