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⚠作者解釈『桜』について話す二人
⚠雲行きが怪しい話
とか何とか言ってますけど余りにも作者が桜に狂っているので皆様にも狂ってもらおうと思っただけの話
『桜』=バラ科の植物、皆様の近所にはあるかな
main 毒素
謎世界観
「なぁトン氏、美しいだけの物はこの世に存在すると思うか?」
「……急に何言ってんですかあんた…」
時刻は丁度丑三つ時。
縁側に座り、二人で桜を肴に酒を楽しんでいた時だった。
各々が喋りたいことを話終わり、そろそろ解散するかとでも言おうとした時。
身体を起こそうとした体制のまま、浴衣の隙間を通る夜風が火照った身体を冷ましていき心地良い。
「まぁまぁそんな顔すんなよ、もうちょい話そうぜ」
けらけらと笑いながら何処かからか取り出した日本酒の瓶を見せつけてくるグルさん。
相変わらず交渉上手なコト。
「はぁ………事の発端は何ですかね」
「おっ、流石我らがトントン」
「実は桜を毎年見る度に思っててな」
「ほらあるだろ? 桜の樹の下には死体が埋まってるって話」
とぽとぽと、お猪口に注がれていく日本酒を眺めながら薄らと耳を傾ける。
「……聞いたことはありますけど、それが?」
「いやな」
くい、と自分の分を煽ってから、グルさんは桜を見上げる。
ひらひらと、花びらが舞い落ちた。
「的外れだなと、個人的には思っているんだ」
「……はぁ…?」
思わず顔を上げる。
「死体があるから綺麗、という訳とはまた違うんだよ」
夜風が、少し強く吹いた。
「桜はな、元々美しく散る為に生まれた物だと思っている」
「という言い方をすると誤解を招きかねないか」
カチャリ
口元に運んだお猪口と眼鏡が当たる音。
「昔の話だから俺も曖昧な知識だが、桜の名前の由来は稲の精霊、まぁ「サ」とでも言っておこうか、この精霊様が降り立つ座の事を「クラ」と呼んでいることから「サクラ」という名前が着いたらしいそうなんだよ」
「…ほーん、んで、それとこれに何の関係が?」
「名前の由来は稲の精霊、つまり神様の名前を取って居るんだが」
「思わないか?」
「稲の精霊、もとい、神様。稲とは人が生きていく上で大切な食を司る神様なんだが」
「そんな神様の名前を取ったモノの、美しさに」
「理由なんて必要あると思うか?」
先程よりも、もう一段階強い風が庭に生えた桜を揺らす。
轟々と大きく枝を震わせながらそこに在る桜の樹。
風と共に流れて行く花弁も、飛びすぎてしまえば視界を塞ぐだけ。
目の前のグルさんの表情すら見えずらく、微かに見えたのは悲しそうな顔。
「……グルさん」
俺の声を待ち望んでいたかのように、ぴたりと止まる暴風。
「別に、理由なんて要らんと思いますけどね」
「だろ?」
諦めたような、嬉しそうな顔をする彼に
続ける
「でも、それやと」
その先が、中々出てこず言葉が喉に突っかかる。
「綺麗やって思う理由も、要らん事になりますやん」
一瞬、空気が止まった気がした。
グルさんは何も言わず、ただこちらを見る。
「理由もなく綺麗で、理由もなく散るんなら」
「……それ、ただの“そういうもん”で終わりやんか」
ぽつりと零した言葉は、自分でも思っていたより冷たかった。
「俺は、嫌やけどな」
グルさんの眉が、ほんの少しだけ動く。
「ほう、理由は」
「……そこまでは未だ考えとらんけど」
視線を逸らす。
「理由くらい、欲しいやん?」
「綺麗やと思うなら、なんで綺麗なんか」
「好きやと思うなら、なんで好きなんか」
「……分からんまま終わるん、俺いややわ」
沈黙。
風の音だけが、やけに大きく感じる。
その中で。
「……ふはっ」
グルさんが、小さく笑った。
「やっぱおもろいなぁ、トン氏」
そう言って、手の中の花びらを軽く弾く。
「でもな」
声が、少しだけ低くなる。
「それも、全部人間側の都合なんだゾ」
ひらり、と。
弾かれた花びらが、闇に消える。
「桜は、理由なんか持ってないんだ」
「ただ咲いて、ただ散る」
「それを勝手に意味付けしてるんは、全部俺ら人間」
ぐい、と酒を飲み干して。
「せやから」
ゆっくりと、こちらを見る。
「綺麗やと思うなら、理由なんか要らんやろ」
「“そういうもん”やって、受け入れたらええだけや」
その言い方が。
妙に、引っかかる。
「……それって」
気付けば、口が動いていた。
「壊れるもんを、壊れるまま見とけって言うてるんと同じやないですか」
ぴたり、と。
今度こそ、空気が止まる。
グルさんは一瞬だけ目を細めて。
それから、ゆっくりと笑った。
「そうだが?」
あまりにもあっさりと
「美しく、華麗に皆を楽しませて散る。その為に生まれてきたんだからな」
その言葉は、やけに優しくて。
__残酷やった。
終
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コメント
2件
最高~✨!