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何でも許せる方向け
・出てくる全てのこと、物、人に関係なし
・ド捏造
・CP表現無し
・つぼ浦が魔法使い
・全体的にふわふわしてる
・短い
上全て理解出来た方のみお読み下さい。
チルい話が書きたかったんです……。
薄暗い路地裏に猫が1匹。
こちらには気づいていないようだ。
近づこうと踏み出すと、ジャリっと音がなる。
びくりとこちらに振り向くが、逃げる気は無いようだ。
少しだけ言葉に魔力を乗せて、
おいで
と呼びかける。
少しこちらをじっと見つめた後、とてとてと歩いてくる。
ふわふわな毛並みを撫でる。
地面でゴロゴロしていたのか、砂が付いている。
撫でながらそれを払ってやる。
サラサラとした毛並みが気持ちいい。
良い物を食べている証拠だ。
だが首輪は付いていない。
きっと色んな家、人を渡り歩いているのだろう。生き上手な猫だ。
ポツポツと雨が降り始める。
猫は急いで立ち上がり、そそくさと奥に消えていった。
少し残念に思いながらも、自分も帰らねばと立ち上がる。
ただ、魔法を使える身からすれば、別に雨なんてどうってことは無い。
ゆっくりゆったり、歩きながら帰る。
スマホを出して、Stateを見る。
数人の警察官。
今はもう深夜3時半。夜のチルタイムだ。
明日はイベントがあるとか何とかで、その準備のために既に退勤している警察がほとんどだ。
ふむ。本署にGPSは無し。
これなら濡れて帰らなくても大丈夫だな。
パチン、と指を鳴らす。
路地裏を出て、雨が降っている中、すたすたと歩く。
中々の量降っているらしく、霧が出ていて視界が悪い。
あの猫は無事雨に濡れずに行けただろうか?
そんなことを考えながら本署に帰る。
「あ、つぼ浦じゃん」
「……アオセンじゃないっすか。」
予想外の人の声に、平常心を装って言葉を返す。
「出勤してなかったんすか?GPSねぇな。」
「あぁ、普通に書類だけ片付けてたから別に出勤しなくてもいいかなって。つぼ浦は?」
「俺はまぁ…チルっすよチル。散歩行ってました。」
「そうなんだ。今めっちゃ雨降ってるけどね。」
「あぁそッスね。傘持っといて正解だったな」
「それにしては傘差してるように見えなかったけど?」
「そりゃアオセンの目が終わってるんすよ。老眼か?」
埒が明かない会話。
「なわけないでしょ。…傘差してるように見えなかったのに、随分濡れてないね。」
「……何が言いたいんすか。」
「…いや?別に。ただ、よく濡れなかったねって。」
「…はぁ……まぁ、夢でも見てるんでは?」
少しだけ、アオセンに近づく。
魔法をかけて、忘れてもらおうと。
「…ふ〜ん…まぁ、そうだね。夢見てるかも。
でも、夢なら夢で覚えておきたい夢だね。」
その言葉にピタリと止まる。
「…………俺はもう寝るんで。」
「ん、引き止めてごめんね。」
「大丈夫です。じゃあ。」
「うん。おやすみ。」
カンカンカンと硬い階段を登って、いつもどうりの寝床につく。
外ではザァザァと酷く雨が降り注いでいる。
魔法の事は、誰にも言っていない。
バレては行けない。
それが規則であり、絶対だ。
ただ、今アオセンは夢を見ているんだから。
夢の中でくらいなら、バレたって問題ないだろう
これは、アオセンと俺の、夢の中の秘密だ。
雨とチルと秘密と。ー終ー