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「アレキさん!?またですか!?」
ある日の朝、朝食の時間帯
屋敷のリビングに普段冷静なクオーツの珍しい怒声が響く。
クオーツの目の前には散らばった食器の破片と
怒られている張本人であるアレキ
そしてプンプンしながら後片付けをしている白薔薇が居る。
クオーツの「また」という発言からわかるように、
アレキはドジっ子破壊神ぶりを全発揮してほぼ毎日…いや、ほぼ毎時間何かしらを破壊していて、それを毎回クオーツが説教してフィオリナが後片付けをしてその間にまたアレキが何かを破壊するという無限ループ。
「なんっっでこんな一瞬で物を壊しちゃうのッ!?」と、
箒とちりとりを持ちながらツタをブンブン振りながら大声を出すフィオリナ
「てへ、ごめんなさい」と、自分の頭をコツンと叩いてウインクするアレキ
それに間髪を入れずに「ごめんと言って済むわけ無いでしょう!?」とクオーツが一喝
こんな光景もすっかり日常茶飯事になりかけている中
朝食を食べつつ三人の様子を微笑みながら観察する石榴とは対照的に
石榴の隣の席に座って朝食を食べているペリドットが
横目で三人を見ながら呆れたようにため息を吐く
「お姉ちゃん達もだけど…お母さんってば…呑気なんだからぁ…」
それに対して「おや、そうですか」石榴がクスクス笑いながら反応する。
すると突然、何かを思い出したように石榴が「そうだ」と声を出し、
石榴の声に反応し三人が振り向く。
「今から買い物に行くので、三人とも着いてきてくれますか?」
と、石榴が小首を少し傾けながら微笑み「お願い」をした。
そんな石榴の微笑みを見て、三人は互いに目配せをする。
そしてその時、三人の心の中が初めて一致した
「「「これ、断れる訳無いよね/ですよね…」」」
「え、フィオは〜!?」
「貴方はお留守番です、頼みましたよ」
「そんなぁ〜っ!石榴さまのメイドは私だけなのにぃ〜っ!」
鳥の囀りや暖かな日差しのさす森の中
深い紅をベースに黒で描かれた柄の馬車が揺れながら進む。
人形店の場所は中心部から離れた森の奥の、そのまた奥であり
森そのものに慣れていない人、もしくは初来店であった場合の人は
たとえ地図と馬車を使用しても往復だけで半日かかるといった
まるで自然の迷路のような入り組んだ立地で
場所もデザインも全て設計した筈の石榴本人も
「街自体は好きですが買い物などの用事がない限り、頻繁な往復はあまりしたくは無いですね」と言う程である。
「ねね!石榴さんっお買い物って中心部の方に行くんですか〜?」
石榴の正面側に座っているアレキが挙手をして石榴に問いかける
「いいえ、中心部は遠いので近場の…まぁ、アレキサンドライトさんもご存知でしょう?」
小首を傾げながら、普段のドレスとは違った
街に溶け込みやすいシンプルなパンツスタイルで、
より一層中性的な装いの石榴が手袋をつけ直しながら答えると
「んー、まぁ分かってはいますけど〜っ」アレキが足をパタパタさせながら言う。
そんなアレキを見て石榴は少し微笑んだ後
黒いカーテンを指先で少しだけ広げて外の景色を覗き、柔らかい風を感じる。
人形店のある自然豊かで柔らかな木漏れ日のある森から
街の生活感のある雰囲気へと少しづつ移り変っている景色を数秒間眺めた後に、
御者台に座っているクオーツに「安全運転でお願いね」と声をかけ、
カーテンを再び閉ざすと 「着いたら起こして頂戴ね」とペリドットとアレキに告げて、
馬車の揺れを感じながら目を閉じる。
馬車から降りる最低、石榴の靴の踵が地面の石畳を鳴らすが
そんな音も、街と風の音の中に溶けていつしか消える。
『ルヴェルヌ』
芸術と美を愛す者たちが集うとされる山裾近くに存在する街
白い石造の家や店が段丘状に連なり、
住宅街から少し離れた場所には芸術を象徴する劇場や美術館。
そして中心部には古い鐘楼と時計台があり鐘の音が流れる
各店からは焼き菓子やパン。紅茶や花の香りが漂い
人々が忙しく、しかし楽しそうに会話を交えながら働き、
柔らかな風と光が街の様子を運ぶ。
#闇
ruruha
759
#異能力バトル
ここは国の中心部である王都から離れた街であり石榴が最も愛する街
「やはり…この街は良いですね」独り言のように石榴が呟く
「ええ、同意です」石榴のことを軽くエスコートするように手を貸しながらクオーツが反応する。
通りを歩く時、キョロキョロと辺りを見回しているアレキ
アレキほどでは無いがショーウィンドウに飾られた商品に目が行くペリドット
二人の首根っこや手を握って呆れたように歩くクオーツ
そんな三人を見て、石榴がくすりと微笑む
「三人共、欲しいものがあれば遠慮なく言って頂戴。なんでも買ってあげるからね」と、石榴が言うと一番最初に反応したのはアレキで、「え!ほんとですか!?」と、びっくりした様子。
そんなアレキに石榴が微笑む「ええ、本当ですよ」
石榴の微笑みを見てアレキが嬉しそうに数店舗のお菓子店を指さす
「じゃ、じゃあじゃあ!あそこのお店からあそこまで!ぜーんぶ買ってくーださい!!!」
アレキのオッドアイが期待を込めたようにキラキラと輝く
「ふふっ」石榴はその煌めきに対して微笑みを浮かべる
「流石に自重してくださいね、アレキさん」
「えー!?」
街の中心部の時計台に刻まれた時刻は午前10時過ぎ
まだこの街は目覚めたばかり
そんな街に今日もまた、新たな時が刻まれる