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タイトル:竜生くんとの約束
あたし、志摩ミカ。中学2年生になって、だいぶ学校生活にも慣れてきたけど、あることを心の中でずっと悩んでた。それは、岩倉竜生くんのこと。彼とは、同じクラスで、何度も目が合うし、よく廊下ですれ違うことがあるけど、普段はただのクラスメートで、特に話したこともなかった。気にすることもなかった。
でも、最近、なんだか竜生くんが気になる。最初はその理由がわからなかった。でも、ある日から、その理由がわかってきた。
その日、放課後。いつも通り、教室で宿題をしていたあたし。窓の外は夕暮れで、もうすぐ夜が来る。でも、外に出る気になれない。だって、宿題がまだ終わっていないから。次課題出せなかったら私部活禁止になるんだよ!?死ぬ気でやるよ、そりゃあ。
そんな時、教室のドアが開いて、竜生くんが入ってきた。いつもはクールで、まるで誰とも関わらずに過ごしているように見える竜生くんだけど、その日は違った。彼が何かを言おうとしている顔をして、少し緊張した様子で、あたしに近づいてきた。
「志摩、ちょっといい?」
その一言が、なんだかすごく胸に響いた。竜生くんがあたしを呼ぶなんて、正直言ってあたしには夢のようなことだった。でも、どうして呼ばれたのか気になって、すぐに返事をした。
「え、うん。どうしたの?」
竜生くんは少し黙った後、急に顔を赤くしながら言った。
「実は…あの、今日、帰り道一緒に帰りたいんだけど…」
あたしの心臓が、ドキンと大きく跳ねた。竜生くんと一緒に帰る…?そんなこと、まさか…でも、どうして今まで一度も言ってくれなかったんだろう。
「え、でも…」あたしが少し戸惑っていると、竜生くんは慌てたように続けた。
「いや、別にそんな特別な意味があるわけじゃなくて…ただ、一緒に帰る人いなくて…ね?」
その言葉に、あたしはほっとした気持ちになった。竜生くんらしい言い方だ。いつも冷静で、自分の気持ちを素直に言うのが苦手なところが、逆に胸を打つ。あたしも、思わず顔が赤くなった。
「うん、わかった。あたしも、帰り道一緒に帰るの楽しみにしてる」
その瞬間、竜生くんがにっこりと笑った。その笑顔が、あたしの胸をグッと締めつけた。
「じゃあ、放課後に待ってるな」
その後、放課後。教室を出たあたしと竜生くんは、並んで歩きながら、特に大きな会話はしなかったけれど、何とも言えない心地よい空気が流れていた。竜生くんは、たまにあたしの方を見るけど、目を合わせると、少し照れたように視線をそらす。
あたしも、それに合わせて顔をそらしながら、内心ではすごくドキドキしていた。こんな風に竜生くんと歩いているなんて、夢みたいだった。
途中、近くの公園を通りかかると、竜生くんが突然立ち止まった。
「ちょっとだけ、ここに寄っていい?」
あたしは驚きながらも頷いた。
「うん、いいよ」
公園のベンチに座ると、竜生くんはちょっとだけ黙ってから、ふと話し始めた。
「実は、あのさ…」
「うん?」
「ずっと言えなかったんだけど、志摩ってさ…すごくタイプだと思ってたんだ」
その言葉に、あたしの心は一気に温かくなった。
「え…でも、どうしてそんなこと…?」
竜生くんは少し照れくさそうに笑いながら、続けた。
「なんかさ、志摩がクラスで静かにしているときも、よく笑ってるじゃん。それがすごく好きだなって思ってたんだ」
その一言が、あたしの胸にズンと響いた。竜生くんにそんな風に思われていたなんて、あたしは本当に幸せだった。
「ありがとう、竜生くん。あたし、竜生くんとこうして話せるだけで嬉しいよ」
そう言って、あたしは竜生くんを見つめた。竜生くんも、少し照れたように笑って、あたしの目を見つめ返してくれた。
そのまま、二人で夕暮れの公園で少しだけ話をして、最終的に「また明日ね」と言いながら、別れた。
でも、その日から、あたしの気持ちは確信に変わった。竜生くんとの時間は、あたしにとって特別なものになったんだって。
これからも、もっとたくさんの時間を一緒に過ごして、もっとたくさんの笑顔を交わせるといいなと思った。
だって、あたしの大好きな竜生くんとの約束が、これから始まったばかりだから。