続き
颯太は右手の人差し指を立てると、それを上に動かした。するとその動きに連動するように人形が動いた。
「?なぜ人間の貴様が念力を使える?」
怨霊は不思議そうにそう言った。
「俺は“人間”じゃない。“妖神”だ」
颯太が言うと、怨霊はさぞかし驚いたようだった。
「妖神⁉︎まだ妖神は存在していたのか⁉︎」
「ああ、しているさ。それに、俺は60年ぐらい前に妖神になった。まあ、お前にとっては最近かもしれないが…」
そう言い、颯太は
「これさえブッ壊せば…!」
と言い、右手を左に思い切り左に向けようとした瞬間
「やめろ‼︎」
怨霊が声を上げた。
「何故だ?」
颯太はその怨霊に聞いた。
「その人形を壊すのはやめろ…お願いだから…」
さっきの怨霊の、荒々しい声は無くなり、代わりに弱々しい少女の声になった。
「お前、正体見せてみろ」
颯太は優しくその怨霊に言った。
すぐ怨霊は、自分の正体を明かした。
「威嚇しちゃって、ごめんなさい…」
そこにいたのは12歳ぐらいの少女だった。
颯太は目線を合わせようと、彼女の身長に合わせ、姿勢を低くし、優しく聞いた。
「お前は誰だ?何故、この日本人形に取り憑いていたんだ?」
彼女は泣きながらなも話してくれた。
自分の名前は、「樹里」と言う事、日本人形に取り憑いていたのは、自分の居場所が無かった。と言う事
その他にも色々教えてくれた。自分は日露戦争の時に生まれ、12歳で死んだ、等。
全部聞いた時、颯太は、樹里に、
「最後に一つ聞くが、お前はまだ怨霊なのか?」
と。
樹里はすぐに否定した。自分の怨念はもう消えてしまったと説明してくれた。
「私、舞香さんにお祓いとして一時的に出されてたんだけど、後からまた乗り移ったの」
その事を聞き、颯太は、
「じゃあ、舞香にこの事、話しに行こうか?」
と優しく言った。
続く
コメント
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コメントなさすぎて草笑笑ww