コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
夢を見た。恋人の雪と夕暮れの砂浜に座って結婚について話す夢だ。
「雪、話があるんだ」雪は俺の肩にもたれて「なーに?」と聞き返した。
「俺と結婚してほしい。」
ついに言ったんだ。ずっと言いたかったことを。
雪の返答が帰ってくる前に、携帯のアラームが鳴り響き、薄暗い書斎で目が覚めた。
夢だったことに苛立ちながら、ほこり被ったソファから身を起こし、煙草に火をつけた。
雪は1か月前に突如行方不明となり、両親が警察に行方不明届を出した。
しかし、雪が何者かに誘拐されたことが発覚したのは雪が行方をくらまして1か月後のことだった。
俺は木上悠、23歳、探偵だ。雑居ビルの一室に事務所を構えて、日々様々な事件を警察と捜査している。
雪も必ず見つけて見せる。そう固く誓い、顔を洗いに洗面所に行く。
ピピピピ!
携帯の着信音が鳴り響いた
電話に出ると「よう、久々だな」大学の同期の釜野刑事だった。
釜野「例の事件なんだが…お前の力を貸してほしい」
「めんどくせえな…」とぼやいてコートを羽織り、事務所を後にした。
警視庁 連続誘拐事件捜査本部 AM11時
俺は重い足取りで警視庁の門をくぐり、連続誘拐事件捜査本部の部屋へと入った。
「よう」そう言って俺に手を振る。
俺は部屋を見渡すと釜野の他に数名の捜査官の姿があり、冷たい視線を感じる。
「早速だがこれを見ろ」
釜野は新宿に誘拐された場所の位置を記した地図を机に広げ、俺に見せた。
「最新の被害者の最終目撃現場に行った。そしたらとんでもないものを見つけてな」
「オイ、ちょっと待て、そもそも何故誘拐だとわかる?行方不明ではないのか?」
「実は、行方不明となりうる場所に犯人と思われる人物が描いたマークがあったんだ。」
「どんなマークだ?」
釜野はA4用紙に印刷したマークを机に出した。海賊旗のマークが書いてあった。
「最後に発見された場所には必ずこのどくろマークが油性ペンで書かれていた俺たちは行方不明ではなく誘拐だと確信した。そして、雪ちゃんの現場にも同じマークが見つかった」
俺は決めた。雪が自分から居なくなったのではなく、何者かに連れ去られた。そいつを地獄の果てまで追い詰めて殺すと。
俺は物騒な眼差しでマークをにらみつけた。
「大丈夫か?」そういうと、俺は我に返った。
「3日前、新たに新宿で男児が誘拐されたんだが、その最終目撃現場に行くとどくろのマークと共に妙なやつが倒れててな、俺たちはそいつが犯人の一味であると思っている。そいつを連行して、話を聞きだそうとした。しかし強情なやつでな、何も喋ろうとしない。まるで誰かに喋るなと言いつけられているかのように。なぁ悠、そいつに話を聞きだしてくれないか?」
「はぁ?何かと思ったらただの雑用じゃねぇか、そんなもん警察でやれよ」
「お前、探偵なる前は心理学学んでただろ、何とか聞き出せねぇか?雪ちゃんへの手がかりにもなるだろ」
釜野は雪がいなくなってから俺のことを気遣ってくれて、だからこの仕事に誘ってくれたのだろう
「わかったよ、話だけ聞いてきてやるよ」
釜野と俺は拘留所へ向かう。