「…あの子は、あの人たちは、私をいつも気遣ってくれた」
そう言いながら、彼女はどこか遠くを、闇の中をみている気がしてならなかった。
泉鏡花。
彼女は両親を失い、その時母から受け継いだ異能“夜叉白雪”を用いて暗殺者としてポートマフィアに身を置いていた。暗殺という殺人行為は、彼女にとっては苦痛でしかなく、絶望感で目の前が真っ暗になっていた。
しかし、事態は一変する。
武装探偵社の新人、中島敦により、自爆、ひいては最期の殺人行為を止められたからである。
救出されてからは怒涛の勢いで夜が明けては暮れていった。
入社願い、初仕事、ポートマフィア幹部、尾崎紅葉率いる者たちによる襲撃、組合の計画するヨコハマ焼却作戦の防止、そして敦との同居生活。
そんな様々な困難に遭ってきた彼女が、感謝を伝えたい人物がポートマフィアに居るという。
元々人柄の良い者が大半の武装探偵社なので、社員たちはすぐに彼女に話をするよう促す。
そうして出てきた話は予想外の連続であり、また、社員たちはポートマフィアなりの優しさを知ることとなった。
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