テラーノベル
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🩷💙前提の💛💙です。それでもいいよ!という方は先にお進みください
「……ん?なんや、これ……」昨日は仕事をしすぎたことによるストレスを、酒で流して酔っ払い、仁人に運んでもらったはずだった。そこまでは覚えている。そう、記憶はきちんとあるのに、部屋に知らない植物が置いてある。何故酔った勢いで買ったか? と思い財布を確認するも、金は減っていない。じゃあ誰が? 仁人がこんなことするはずない。けれどこの花は確か――仁人が動画で使っていたもののはず。花言葉はなんだったか。思い出せない。
「塩さん〜、起きた?」
聞きなれた声に思わず肩を震わせる。まだ家にいたのか?いや、合鍵を持っているのを見ると、先ほど来たようだ。なんの連絡もせずに入ってくるなんて、彼らしくない。いや、そもそも家に来ること自体が珍しい。俺と仁人は二人きりでプライベートを過ごすことなんてないし、そもそも合鍵なんて渡した記憶がない。あれ、じゃあ仁人はどうやって入ってきたんだ? 恐怖で思わず壁に背中をつければ、仁人は目を細めて
「どうしたの?太ちゃん」
なんて笑ってきた。アンタのせいだよ! とは言えずに何となく……とだけ返したものの、絶対にバレている。
「太ちゃん、隠すの下手すぎ」
なんて言って仁人は、俺に抱きついて首筋に噛み付いてきた。ヒッ、と反射で声を出してしまう。
「初心だねぇ、太ちゃん。……勇ちゃんまだここには手出してないんだ」
愛撫をするかのように、首筋を丁寧に丁寧に撫でてくる。拒絶感と恐怖で思わず体が強ばる。
「……は?何言うてるの、吉田さん……」
反抗しようとしたものの、力が入らない。信頼しているリーダーが、こんなことをしてきているなんて。信じられない。思考を回している間に、いつの間にか彼は耳を弄りはじめていた。神経を直接いじられるような感覚がする。輪郭が、思考がぼやけてまともに状況が理解できない。俺には勇斗がいるのに。こんなこと、浮気になってしまうのではないか? いや、浮気ではなく合意がないのだから犯罪か。恋人持ちの男にセクハラをして逮捕、なんてファンが悲しんじゃうよ。
「……太ちゃん、大好きだよ」
「俺はもう嫌いやよ、早う離れてや! 怖いよ!」
思わず涙が溢れてくる。これはきっと夢なんだ、酔いすぎて痛い頭が作り出した幻覚なんだ。そう自身に言い聞かせて逃げようとしたのを察したのか、仁人は耳から首へと手を滑らせる。
「ここ絞めたらどうなるかなぁ? 太ちゃん、分かる?」
「分からん、分からんさけ! 早うあっち行ってや!」
恐怖で涙が出てきたのを、彼はわざとらしく指で掬い、舐める。気持ち悪い。
「分からないなら教えてあげないとね」
そう言って微笑む彼から目を逸らした先に、部屋に置いてあった知らない植物があった。これは確か黄色の水仙の花だ。なんてことはどうでも良くて、早く逃げなければ。
「なんてね、冗談だよ。太ちゃん。……きちんと仕事来てね」
突然放たれた言葉に思考が停止する。冗談? さっきまでのこと全てが? けれど彼の表情は、普段の温もりを感じる顔ではなかったし、声だって怒りを孕んでいた。
「……冗談ってどこまでが……」
怖くなってそう聞こうとしたはいいものの、彼との距離はいつの間にか離れていて、もう聞くことはできなかった。だから、きっと手がかりになると思い、黄色い水仙の花の花言葉を調べた。彼を信じたい。その一心で行動したのに。彼の行動を冗談とは思えないような結果が出てくる。黄色い水仙の花言葉は、そうだ。『私の元に帰って』だ。
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コメント
2件
あ〜もう大好きですっ🫶🫶🫶 こういう仁ちゃんまじで好きです 最高ありがとうございます…🙇🙇