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第3夜「お兄さん…待って!」
「お兄さん、行かないで…」
俺と少年は雑談を交わして三日月の夜を過ごした。(途中抱きつかれたりもしたが)少年は興味津々な様子で俺の話を聞いてくれるから、俺も嬉しくなって話してしまう。
夜も更けた頃、俺が「そろそろ帰るよ…」と言うと、とても悲しそうな顔でそう言うからびっくりした。陶器のような真っ白な肌に浮かぶ漆黒の瞳が潤む。そんな顔で見られたらここを離れるのが惜しくなってしまう。でも、早く帰らなければアイツらに心配をかけてしまう。
「また来るから…な?」
「本当?!」
やばい可愛い。
そんなキラキラした目で見ないでくれ…
顔が熱くなるのが自分でもわかってしまう。
「じゃあな、またいつか」
「お兄さん…待って!」
俺が窓枠に飛び乗ったとき、少年が大声で呼び止めた。
そして深く息を吸い
「お兄さんの名前を…教えて?」
少年の瞳はまた返事を強制するような澄んだ瞳でこちらを見つめる。
「…ミカヅキ」
「…いい名前だね、お兄さんにぴったりだ」
名前を褒められるのは初めてだった。
周りの人々とは全く違う響きの名前。
育ての親のことを恨んでる訳ではないが、この名前にコンプレックスを抱いていた。
(コイツはどんだけ俺の心に踏み込んでくるんだよ…)
「お前の名前は…?」
少年に問うと少年は少し俯き答えた。
「お兄さんが決めてよ、お兄さんからの名前が欲しい!」
「え?」
「おねがい」
くっそ、そんなキラキラした顔で見られたら断れねぇ。
うーん…
子犬…ジャーキー…?…ジャック…?
「…ジャック…とかどうだ?」
「わぁぁ!ありがとう!」
ジャックは小さな声で「ジャック♪ジャック♪」と言いながらニコニコしている。
やっぱり可愛い。
「じゃあね!ミカヅキさん!」
俺はジャックを振り返り、笑いかけてから窓枠から外の世界へ飛び降りる。
「可愛いやつ…」
また明日も来てやろう。
そう無意識のうちに思ってしまった。