ー登場人物ー
帆風 海 (ほかぜ うみ)
摛宇の前職での後輩
性別 男
吹き出し→〈〉
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⚠️注意⚠️
・辛い表現あります
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〈やっちゃった………〉
今、俺は屋上に居る。何故かって?俺の先輩を屋上から突き落としたからだ。
俺の先輩の名前は水無月 摛宇。一緒のブラックな職場で働いている身なのに、彼女はこの会社を辞めようとしている。
〈先輩……貴方だけ幸せになるなんて許さない。〉
ここには防犯カメラも何も無い。本当にセキリュティガバガバなブラック企業だ。
先輩も驚くだろうな。まさかいつも大人しい後輩が自分を屋上から突き落としたなんて知ったら……。会社内では一人称は僕。明るめな好青年を演じている。だから会社内の人達は俺に騙されていると言う事になる。
〈アハハッ、!!!それでは。”摛宇先輩”。〉
俺は小さい頃からそうだ。他人が幸せになるのが無性に腹が立つ。それは見ただけでも同じだ。何が理由だかはわからないが、友人が幸せそうな笑顔を見ると〇意が沸いてくる。
今回だってそうだ。このブラック企業を辞めると言う事は幸せになる事。それを思うと心の奥底から怒りが込み上げて来たんだ。
数日後、この出来事はニュースで報道された。
ニュースキャスターは摛宇先輩が自○未遂をしたと伝えた。俺の事は一切伝えられてない。
だが、一つだけ気に食わない事がある。それは未遂な事だ。未遂と言う事は生きている…また自分の中で怒りが込み上げて来た。
〈チッ…………生きてるのかよ。〉
そこから数週間後、先輩が会社を辞めたと聞いた。高まっていた怒りはさらに込み上げていき、もう取り返しのつかない所までに達っしていた。
もうこの感情は戻る事はないだろう。
それなら俺も辞めてやる。違うところに転職してやろうと、ブラック企業を辞め、違う会社へ転職した。
だが、そこでもやはり俺は幸せになる事なんて無かった。俺が転職した会社もブラックで、求人欄はただの見せ掛け。しかも、前の職場より悪化してる。
〈ここでさえ…俺は幸せになる事は出来ないのかよ……。〉
その日を境に、自宅の中では自暴自棄になり、暴れる事が日常茶飯事になった。
〈ァァァァァッ、!!嫌だッ、!もう、何もかも嫌だッ、!!〉
〈憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い………先輩が憎い……。〉
怒りは増えていく一方で、もう何事にも手が付かなくなってしまった。
そこから一ヶ月後、いつも通りブラック企業に行く途中、偶然先輩に会ってしまった。
「うっ、海君、?!」
その後、俺は先輩に色々聞かれ、先輩と別れた。
先輩に会ってから怒りが限度を超えた。そこで俺はある一つの事を考えた。
もう一度、次は確実に先輩を不幸にさせる。
そうすれば俺の怒りは収まる、俺が幸せになれると思った。
早速、先輩の家に入り込み、先輩の前の職場のデータが入っているパソコンとその他諸々を持って行った。
〈これだけは、先輩が居たって証拠にしてやるよ……。〉
次の日、俺は怪しまれない為に先輩に心配の電話を掛けた。
〈先輩、!!大丈夫ですか、?!〉
「うっ…うん!!大丈夫!!怪我はしてないからさ!」
〈そうですか、!何かあったら僕、!相談乗ります!!〉
「ありがとね、!海君!」
〈いえいえ〜!!〉
そう言い放ち電話を切った。相変わらず呑気な人だ。明日、俺が先輩を不幸にするとも知らずに……………
その日の夜、最終確認を済ませ、早く寝た。
次の日、作戦決行の日。午前中ではなく、夕方に決行する事にした。
夕方になり、先輩の家のドアの目の前に立った。先輩がドアを開けた瞬間、俺は襲い掛かり、先輩の逃げ場を無くした。
その時の先輩の怯えた顔は俺にはとても美しく見えた………。
数分後。先輩は力尽き、倒れたまま動かなくなった。体に触れると冷たくなっており、動かしても反応しない。さっきまで鮮やかだった紫色の瞳は濁った色に変わっていた。
1時間したら、隣人が騒ぎを聞きつけ警察を呼んだ。すぐに警察は到着し、俺は逮捕された。
取り調べ室で数時間黙秘を貫き、終わりの時間が近づいて来た頃に真実を話した。
〈あの人が幸せになるのが気に食わなかったんだよ。〉
ーFinー
コメント
4件
やっぱ転職先もブラックだったのか、、、 人の幸せが憎くて殺人まで、、、
嫉妬…みたいなモノなんですかね🤔 海君………でも殺人はダメよぉ…