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K side
いつもより心臓の音が早い。
これから、るいと会うから。
家を出る前、鏡を何度も見てしまった。
気付けばギリギリの時間になっていて、慌てて家を飛び出す。
息を整えながら待っていると、
R「かのん、おはよ〜」
大きなあくびをしながら近付いてくる。
るいは、いつもと変わりない様子だ。
K「…おはよ…」
声がちゃんと出なかった。
気づかれないように、 そっと息を吐く。
お互いに生活リズムが違うから、ちゃんと会うのは1週間ぶりだ。
高校の、受験勉強以来の図書館。
そういえば、小さい頃はるいと何度も来ていたっけ。
今日も家で勉強すると思っていたのに、なぜか待ち合わせ場所はここだった。
K「あ、この席空いてるよ」
休日だから人気の席はすぐに埋まって、奥まった席しか空いていなかった。
周囲の本棚はマイナーなジャンルばかりで、人の気配もほとんど無い。
横並びの椅子。
肩が少し触れる。
普段なら気にも留めないくらいの距離なのに、僅かな体温にも敏感になってしまって、思わず肩をすくめた。
R「この間の続き…」
その言葉を聞いた瞬間、勉強が中断されたあとの事しか思い出せなくなる。
身体が蕩けた、あの時間。
これ以上は、思い出さない方がいい。
頭が暴走しかけて、慌ててページをめくろうと左手を伸ばす。
けど、るいも同時に手を動かして、指先が触れた。
ぶつかった、というより、指が少し絡まった。
K「……っ…」
思考が鈍くなる。すぐに手を引けない。
心臓の音がうるさくて、るいに届いてしまいそうだ。
R「かのん、耳…真っ赤」
そう言われて、やっと声のする方に顔を向けた。
でもすぐに、後悔する。
赤くなっていく俺を見て、 るいが少しだけ口元を緩めたから。
なんでそんなに余裕なの…?
ドキドキしてるの、自分だけみたいで恥ずかしい。
取り乱す様子を観察されてるのが分かって、慌てて視線を逸らす。
でも、触れたままの手は、教科書の上に置き去りになっていた。
R side
かのんとの勉強は柄にもなく図書館を選んだ。その方が、自分をちゃんと保てそうだったから。
静かな空間、横並びの席、縮まる距離。
思ったよりも平気だな、と安心しかけたら、教科書に伸ばした右手がかのんに触れる。
俺はわざと手をそのままにしておく。だって、手を離す理由が見つからなかったから。
R「耳、真っ赤」
そう言うと、かのんの黒目がちの瞳が困ったように揺れる。赤くなっていく頬…、視線が外せない。
R「あ…」
顔を逸らされてしまった。
今度は、指をゆっくり動かして、ちゃんと絡ませる。
少しずつ確実に湿気を帯びていくかのんの手。
ゆっくりこちらに引き寄せて、手の甲に柔らかく唇を寄せると指先がピクン震える。
その反応に、喉の奥が熱くなる。
かのんをもう少し味わいたくて唇を開いたその時、
K「っ…!」
かのんの手が即座に離れる。
人影を感じたからだ。
R「あーあ…」
もうちょっとだったのに…。残念そうにしていると、
K「ちょっと…外、いってくる」
早々にかのんが席を立ってしまった。
何問か解いた頃にかのんがお茶を持って帰ってくる。
K「はい、これ」
素っ気ない様子で、俺の分も渡される。
R「ありがと…」
少し距離をあけて座ったかのんは、教え方も余所余所しい。さすがに困らせすぎたかもしれない。
少しだけ反省して、俺も勉強へ意識を切り替えた。
帰り道、
R「うち寄る?」
できるだけ自然を装って聞いてみる。
K「うん」
かのんの返事には、さっきまでの余所余所しい空気がもう残ってなくて、少し安心する。
早く抱きしめたい。
1週間前、あんなに濃い時間を過ごしたのに、ずっと触れられてない気がする。
“大切にする”と誓っておきながら、かのんが俺を求める姿ばかり浮かんでしまう。
家に入って、リビングの前で立ち止まる。
R「…なんか食べる?」
無理やり作った笑顔は、きっと、ぎこちなく固いだろう。
かのんはすぐに返事をくれなかった。
その沈黙だけで、急に自信がなくなる。
何に不安になっているのか、自分でも分からない。
R「やっぱり、帰…」
K「部屋じゃだめ?」
その言葉に思考が止まる。
K「るいの…部屋…」
遠慮がちに呟いたかのんの顔は、今日一番赤くなってて。
可愛くて、もう駄目だった。
堪えきれず、そのまま抱き締める。
R「いいに決まってんじゃん、そんなの…」
理性を保つために小さく深呼吸する。
身体をそっと離して手を繋ぐ。
それ以上の会話は無いまま、かのんの手を引いて階段を上がっていく。
衝動的になるな、と自分に言い聞かせる。
する前ってこんなに頭の中がうるさいっけ?
ガチャ…バタン…
電気のスイッチを押す前に、かのんが距離を詰めてきた。
その瞬間、頭の中の声は聞こえなくなってた。
ッチュ…ッ…チュ…
優しく唇に触れてから、啄むようにキスをする。
かのんが身体を預けてくる。その重みでベッドの方へ押されていく。
R「ふっ……積極的」
大胆さに翻弄されているうちに、ベッドに押し倒されていた。かのんに逃げ場を無くされて、気持ちが昂る。
…クチュッ…チュッ…ピチャ…ッ
空間に、水音が響く。
閉め切ったカーテンから光の筋が差し込んでいる。まだ昼間だ。
かのんは、そんな事お構いなしだろう。
夢中になったみたいに、何度も唇が重なる。
少しずつ唇の動きが緩くなり、間ができる。
どうしたのだろうと見上げると、かのんが困ったように俺を見ている。
その表情を見て、何が言いたいか分かった。
意地悪く笑う。
R「…押し倒したはいいけど、どうすんの?」
K side
…どうしていいか分からない。
るいのこと、欲しくて。そしたら、いつの間にか押し倒してた。
るいは、面白がるみたいに目を細めている。
K「…っ…わかんない…」
恥ずかしくなって、るいの胸に顔を埋める。
るいの鼓動も、俺と同じくらい速くなってるのを感じた。
R「仕方ないな」
両肩を柔らかく掴まれ、身体を組み敷かれた。
るいに見下されて、身体が熱くなる。
R「かのんは、俺の腕の中で溶けてればいいよ」
低く掠れた声が耳元で鳴って、肩がピクンと揺れた。
耳に熱い息がかかる。それだけで、危うく声が漏れそうになった。舌先で外から内へなぞられて、 呼吸が段々と浅くなる。
R「…服、脱ごっか」
そう言われて、この間の事を思い出す。
着て帰れないくらいに、汚れちゃったこと。
でも、もう遅いかもしれない。
K「…自分でやる…っ」
R「いいよ」
K「あ…っ」
服を下ろした瞬間、るいの口の端が上がった。俺は顔を背ける。
R「……そんなにしたかった?」
吐息混じりにそう言うと、首筋に熱くなった舌が触れた。
K「…んッ…」
したかった。ずっと思い出してた。けど、恥ずかしくて素直に頷けない。
いつの間にかすべて脱がされ、るいのキスが段々と下りてきた。
K「ッハァ…ぁッ…」
チュッ…チュ…ッ…
唇が内腿を這う。わざと音を立てて、焦らすようにするから、 そこは固く、キツくなっていく。
K「ッハァ……ッあ…もぉ…」
R「…限界?」
ようやく、舌がそこに触れた。
でも、ちゃんとした刺激はくれない。
柔らかくて熱いのが、優しく曖昧に舐め上げている。
K「…ッあ……るい…ッ」
溜まる熱から解放されたくて、急かすように名前を呼ぶ。
R「んー?」
でも、るいから返ってくるのは、とぼけたような返事だ。
K「ッ……るいぃ…ッ…」
半分泣いたような声が出る。
R「なに?」
K「…ぁ…っ……舐めて…」
刺激が止んで、自分の息遣いだけ聞こえる。
あ、来ると思った瞬間、 生温かい感覚に包まれた。
チュ…グチュ…ックチュッ…ッ
K「ッ…ぁッ!…ッ…あッ…ッ」
やっときた感覚に、声が一段と上擦る。
クチュ…ッチュプッ…
K「んぁぁ…ッ…」
るいの舌がねっとりと絡まる。不規則な舌の動きに、腰がビクビクと浮く。
ジュプ…ッチュッ…ジュル…ッ…
ぼーっとしてた頭が真っ白になっていく。
K「ッ…あ…イくッ…ッ…あぁッ……!!」
限界に近かったそこは、あっという間に果てた。
肩で息をしていると、るいと目が合う。
あ、意地悪な顔だ。そう思ってると、
R「…もっかい」
K「っ…え…?…」
息付く間もなく、また刺激が始まる。今度は、るいの手で。
K「…だめッ…」
弱々しい反論は聞き入れられず、 あっという間に二度目の波に呑まれた。
クチュッ…クチュ…ッ…
K「ぁあッ…!」
枕元のシーツを、縋り付くように握り締める。
もがくたび、るいの口元は嬉しそうに歪む。
R「…その顔、好き…」
K「…やッ…ぁッ」
見ないでと、首を横に振る。そんな事しても、るいを喜ばせるだけなのに。
K「あぁッ…ッ…んッ」
熱さが込み上げて、手に力がこもる。
R「可愛いよ、かのん」
熱い眼差しが向けられる。
こんな姿も、表情も、恥ずかしいだけなのに。
るいになら、見られてもいいと思えた。
刺激を緩めない、るいの手にさらに追い込まれていく。
K「ッんんッ…あッ…ああッ……!!!」
身体が弓なりに反る。熱が一気に溢れた。
二度も達して、細かな震えが身体に残る。
なんか、自分ばっかり…。
るいもちゃんと満たされてないと、なぜか不安になる。
かといって、自分からするのはまだ恥ずかしくて…。ただ、るいに身を任せるしかない。
R「かのん、落ち着いた?」
るいが、愛おしむように見つめながら、頭を撫でてくれる。
K「うん…」
本当は、まだ落ち着いてない。
でも、この熱が冷める前にるいが欲しくて、小さな噓をついた。
K「っ…」
まだ慣れない奥に、指がゆっくり入り込んでくる。
すでに良い所を探り当てている指が、解すように動く。
K「ッぁん…!…ぁッ…あ”ッ…」
R「痛くない?」
必死でコクコクと頷く。
上擦った声ばかり漏れて、喉が少し掠れてくる。
R「…声、エロいんだけど」
K「ッだって…やめてくれないから…」
R「じゃあ、やめてあげる」
K「ッあ……」
指を不意に抜かれ、物足りなさに身体がビクンと揺れた。
るいは試すように俺の反応を待っている。
K「…るいの、欲しい…」
疼く身体に、そう言わされる。
R「ふっ…、いいよ」
ズッ…
柔らかく笑ったと思うと、熱い塊がゆっくり入ってきた。
K「ッんんん…!」
R「ッッあ…ねぇ、中…震えてる…ッ」
るいはずっと俺を見ていた視線を外して、苦しそうに息を吐く。
R「ん…やばい…ッ、ごめ…ッ…」
身体が覆い被さってきたと思うと、腰が強く打ち付けられる。
グチュッ…チュッ…ジュプ…ッ
K「ッんぁッ…あッ…るい…ッ!」
またやってきた快楽に、足の先がギュッと丸くなる。
また、溶かされる…。頭の中まで蕩けて、るいが満たされているのかも分からなくなる。
すぐ目の前にある、るいの表情をそっと覗く。
R「ッ…どした?…」
K「…気持ちい?…」
R「ん…?…うん…ッ」
るいが息も絶えだえに答えてくれる。
R「…そうじゃなかったら、かのんにこんな姿…見せてない…」
頼りなく笑う。
そうだよね…。
せっかく繋がれたのに、思考が巡る。
K「ッあぁッ…!!」
さっきの良い所を、るいが角度を変えて突いてきた。甘く痺れるような感覚に襲われる。
R「…考えなくなった?」
俺の気が逸れていたの、見透かされていた。
お仕置き、とでも言うように執拗にそこばかり攻められる。
K「ッ…んんッ…、も…考えない…からぁ…ッ…!!!」
R「…ッ…まだ、だめ…」
何かに掴まっていないともう無理で、必死でるいの背中に手を回す。
K「あッ…もぉ…ッそこばっか……ッ」
快感で、気が遠くなる。
るいの顔、ちゃんと見てたかった。なのに、意に反して目を瞑ってしまう。ただ、刺激を受け止めることしか出来ない。
R「ッ…かのん……」
柔らかい、低い声で名前を呼ばれる。それだけで、繋がっている所がキュッとなる。
K「ッ…んあッ…あ”…あッ…」
R「ハァッ……ッ…出る…ッ!!」
るいの身体が震えた。何度か痙攣して、その後、身体の奥に熱いものを感じた。
R「ん…ッハァ…ハァ…ッ」
るいが力無く、倒れ込んできた。
静かな部屋に、2人の息が重なる音が響く。
見つめ合って優しいキスを何度かしたあと、俺たちは少し眠った。
K「ん…」
目を覚ますと、るいは先に起きていた。
K「……ど…したの…?」
気難しい顔をしているから、思わず声をかける。
R「んー?…かのんさぁ」
口を開いたるいの声が、少し不機嫌そうに聞こえた。
俺、何かしちゃった…?
るいが溜め息を一つ付く。
R「してる時に余計な事、考えんなよ」
K「っ…」
触れてほしくなかった事を言われて、心が揺れる。
K「…ごめん…」
るいは、真っすぐ気持ちを向けていてくれたのに…。
気まずくて何も言えないでいると、ぎゅっと抱き締められた。
R「…俺が満たせてないみたいじゃん」
K「え…それはないっ」
あまりにも即答だったからか、るいがククッと喉を鳴らして笑う。
R「そっか…、よかった」
K「うん…///」
るいも、そんなふうに不安になるんだ。
そう思うと、心が少しほどけた。
K「ちゃんと、溶かされてた…るいに…」
見上げると、るいは満足そうに微笑んでた。
いつか、この人を蕩けさせる日は来るのかな。
そう思いながら、頬に唇を寄せた。
(おわり)
(✏️「自己犠牲」をすこーし修正しました。かのんの気持ちの解像度上がったかなーと思います💦)