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私の初恋 第1話 はじまり
これは嘘のようで本当だったお話。
15年前の春 4月
アオバズクが「ホーホー」とフクロウのように鳴いている。
空は雲ひとつない眩しいほどの快晴だった。
私、三浦ゆなは今日から小学一年生。
黄色い帽子を被り、ピカピカの新しい赤のようなピンクのようなそんな色のランドセルを背負い、ママと手を繋ぎながら学校まで歩いている。
「ママ、しょうがっこうたのしみだなぁ」そう言いながら小学校へ向かった。
今日は待ちに待った小学校の入学式だ。
まだ保育園を卒園したばかりで仲良かったまいちゃんや大好きだったあかり先生と離れてしまい幼いながらも寂しさを感じていた。それを忘れてしまうほど私は今日という日を楽しみにしていて胸が踊っていた。それはそうとも小学生になった私は少し大人になった気がした。この日のために大嫌いなピーマンを食べれるようになったし、お風呂も1人で入れるようになったし、転んでも泣かなくなった。小学生になる為に沢山努力してきたからだ。
学校に着き門を潜ると、背が高い男の人が門の前に立っていて案内をしていた。そのままママとは別の方向に案内され私は教室という所に連れてこられた。初めての場所に見知らぬ同い年くらいの子が何人かいて不安でいっぱいだった。
「ママ、どこ?」
もちろんママは説明会に行っているため、ここにはいない。そんな事も分からない私はあれほど小学生になるために努力してきた”泣かない”をついに破ってしまった。
「ママ、まりちゃ…ん、あかり、ふぇぐっ…しぇんせい…」
卒園した保育園に戻りたい。ママに会いたい。そう思うとますます涙が止まらなくなってしまった。泣いている私を見かけた女の人が寄ってきて私の目の前でしゃがんだ。
「大丈夫、ママはちゃんといるよ」
そう言ってにっこりと笑っていた。
私も何故だか分からないが、すんっと涙が止まった。
暫くしてキーンコーンカーンコーンという音が鳴った。
それと同時に先程の女の人が教室の前に立ち「みなさん自分の名前が書いている所に座ってください」と大きな声でゆっくりと言いながら白い棒みたいな物で何かを書いていた。
「みなさん初めまして、私がこれから1年1組を担当する赤坂ゆみです!ゆみ先生と呼んでね!よろしくね」
そう言った後またにっこりと笑った。ゆみ先生は髪の毛が長くて1つに結んでいてあかり先生みたいにとても優しそうな先生だった。先生の自己紹介とお話が終わった後またチャイムがなりそれと同時に「これから入学式が始まるのでトイレは今行っとくように」と先生が言っていた。私もトイレに行っとこうと教室を出ると1人の男の子がドアの横の所にいた。「なに?」と私が不思議そうな顔をしていると彼は私の顔を見て何も無かったように1年3組に帰っていった。私は彼の背中を追いかけて声をかけようとしたが先程の不安を思い出しかすり声すら出なかった。
「これから第〇年度入学式が始まります」
拍手と曲が流れ私は教室よりも広い体育館という所の中に入っていった。前の子に着いて行き歩いていると他の子のお父さんやお母さんらしき人が沢山いて、私もママを見つけながら歩いていた。しばらくしてママを見つけあまりの嬉しさに思わず手を振った。ママも小さく手を振り返してくれて不安な気持ちは一気に消え嬉しさでいっぱいだった。
1年1組から3組まで入場し終わると1人ずつ名前を呼ばれ席を立ち返事をしないといけないみたいで緊張でいっぱいだった。いつ私が呼ばれるかドキドキしつつ待っていると
「三浦ゆな」とゆみ先生が言い私は立ち上がり大きな声で「はい!」と言った。
私は緊張が無くなった安心と名前を呼ばれた嬉しさですごく暖かくなっていた。もう何も怖くない。朝は泣いてしまったけど次は絶対泣かないぞ、小学生になったんだもんと心の中で呟いていた。1組が終わり2組、3組の順に次々と名前が呼ばれていった。「続いては3組です」と3組の先生が名前を呼び始めた時、ふと入学式が始まる前に教室のドアの横の所にいた彼を思い出した。先程は不安でいっぱいで声すらかけられなかったけど次は絶対声かけたいと思い集中して名前聞いていた。しかし中々呼ばれず集中も無くなってきた。実は昨日楽しみすぎてあまり寝られなかったのだ。
「森岡はる」
「はい!」
「山本しゅんすけ」
「はい!」
「原田こう」
「はい」
私とは正反対の返事であまり元気がない子だなと不思議に思い、ふと立ち上がってる男の子を見た。
その男の子はドアの横にいたあの彼だった。なんで元気無いのかな。 原田こうって言うんだ。こうくん。今度声かけてみよう。
小学校で友達を沢山作りたいと思っていた私は不思議に思いつつも楽しみが増えた事で嬉しさでいっぱいだった。
そして彼が椅子に座りかけた時
突然彼とパチリと目が合ってしまった。
え?目が合った? 友達になりたくて声はかけようと決めていたが目が合うとは聞いてない。あの子も私と友達になりたいと思ってるのかな。そう思ってる自分もいたが彼を集中して見ていた私がどこか恥ずかしくなってしまいその後の校長先生のお話や偉い人のお話は耳に入って来なかった。
入学式が終わり教室に戻るとすぐ帰りの準備をすることになった。どうやら今日は式だけで終わりだという。朝は不安で帰りたいと泣いていた私だが今はまだ学校にいたい気持ちに変わっていた。
「廊下でお父さんお母さんが待っているので探して一緒に帰ってくださいね」
そうゆみ先生が言った後チャイムがなりみんなが一斉に教室を出た。私もママ早く探して帰ろうと思いランドセルを背負った。ドアを潜ろうとした時彼を思い出した。そうだ、こうくん!声かけるんだった!私は3組に向かおうとしたがママに「ゆな!ゆな!」と声を掛けられてしまい行くことはできなかった。
帰り途中ママに朝泣いてしまった事を話した。
「ママ今日怖くて泣いちゃったの」
「泣いちゃったの?でも入学式はちゃんと返事できてたじゃない」
「でもねでもね明日から学校行くの楽しみになったよ!」
「明日からママはいないけど大丈夫?」
「うん!大丈夫!こうくんもいるし!」
「こうくん?もうお友達できたの?」
そう聞かれ私は思わずうんと言ってしまったが話した事なんて無いし友達なのかな?と疑問に思いつつまぁいいかとママと家に帰った。
「起きなさい、ゆな遅れるよ学校!小学校!」
ママの大きな声で目が覚める。学校行きたい!8枚切れの食パン1枚にマーガリンを塗り急いで食べる。
「ゆな学校楽しみ?」
「うん!楽しみ!早く行きたい!」
「給食はまだないみたい。今日は午前で終わりよ。お昼頃向かいに行くね。髪結ぶけど何がいい?」
「給食ってなに?え、朝は一緒に行かないの?」
「朝は集団登校だから向かいの家のさらちゃんとかゆうとくんとかと一緒に学校に行くんだよ、給食はそのうち分かるよ」
「さらちゃん!さらちゃんがいるなら安心だね!髪は2つにして!」
「そうねさらちゃんは小さい時から一緒に遊んでるもんね、さらちゃんが小学6年生で班のリーダーだから何かあったらさらちゃんに言うんだよ!2つ結びねわかった」
さらちゃんは小さい時から一緒に遊んでくれてるお姉ちゃんみたいな人。私は1番上の長女で兄弟がいて下に妹が1人と弟が1人いる。だからお姉ちゃんという存在は嬉しかったしすごく優しくて憧れでもある人だった。
「忘れ物ない?」
「うん!ない!行ってきまーす!」
元気よく私は家を出た。すると家の前にはさらちゃんやゆうとくんその他何人かが待っていた。
「ゆな!待ってたよ!」
「さらちゃん!」
ママと離れ離れは寂しいけど集団登校で行くのもいいなと思った。私は学校が楽しみで仕方がなかった。今日は絶対友達作るんだと心の中で決めている。その為に昨日の夜お風呂で自己紹介の練習をしたんだから。
「ゆなはもう友達できた?」
「できたよ!」
「え!早い!どんな子?」
「話した事は無いけど仲良くなれそう!」
「話したことないの?それって友達って言うの?」
「うーん分からない!」
それを聞いたさらちゃんは不思議そうに笑っていた。確かに今は友達とは言えないかもしれない。今日こそはこうくんと話すんだ。さらちゃんと話していたらあっという間に学校が見えてしまった。さらちゃんは小学校6年生だからクラスが違うらしい。
「私はあっちだから!友達作るの頑張って!ゆな!」
「頑張る!!またねさらちゃん」
さらちゃんは手を振って階段を上がってしまった。私は教室に行き大きな声で「おはようございます!」と入った。
「三浦さんおはよう」
最初におはようって返してくれた人はゆみ先生だった。他の子達はモジモジしていて1人で居るような子が多かった。昨日練習したんだからと勇気を持って自分の席が近い女の子に話しかける事にした。
「わ、私三浦ゆなです!好きな色はピンクでプリキュアがだいすきです!」
「私は佐々木かのんです。プリキュア私も好き!」
かのんちゃんかぁ。かのんちゃんはふわふわしていて私よりも圧倒的に可愛さで溢れているような子だった。
そこからチャイムがなるまでプリキュアについてかのんちゃんと話した。
キーンコーンカーンコーン
「はーいみんな座って、おはようございます」
「「おはようございます」」
2日目が始まった。昨日は入学式だったけど今日は何をするのかなと胸を高鳴らせていた。
「今日は学校探検をします!小学校に来て今日で2日目でどこにどんな場所があるか分からないと思うので今日で分かるようにしましょう!」
探検かぁ。友達は作れるかな?そう思いつつ学校探検が始まった。
「みなさん、こちらは保健室です。具合が悪かったり怪我をした時に行く所です」
「みなさん、こちらは職員室です。先生達がいる所です。教室に先生がいなくて何かあったらここに来てください」
「こちらは____」
少し退屈だなと私は感じていた。早く終わってかのんちゃんとプリキュアの話の続きしたい。私の席の斜め右にいる女の子にも話しかけたい。そうだ、こうくんにも。しばらくすると池があるお庭の前に止まった。赤い小さい橋もあり池の水は濁っていて汚かった。
「こちらはお庭です。うさぎや亀などがいます。お世話もすることが出来ますよ。」
お世話してみたい。うさぎ可愛いなぁ。小学校に池なんてあるんだ。そう池を見ながら思っていると
「みなさんこちらはお庭です。」
あれ?さっきも聞いたと思うんだけど、ゆみ先生の声ではない。声がした所に振り向くと他の組がいた。1組以外にも学校探検だったんだ。庭はそんなに大きくはないため他の組が来て混雑していた。
「はーい1組!1組は違うところに行くよ 」
列は動き始め私は前の人に着いていった。 庭を出る前私はこうくんがいないか探しつつ出たが、こうくんはいなかった。先生に言われるがまま着いて行き終盤に近付いていた。
「ここが最後です。みなさんが昨日入学式で使った体育館です。」
昨日こうくんと目が合ってそれっきり見かけてない。そもそもこうくんは何故あの時ドアのとこで待っていたんだろう。私を待っていたのか違う子を待っていたのか。私じゃないとするならなぜ昨日目が合ったのか。謎が深まるばかりでどこか心の中でモヤモヤしていた。
「みなさん教室に帰りますよ」
学校探検もようやく終わった。今日は午前だけだって朝ママが言ってたから終わりかぁ。結局こうくんとは会えなかったな。そう落ち込んでいるとまた他の組とすれ違った。あの組は今から最後の体育館に行くみたいだ。
「他の組も通ってて危ないからみなさん真っ直ぐ歩いて」
ゆみ先生がそう言っていたが私は落ち込んでいてぼーっと歩いていた。
「こう、学校終わったらサッカーどうするの?」
隣を通ってる他の組から聞こえた。あれ?こう?こうってこうくん?急いで後ろを振り向く。
「こう!」
思わず名前を呼んでしまった。こうくんはすぐこっちに気付いたが私達1組は教室に向かっていて3組は体育館に向かっている為すれ違いになってしまった。
こうくんに会えた。ただそれだけが嬉しかった。明日は話せるといいな。
「ただいま」
学校探検が終わり家に帰ってきた。ママも私を学校に迎えに行った後、妹と弟も連れてスーパーに行ってしまった。今家にいるのは私とスマホを見ながら寝ているパパだけだ。
「パパ、学校楽しかったよ」
「…」
パパは働いていない。パパは足が痛いと嘘をついて生活保護を貰っているがそのお金でパチンコに行っている。パチンコで勝ったら優しくてテレビを見せてもらえる。しかし 負けると真逆になり豹変し、暴力や晩御飯抜きだったり家を追い出される事もある。今日は負けたのだろう。そんな時は話しかけず部屋の奥にいる。これが私の日常だった。