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「明日も、生きてみようかな。」
そう、思えた。
放課後、学校の片隅で見つけたチケットをポケットにしまった僕は、帰り道を歩きながら、それを何度も思い返していた。「本当にやり直すべきなのか?」 一週間前に戻ったところで、どうせまた同じことが起こる。あのクラスの無神経な言葉、誰にも理解されない羽のこと__それは、きっと変わらないのではないか。
でも、少しだけ希望が見えた気がした。やり直せるなら、何かが変わるかもしれない。
僕は心の奥底でその思いを信じたくなった。
チケットを使う決断をした瞬間、まるで時間が止まったかのように感じた。
周りの音が遠くなり、空気が一変した気がする。振り返ると、学校の風景が少しぼやけて見え、なんだか時間の流れが変わったような感覚。
「…頑張るか。」
決意を固め、家に帰るとすぐにその夜、眠る前にチケットを使うことを決めた。
次の日、目が覚めると__
学校に行く前のあの日と同じ、朝が迎えられていた。
あれから時間が戻ったのは確かだ。けれど、何もかもがそのままだと思うと、少しの不安が胸を締め付けた。
「ほんとにもう一度、やり直せるんだよね?」
そう呟きながら、僕は制服に袖を通した。昨日のことを思い出しながら、少しだけ強くなる気がした。
そして、学校に着くと──
いつもと変わらない風景が広がっていた。
けれど、僕は少しだけ変わった自分を感じていた。
あの痛みがまた襲ってくるかもしれない。でも、今度はそれを乗り越える勇気が湧いてきていた。
教室に入る前に、深呼吸をひとつして、目の前にいる人たちに視線を向けた。
もう、僕を嫌わないで。
心の中でそう思いながら、足を踏み出す。
そして、その瞬間__
一番後ろの席から、少し離れたところで一人の女の子が僕に小さな笑顔を向けてきた。驚きと戸惑いが交差したが、僕はその笑顔を見逃さなかった。
何かが、少しずつ変わり始めているようなそんな気がした。
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