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「あはあぁ〜…」
ニマニマする那緒。
「また那緒がニマニマしてるぅ〜」
歌乃が言う。
「あれだろ?ルイとのデートのこと、まだ頭ん中でリプレイしてんだろ」
保の言う通りだった。那緒はルイとのデート?を回想していた。
「まあぁ〜…。あのるいるいがオシャレしてキメてきたら、大概の女子はイチコロよ。
那緒はルイのこと好きなんだし、もう終わりだね。抜け出せない底なし沼にハマったようなもんよ」
「ま、たしかに。あいつ中学でも高校でも人気だったよなぁ〜」
「そうそう。高校んときとかさ
雫(しずく)と鍵輝(きら)も「袴田ってちょっとイケメンすぎるよね」って言ってたもん」
「なっつ。青牙(雫の苗字)と亀岳院(鍵輝の苗字)でしょ?」
「そうそう。私と仲良かった」
「やっば。懐かしすぎ。あいつら今なにやってんの?」
「大学生だよー。あの2人は同じ大学」
「そうなんだ?うたは今も仲良いの?」
「仲良いよぉ〜。今でも3人のグループあるし、そのグループ動いてるし」
「マジか」
と高校の頃の話を少ししていると
「おいっすぅ〜」
「うたちゃんおっすー」
と大学の他の子が話しかけてきた。
「おいっすぅ〜、菫(すみれ)ちゃんに愛凪(まな)ちゃん」
菫と愛凪。2人は歌乃、保、那緒、ルイの4人と同じ大学に通っている。大学で出会い、歌乃とは仲が良い。
「ん?本須(もとす)さんどうかしたの?」
と愛凪が歌乃に聞く。
「あぁ〜…。ま、良いことがあったんよ」
「へえぇ〜。あ、今日王子は来てないん?」
「まだ王子って呼んでんの?ルイのこと」
「そそ。王子。ルイ様」
「見ての通り。今日はいませーん」
「遅れてくるとかは?」
と菫が歌乃に聞くと歌乃は「どうなの?」と言わんばかりに保を見る。
「今んところ既読もついてないし、昼前には来ないだろうな」
と言う保。
「んーだぁ〜…」
「なんだよぉ〜…」
とガッカリする菫と愛凪を見ながら
なんか納得いかない。あんなダルがりのルイがこんなに人気なんて…
と思う保。そんなこんなで講義が始まった。結局
「ルイ様午前来なかったかぁ〜」
「ねぇ〜」
と菫と愛凪の嘆くように、ルイは午前の講義には顔を出さなかった。
「うたちゃーん。お昼一緒にどお?」
と言う愛凪。
「おぉ〜…。そ、う、ね?たまには」
「本須さんもよかったら」
と言う菫。
「あ、はい。じゃあ…」
「保はー」
と歌乃が言うと
「眠りの王子様を起こしてくるわ」
と言う保。
「「いいなぁ〜」」
と羨ましがる菫と愛凪。そんな菫と愛凪にどこか優越感を感じながら講義室を出ていった保。
保はルイの家へ、歌乃と那緒は菫と愛凪とお昼ご飯を食べに行った。
ルイはというと、那緒と猫カフェに行った影響なのか、猫が家にいるという夢を見ていた。
ルビーが冷蔵庫の扉を開けっぱなしにして、猫が冷蔵庫の中に入り、冷蔵庫の中のものを落としていた。
ダルがりのルイがなぜか「あぁ〜あぁ〜」と言いながら冷蔵庫に寄っていく。
途中で床に落ちていた納豆を踏んで、ズルッっと滑って
額をアイランドキッチンの側面にぶつけたところで目が覚めた。
現実でも額をぶつけていた。ベッドが面している壁に。
「…」
夢で、落ちる夢やぶつける夢を見た場合、大概ハッ!っとして起きて
心臓がバックンバックンなはずなのだが、ルイの表情は変わらず。
しかし心臓は正直でバックンバックンなっていた。額を摩りながら上半身を起こす。
鼻をクンカクンカさせる。夢の中では猫を家族に迎えていたが、こう見るとルイ自身が猫のようである。
なぜ鼻をクンカクンカさせたのかというと、微かに納豆の匂いがするのに気づいたからだ。
その匂いを辿るようにリビングへ行くと
「おぉ〜。おはぁ〜、王子ー」
保がキッチンで料理をしていた。
「納豆使ってる?」
「おぉ。もしや匂いで起きた?」
「いや…」
「ま、とりあえず歯ー磨いて、顔洗ってこい、王子」
と言われて洗面所へ向かうルイ。
「お前はオレのおとんかー。とかツッコめよ。あと王子ってなに?とか聞けよな」
と言いながら料理を続ける保。歯を磨いて顔を洗い終えたルイがリビングに戻ってくる。
ちょうど料理を作り終えた保が、料理を盛ったお皿を2枚持ってダイニングテーブルへ向かっていたので
ルイは保と入れ違いにキッチンへ行き、保と自分の、2人分のお箸、スプーン、フォーク、ナイフを
カトラリーケースと呼ばれる、レストランなどである木製のケースのようなものに入れて
ダイニングテーブルへ持ってきた。
そしてまた入れ違いに保がキッチンへ行って飲み物を注ぐ。もちろんルイの分も。そしてイスに座る。
「なんそれ。そんなん買ったん?」
と木製のカトラリーケースを触りながら言う保。
「買った。その日の食事なに使うかわかんないから、全部これに入れて持ってくれば楽だから」
「なるほどな。ダルがりも考えるんだな」
「世の中を変えてきたのはダルがりなのだよ」
と言うルイに
「…たしかに」
と納得した保。たしかにいろいろな便利なものを生み出す人というのは
少なからず怠惰な思考があるものである。
しかしながら“なるべく楽ができるように”という思いがあるのは間違いないが
世の中を便利にしてきた人、便利なものを生み出してきた人
そして生み出す人というのは「あぁ〜。ダルい…。めんどくさい…」で終わらずに
ダルくないように、めんどくさくないようにするにはどうすればいいか?ということを考え
その考えを具現化するという行動力のある人なのだ。というところまでは考えが至らなかった保。
「今日はネギと納豆のチャーハンでぇ〜す」
「あぁ。だから納豆が夢に出てきたのか」
「納豆が夢に?どんな夢?」
「納豆踏んで転ぶ夢」
「なんだそれ」
と笑う保。
「これお箸で食べるの?スプーン?」
「スプーンだろ。チャーハンだし」
と言いながらカトラリーケースからスプーンを取り出してルイに渡す保。
「さんきゅ」
「ん。じゃ、いただきまぁ〜す」
「いただきます」
先に「いただきます」と言ったものの、ルイより先には食べず、ルイが食べて
「どお?」
と感想を聞く保。
「…うん。相変わらず美味しい」
「だろぉ〜ねぇ〜」
と上機嫌で食べる保。
「うん!うまい」
と笑顔の保に
知ってたなら聞くなよ
と思うルイ。
「そういえばルイさー」
ルイはチラッっと保を見る。
「なんで王子なんて呼ばれてん?」
もぐもぐと咀嚼しながら
呼ばれてん?って言われても、そもそも呼ばれてることすら知らないのに
と思うルイ。飲み込んでから
「さあ」
とだけ言ってまた食べる。
「親友として、なんかムカつくんだけど」
と言う保に
そう言われてもなぁ〜
と思うルイ。
「そう言われてもなぁ〜。みたいな顔してるけど」
コクンと頷くルイ。
「なんでルイのこと、王子って呼んでんの?」
女子4人でお昼ご飯を食べる中、歌乃が菫と愛凪に聞く。
「なんでって」
と言って菫が愛凪を見る。愛凪も菫を見る。
「ねえ?」
「ねえ?」
「ねえ?って言われてもわかんないって」
「いや、見た目でしょ」
と言う愛凪。
「見た目が”The王子”じゃん、ルイ様」
と言う菫。
「まあぁ〜。たしかにそうか。見慣れてる私でもカッコいいとは思うからなぁ〜」
「そうじゃん。うたちゃん中学からの幼馴染なんでしょ?王子と」
「そうだよ〜?那緒も」
「あ、そっか。本須さんもか。え、中学で王子はどんな感じだったん?」
「あ、気になるわ」
と歌乃と那緒を交互に見る菫と愛凪。歌乃は那緒を肘でつつく。
「私?」
小声で歌乃に言う那緒。笑顔で頷く歌乃。
「え、えぇ〜…。ルイは中学1年の…5月の始め頃だったかな?に来て」
「あ、そうだっけ?」
「そう…だと思う。なんか、入学自体は私たちと同じだったんだけど
お家の事情とかで、登校するのが遅くなっちゃったとかなんとか」
「なんかルイ転校生のイメージあったけどそれか」
「たぶん」
「王子ってイギリス出身なんでしょ?」
と菫が聞く。
「そうそう。イギリスのパパと日本人のママのハーフ。
イギリスで生まれて、…小学校卒業で、中学に上がるタイミングで日本…そっか。そういえばそうだ」
と言う歌乃に頷く那緒。
「ハーフってズルいよねぇ〜…」
「わかる」
「それにルイ様のあのアンニュイな感じ」
「めっちゃわかる」
と話す菫と愛凪に
ルイはアンニュイっていうか、ただダルがりなだけだけど…
と思う那緒に
アンニュイって…なんだ?アンニュイ…アンニュイ…。あ、杏仁豆腐食べたくなってきた
と思い、生唾をゴクリと飲む歌乃。
「え、うたちゃんと本須さんってさ、王子とずっと一緒なの?」
「ずっと一緒ってわけではない、けど。中学は2年生だけ違うクラスで、高校は1年だけは違うクラスだった」
と答える那緒。
「えぇ〜っと?…4年同じクラスだったってこと?」
「そう、だね」
「ヤバ。運命じゃん」
と愛凪が驚き、「運命」と言われ赤くなる那緒に
「そんなこといったら私のほうが運命ですぅ〜」
と歌乃が割って入ってくる。
「運命ですーってなんだし」
と笑う菫。
「私と那緒、中高6年間同じクラスだし」
となぜか自慢げな歌乃。
「マジ?」
「マジぃ〜」
「ヤ〜ッバッ」
なんて盛り上がっていた。
「…ルイさー、矢野越(やのこし)さんと今日都(きょうと)さんって知ってる?」
保がソファーの右の肘掛けのほうに寄りかかりながらルイに聞く。
「…中学?高校?」
保の腰辺りに脚を乗せ、左の肘掛けを枕にしてソファーに寝転がるルイが聞く。
「大学」
「いや、大学、保たち以外誰も知らん」
「そっかぁ〜…。なおさらムカつくなぁ〜」
「…」
なにが
と思うルイ。
「この2人なんだけどさ?」
と保がルイにスマホの画面を見せる。
「…。へぇ〜…。あんま見えないけど」
ソファーの端と端なのでスマホの画面が小さい上に、ルイは見ようと身を起こそうともしないので
なおさら見えない。
「…」
ジト目でルイを見た後、ルイのお腹にスマホを、乗っけるように、下投げで投げた。
お腹からスマホを拾って画面を見るルイ。
横の写真が縦になっていたので、スマホを横にして写真を回転させる。
保のスマホの画面には女子4人が写っている写真が表示されていた。
歌乃が撮ったようで、歌乃の隣に那緒、その隣の女子2人は、ルイからしたら知らない女子だった。
「あぁ〜…」
「お。知ってた?」
「いや、知らない」
「なんやねん」
首を前に倒すようにガクッっとする保。
「それよりこれなんの写真?」
「ん?今4人でご飯食べてまーす。の写真」
「…。Nowの話?」
「そ」
「いちいち現状を写真付きで報告してくんの?」
と言ってスマホを自分のお腹に置くルイ。手を伸ばして、伸ばしまくってスマホを手に取る保。
「してくるっていうか、オレがしてほしい的な?ま、うたも同じ意見だったから
こうやって、なにかあれば写真、あ、うたの顔付き写真で報告してくれるのさ」
と言ってスマホの写真を見る保。
「…かわい」
と言う保に
胃もたれするわ…
と少し顔色が悪くなるルイ。
「で?彼ピはなんて?」
と聞く菫に
「楽しそうで良かった。だってぇ〜」
と溶けそうな顔で言う歌乃。
「うわぁ〜。芦亜くんそーゆー重いの好きじゃなさそうなタイプなのに大丈夫なん?」
と聞く愛凪。
「ん?むしろ喜んでるよ?」
「え、あ、そうなんだ?意外だわ」
「2人ってなんで付き合うことになったの?」
「あ、気になるわ。てかいつからだっけ?」
「中2ぃ〜」
「なっが」
「で?なんで付き合うことになったん?」
「え〜?ま、中1のときに」
と言いながら那緒を見る歌乃。
「…ま、中1のときにルイに想いを寄せてる子がいたのよ。…あ、今もか」
「ま、いるだろうね」
「そうそう。で、その子と私、仲良くてさ?
その子とルイを繋げようとして、ルイと仲良さげにしてた保と仲良くなって
ま、そもそも保とは面識あったけど」
「あぁ〜わかる。うたちゃんってカーストとか陰キャ陽キャ関係ないタイプだもんね」
「わかるわ」
「そおかな?ま、で、ルイとも仲良く?なったんだけど、その子、全然気持ち伝えなくてさ?
で、夏休みとか4人でプール行ったり、お祭り行ったり
イルミ(イルミネーション)見に行ったり、クリスマス、ルイの家で遊んだり」
「マジ?王子の家行ったの?」
「今もたまに行くよぉ〜?」
なぜか得意げな顔をする歌乃。
「羨ま」
「ね。てか、その女子、奥手すぎん?」
と言う菫に、ギクッっとする那緒。
「でぇ〜、ま、4人で行動することが増えていってね?」
「まあ、そりゃそうか」
「そうそう。で、保、あんな感じだけど、抜けてるとこがあって。天然?に近いのかな。
一緒にいるうちにそんな一面に気づいてね?」
「ほら、ルイも知ってる通り、うたってバカじゃん?
高校んときもよくうたの補習に付き合って残ったりしたよな?懐かしぃ〜」
と言う保に
いや、保の補習もあったけどな
と思うルイ。
「んで、4人で一緒にいることが多くなってさ?うたのバカさ加減におもしろくなってさ?
めっちゃ言い間違いするじゃん?うた。それがめっちゃおもしろくてさ」
と言う保に
保もよく言い間違えるだろ
と思うルイ。
「んで、次はどんな言い間違いするんだろう?とか」
「次はどんなドジするんだろう?って思ってたら、なんか…なんていうの?
いつからかはわかんないけど、それが好きに変わってたらしくて」
「あぁ〜はいはい。ラブコメあるあるね」
と愛凪が言う。
「そうなの?」
「そうじゃない?好奇心の「なんか気になる」が
恋愛の「なんか気になる」にいつの間にか変わってた!みたいなやつ」
「あぁ〜。まさにそれだわ。なんか保が笑って私を見たらなんかドキドキして」
「うわぁ〜…青春…」
なぜか嫌そうな顔をする菫。
「なんか目合うだけでドキッってしてさ」
表情は変わらないが「もういいわ」みたいな顔をするルイ。
「いつからかはわかんないんだけどな?でもなんか意識するようになってって」
〜
歌乃と保が中学2年生の8月17日。歌乃は那緒やルイ、保の4人でお祭りに行こうと思っていたが、保から
保「本須もルイも誘ったから、5時に鳥居前集合で!」
とメッセージをもらったので那緒にもメッセージすることなく待ち合わせ場所に向かった。
すでに鳥居前で待っていた保は、待ち合わせ時間の30分前に着いており
待ってるべきだよな?でも、もし多馬(たま)も早く来たら?
こんな早く来てるって、なんかキモく思われないかな?
と鳥居の前に行ったり少し離れたりしていた。結局歌乃は10分前くらいに来て
「よおぉ〜。おまたせぇ〜」
と保と合流した。
「おう。いや、待ってないけど」
と言った後、5分ほど鳥居の前で謎に話して
「屋台見て回るか」
と保が提案した。
「え。でも5時に那緒とるいるいと待ち合わせでしょ?」
「まあぁ〜…そうだけどー。まっ、ちょっとくらいいいじゃん?」
とニカッっと笑う保にドキッっとする歌乃。ということで2人でお祭りの屋台を見て回ることにした。
しかし夏休みの夏祭り。地元の人たちでごった返していた。
なのではぐれないように、先を歩く保はちょくちょく振り返って、歌乃が着いてきているかを確認していた。
しかし保がパッっと振り返ったとき、先程まで着いてきていた歌乃がいなかった。
今歩いてきた道を逆走して歌乃を探す。すると人混みから歌乃が現れた。
「「いた」」
ハモった。
「いや、オレのセリフ」
「いやいや私のセリフ。ちょっと見て。って言ったじゃん」
「マジ?全然聞こえなかった。…マジ心配した…よかったぁ〜…」
と言う保に、歌乃がまだ気づいていない、歌乃の中に芽生えていた保への恋心が明確に大きくなった。
「で?なに見つけたん?」
と言う保に
「あ、これこれ!」
と歩いていく歌乃に着いていく保。そこにあった屋台は宝石掬いだった。
「なにこれ?」
「え!?宝石掬い知らないの!?」
「見たことも聞いたこともないわ」
「嘘じゃん」
「ガチじゃん。え、やりたいの?」
「やりたいけどぉ〜…。小さい頃やって
ちょっと大きくなってからも妹と来てやったんだけど、めちゃくちゃ下手でさ」
「ふうぅ〜ん」
と言いながらしゃがみ込む。
「じゃ、勝負しようぜ?」
と言う保。
「えぇ〜。負けるよぉ〜」
と言いながらも保の隣にしゃがみ込む歌乃。
「女子ってこーゆーの好きなのな」
「えぇ〜。だって豪華、…豪華らんらん?じゃん?」
と言う歌乃に吹き出す保。
「それを言うなら豪華展覧な」
と言う保。
「あ、それ!」
「多馬、マジ言い間違い多いよな」
「うるさいなぁ〜」
話していると、屋台のお兄さんに
「豪華絢爛じゃない?」
と言われて、歌乃と保は顔を見合わせて笑った。そしてお金を払って宝石掬いをした。
2人とも集中してやったが、結局1つも掬えず
「引き分けか」
「そうだね」
引き分けという形になった。気づけば歌乃も那緒とルイのことをすっかり忘れて
保とチョコバナナを買って食べたり
フランクフルトや焼きそば、ラムネなんかを買ってベンチに座って食べていた。
「ゴミ捨てついでにベビーカステラでも買ってくる」
と保がゴミをまとめて立ち上がる。
「うん。じゃ、ここで席確保して待ってる」
「知らない人に着いて行くなよ?」
「何歳だと思ってんの?」
と少しぷりぷりする歌乃に笑う保。
保はゴミをゴミ箱に捨ててベビーカステラを買いに行った。待っている間に
「あ」
那緒とルイのことを思い出した歌乃。LIMEをする。
歌乃「那緒ー。もしかして鳥居で待ってる感じ?」
と送って数分後、那緒から返信が来た。
那緒「鳥居?なんのこと?」
歌乃は「へ?」と思った。
歌乃「え。今日お祭りじゃん」
那緒「そうだね」
歌乃「え、芦亜に誘われなかった?」
那緒「いや?」
歌乃「マジ?」
「マジ?なんで?」
思わず呟く歌乃。そこへ保が帰ってきた。
「お待たせぇ〜」
「ねえ、那緒誘ってないでしょ?」
「おぉ〜…。あ、バレました?」
「あ、バレました?じゃないよ。どーゆーこと?」
「…」
どう説明していいものか迷った保だが
「ま、とりあえずベビーカステラでも食べて落ち着きましょうや」
とベビーカステラでお茶を濁すことにした。しかしベビーカステラにラムネは合わないし
帰りにコンビニで紅茶でも買って、近くの公園で食べようかという話になり
今一度屋台を見て回ることにした。ヨーヨー掬いやスーパーボール掬いなどを見て保は
「昔よくやったわぁ〜」
と言って
「えぇ〜?ただのスーパーボールじゃん」
と言う歌乃に
「わかってないなぁ〜…。ここで掬うスーパーボールは別モンなのよ」
「それ私の宝石掬いと同じじゃん」
「それだわ」
なんて話して歩いていた。そして帰る途中でコンビニに寄り
心の紅茶を買って、近くの公園のベンチで座ってベビーカステラを食べることにした。
「冷めっ冷(さめ)だ」
と言いながらベビーカステラを食べる歌乃。
「帰り際に買うべきだったか…」
と言いながらベビーカステラを食べる保。
「去年もこの公園来なかった?」
「あぁ〜…来たかも。てか去年も祭りの帰り、多馬を送って、あのコンビニ行って公園寄ったんじゃん」
「あ。そっか。去年は那緒とるいるいと4人でお祭り行って
るいるいに那緒を家まで送らせて…、そうじゃん!なんで今日那緒もるいるいも呼んでなかったのよ!」
と思い出して保に聞く歌乃。
「あぁ〜…。それねぇ〜…」
胸が逆に冷んやりするほど心臓がとてつもなく早く鼓動する保。謎に手を、ぱち…ぱち…と叩く保。
「いやぁ〜さ?」
「うん?」
「いやぁ〜…」
と言いながらポケットからあるものを取り出し
「…あっ、これあげるわ」
と歌乃に差し出す保。それは大きな宝石がついた指輪だった。
「え、どうしたのこれ」
「いや…取った」
実はお祭りのとき、飲み物を買いに行くと少し席を外したときに、宝石掬いをして、奇跡的に掬えていたのだ。
「え、くれんの?」
「あげる」
「え、やったぁ〜」
と言いながら左手の小指にはめる歌乃。
「おぉ〜。綺麗。どお?ほんとーは人差し指にしたかったけど、子ども用で小さくて小指にしかできんかった」
と言う歌乃。笑顔の歌乃。その笑顔の歌乃を見た保は
「あのさ…。好きなんだけど」
と口をついて出た。本当は、出会って一緒に過ごすことが多くなって
いつのまにか気になってて。とかいろいろセリフを頭の中で想定していた。
しかし、自分があげた、安物のおもちゃの指輪をつけて
満面の笑みを浮かべている歌乃を見たら、考えより先に口が動いていた。
「え?」
思わぬ言葉に、キョトンとする歌乃。
「オレ、多馬のこと好き、…なんだよね」
もう意を決めて言った保。
「あ、…うん」
「付き合って、ください…」
照れて保のほうを見れず、太ももにちょこんと置いた自分の手を見る歌乃。
小指には保からもらった大きな宝石のついた指輪が光っていた。
「…」
「…」
沈黙が訪れる。
「私も」
沈黙を破ったのは歌乃だった。
「私も、…好き」
と言う歌乃言葉に、お腹辺りから頭の先に、嬉しさが駆け上がってきたような感覚がする保。
「え、…マジで?」
「…うん。…よろしくお願い、します」
「うぅ〜っわ…。良かったぁ〜…」
とベンチの背もたれに寄りかかれるだけ寄りかかる保。
「脱力しすぎでしょ」
と笑う歌乃。
「いや、マジ。フラれたらどうしようかって思ってたから」
「どうしようって?」
「いや、気まずいでしょふつーに」
「まあね?」
「マジで良かった」
と言いながら背もたれの上部に首を乗せた状態で空を見る保。
「良かったね」
と言う声に、背もたれの上部に首を乗せた状態で顔を歌乃のほうに向ける保。
すると歌乃も保同じように背もたれの上部に首を乗せており
歌乃も保のほうを向いており、目が合い、その状況に2人で笑った。
〜
「って感じなんですよぉ〜」
と思い出してニヤける歌乃。
「なにそのラブコメ。なんてタイトル?読むわ」
と言っているセリフと全然合っていない表情をする愛凪。
「なんでそんな嫌そうな顔してんの」
と笑う菫。
「いや、もう青春のキャパ溢れたわ。…え?あ、そうか。中学の話か」
「そだよー」
「めっちゃ高校生でイメージしてたわ」
「私も」
「にゃははぁ〜」
「え。本須さん、うたちゃんって中学のときからこんなん?」
「う、うん。変わんないかな」
「うわぁ〜。リア充オーラ強すぎてムカつくわ」
さすがはバカップル。歌乃とほぼ同じタイミングで
同じように付き合ったときのことをルイに向かって話していた保。
「いやぁ〜…。最高だね。だからある意味ルイはオレたちのキューピットだな、うん。ありがとな?親友よ」
と言われた当の親友はというと、付き合った当時の話に入った瞬間
…。この話何回すんだよ
と思っていた。そう。保がルイに、歌乃が那緒に付き合った当初のことを話すのは
もう何度目なのか数えられないくらいの、ギャルゲーや乙女ゲーでいうところの突発型イベントなのだ。
スキップしてぇ〜…
と思っているうちにルイは
「…寝てやがる」
寝ていた。