熱が出た後は

渡辺の頭を誰かが撫でる。おでこに冷えピタが貼られる。

モゾモゾと渡辺が動く。

遠くでシャワーの音が聞こえる。

渡辺はだんだん意識が浮上してくる。冷たいペットボトルが頬に当たる。

渡辺ー照、冷たい。

岩本ーどうだ？具合は。

渡辺ー頭痛いし、寒い。

岩本ーまだ熱上がるな。

渡辺ー悪いな。

岩本ー病院行くか？

渡辺ー寝てればいい。

岩本ー俺は晩ご飯食べるけど、翔太どうする？何か食べる？

渡辺ーいらない。

岩本ーじゃあ、寝とけ。

渡辺ー照、おかえり。

岩本ーただいま。

渡辺ー寝る。

渡辺は岩本のベッドで、シーツを頭から被り眠りについた。

たびたび、渡辺は頭痛が酷くて心配した岩本が、そういう時は家に来いと言っていた。

だから鍵を持っている。

渡辺も、何もない家に1人でいるのは心細かったから、ありがたく鍵をもらい、寝て岩本の帰りを待っている。

目黒ー岩本くん？翔太くんは？

岩本ー寝てる。頭痛持ちだから、頭痛いらしい。

目黒ー熱は？

岩本ーまだ計ってない、起きたら計る。

目黒ーよくあるの？

岩本ー昔に比べたらだいぶマシになった。

目黒ー食事は？

岩本ー出来ないからな、ひたすら寝てる。

目黒ーお大事にって言っておいて。

岩本ーありがと。言っとく。

渡辺はひたすら寝てる。

岩本は、後片付けも済んだし、渡辺の様子を見に行った。

アイスノンを持ち、冷えピタを持ち、そっと寝室に入る。

タオルを巻いたアイスノンを頭の下に入れ、冷えピタを交換すると薄っすら目を開ける。

渡辺ー気持ちいい。

岩本ー熱計ってないな？

渡辺ーん。

岩本ーはい、計って。

渡辺ー・・。

ﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟ〜

岩本ー38.4か、病院行くか？

渡辺ーいや。

岩本ー下がらなかったら行くからな。

渡辺ーん。

岩本ー目黒がお大事にだって。

渡辺ーん。

岩本ー寝るか？

渡辺ー寝る。

岩本は渡辺の頭を撫でる。

軽くキスして寝室を出た。

岩本はリビングでトレーニングを始めた。

２時間くらいトレーニングをして、寝室に向かう。

渡辺の脇に体温計を挟み、風呂の用意をしに行った。

岩本ー38.6、上がってんじゃん。 翔太、病院行くから。

渡辺ーやだ。

岩本ー熱上がってる。

渡辺ー・・。

岩本ー行くぞ。

渡辺ー着替える、気持ち悪い。

岩本ーこれに着替えろ、風呂止めてくる。

岩本は軽く汗を拭き、渡辺に服を着せ替えさせる。

渡辺の服もあるが、片付けてあるので、岩本の服を着ている。

ちょっと大きいけど、これくらい大丈夫だと思う。

岩本は電話をかけている。

いつも同じ病院に行く。

今夜も、渡辺を連れて行くからと言っている。