「やっほー岩ちゃん!今日もはっやいねー!及川さん惚れちゃう⭐︎」
クソ川。今日も今日とてうるせぇ。
「いいから着替えろボケ!もうすぐ監督きちまうぞ!?」
「えまじ!?そんな時間!?」
あたふたあたふたどっしんばったん…慌てすぎてすっげーうるさい音を立てながら準備しだす及川。
及川の方からはいろんな音がする中、色んな方向から機械音に似たものが聞こえてくる。
「…なぁ及川。換気扇か何かつけたのか?」
「そんなの付けてないけど…どしたの岩ちゃん?」
「…いや、なんでもねぇ。」
気のせいにするにはかなりはっきりしている。なにより及川の声よりも主張が強いんだから聞き違えとかじゃないと思う…が、
「ほら岩ちゃーん。遅れるだなんだ俺に言ってる癖にいわちゃんが最後なんじゃなーい?」
「あ?うっせーわクソ及川!」
これもしかして…耳鳴りか?それなら少し休んだほうがいいか…?
いや、しばらく様子みよう。後で限界っぽかったら勝手に抜けるようにしとこ。
練習…あと2時間か。
それならたぶんこのセット分終わったら休憩…いけるか。特に頭痛とかはないから大丈夫か。
でもちょっと座りてーな、このセットはよ取ったろ。んでついでに敵チームの松川達負かせたる。
「岩泉さん一本ナイッサー!!」
「ここ切るぞ!」
トッ…ドカッッ
くっそ、サーブトス低かった!?
「チャンボチャンボ!!まっきー!」
「あいよ!」
ドカガンッッ!トッッ!
「ナイスレシーブ国見ちゃん!」
「っ…先輩!」
「センター!!」
「岩ちゃん!」トスッ
スカッ、、…ドタッ
…あれ
から、ぶった?しかも俺今そのまま尻餅ついて…
「えちょ、!岩ちゃん!?」
「どどどどうしたんすか先輩!?」
「あー、わり笑ちょっとジャンプふらついたわ笑せっかくのチャンボだったのにすまんな。」
くっそ、今の衝撃で耳鳴り酷くなってる。ふらつくまでは無いけれど周りの話がぼやついてきた。空中でのバランスが崩れるのも当たり前か。
「次はきめr」
「岩ちゃん」
あ、?
なんだお前小学校の時みたいな拗ね顔見せやがって。そんなに不満かよ
「…なんだよ及川。決めてくれなかったから拗ねてんのかよ。」
「無理してるよね。岩ちゃん」
「はぁ?別にしてねーけど?」
まずい。別に今無理してるかどうか聞かれるとそうだとは言えない。ただ違うとも言えない。時期を見て抜けようとしていたから実際無理をしている。けれど今条件反射で否定しちまった。及川はこういう体調ごとにはめざとい。隠してたりすると後々うだうだ言ってくるんだよなめんどくせぇ。
「んじゃ次かんっぺきに打ってみなよ。それで大丈夫だったらなんも言わないよ。」
なんだよそのためす見てーな言い方。
「ったりめーだろ!?俺がいうのもなんだけどよ、一回のミスにそんなねちっこくなるのかよお前!?」
「ちょ、落ち着け岩泉!いつものクソ川口調どこやったんだよ!?」
花巻がとめにくる。けど正直何を言ってるのか分からない。あぁもうムカつく。
「…ちょっと一瞬外行く。」
「おい岩泉!?」
くそ、くそくそくそくそッッ…!?
まじで自分にイラつく。つーか不調すら否定しちまうのおかしいだろ普通。相談すべきだろ。
こんなんが副主将なのまずいだろ青城。そら白鳥沢に負けるわ、、くっそ。
「あー、くそうるせぇ…」
はぁ、、耳鳴りがおさまらねぇ。そいでもって9月の風とかいう地味に寒い風で耳冷えてずきずきする。
とりあえず顔を水で洗っておこうと思って体育館の横で座り込んでいた体を立てる。
一瞬ふらつく。水道までの距離感が掴めない。
少し歩いてみる。でもすぐ倒れそうになって立ち止まってしまう。
「先輩。」
後ろから誰かに手を掴まれる。矢巾だった。
「…どうした矢巾。トイレか?」
「なにふざけてんすか。今俺いなかったらギリ倒れそうでしたよ」
「そんなことなんねーよ」
また否定してしまう。周りには体調すぐ言えっていう割に自分は頑なに言わないのは本当に副主将失格なんじゃないかと思う。
「別になんでもいいですけど、とりあえず中入ったらどうっすか。顔色やばいですし手の冷たさ異常ですよ先輩」
「…」
確かに今すごく寒い。耳ないんじゃ無いかってぐらい感覚がない。でも音は鳴り続いてる。耳からじゃなくて脳から音がする感じで。
「、わかった。練習止めてすまん。」
「別にいいです。それより及川さんが拗ねます」
結局すねんじゃねーかよクソ川
「岩ちゃぁあーん!!」
入った瞬間及川が飛びついてくる。頭にたんこぶ二連があるあたり松川にやられたんだろう。
「あいつら酷いの!?岩ちゃん外行ってから酷いことばっか言ってくんの!!」
「…おー。すまんかったな。」
「え、いわちゃ…え何今あやまっ、え?」
…言うなら今だな。
「いや…体調悪いの、俺まじで隠してたっていうか、その、」
「えまじで体調悪いの!?俺の見間違いかと思ってあせっちゃったじゃん!?」
「いや及川とりあえずそんなことはいいから」
「岩泉今どんな感じだ?頭痛か?」
「いや、耳鳴りっつーか、キーンっていう音がどんどん大きくなって音が聞こえなくなってきた感じ」
「…貧血じゃねーかよ!?ちょ早く休め!帰れ!今すぐ!right now!!」
花巻が最近習ったんだろうなという感じの英語を頭の悪そうな発音で言ってくる。
「いや、ちょっと横になるだけで治りそうだから大丈夫だって。休憩だけもらえねーか?」
「岩ちゃん…無理は?」
「してねー。ちゃんと自己分析してる。」
「ならいいけど。」
みんなは10分ぐらい休憩をとった後すぐ練習に戻った。
俺は端っこにあるソファーに横になってんだが、あいつら全員が全員おれにジャージを善意で使えって言ってくるもんだから断れずに今俺はジャージで溺れそうになってる。
「…次からちゃんと言おう。」
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