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※しろまち付き合ってる設定
私が通っている学校は校則が緩く、私服登校OK、メイクOK、髪を染めるのもOKな現代に合わせた自由な校風で有名な高校だ。
今日は待ちに待ったハロウィン。
丸一日授業がなく、朝から仮装をしたりお菓子を交換したりなど自由な日だ。
そのため私も仮装をしている。
私の仮装は猫の仮装をしている。
これはじゅうはちお手製で徹夜して作ってくれて、プロもびっくりするぐらいの超力作となっている。
元々は猫耳をつけるだけでいいと思っていたのだが、どこからか聞きつけたじゅうはちが駆けつけてくれたのだ。
お蔭で本当に可愛いい姿になれて、せんせーにも見てほしいと思い、 トイレで着替えてすぐにせんせーのいる教室へと向かう。
教室を開けると日直のため最後まで残っていたせんせーが1人ぽつんと窓の施錠をしていた。
今すぐにでも見て欲しくて声をかける。
「せーんせ!」
「ん?まちこ?」
くるりとこちらに振り返る。
すると私を見た瞬間にせんせーは固まった。
「どうどうせんせー?かわいい?」
呆然としているせんせーの前でスカートを持って、くるりと回ってみせる。
だがせんせーは眉を寄せ、不機嫌を隠さずにいる。
「….まちこさ、その格好でここまで来たわけ?」
「うん。トイレで着替えて、歩いてここまで来たよ」
「最っ悪」
「ええっ」
大きな溜め息を吐くと、こちらに近づいてくる。
最悪なんて言われたのか分からず困惑していると、頬を掴まれる。
「ここまでその格好で来たって言ったよな?」
「う、うん」
「てことは教室の前もその格好で通ることになる」
「そうだね」
「他の男にもこんな可愛い格好のまちこが見られるとかムカつくに決まってんだんだろ」
そう言われてようやく、せんせーが何に対して不機嫌になっているのかを理解した。
確かに普段の制服よりは少し足も出ているし、腕も露出している。
そんな姿を他の男に見られたことに対して、怒っているらしい。
「ご、ごめんなさい、以後気をつけます….」
「うん そうして」
そこまで考えていなかったことを深く反省して謝ると、せんせーは頬を摘んでいた手を離すと、くしゃりと頭を撫でてくれる。
どうやら許してくれたようで安堵する。
「で、今日はハロウィンなんだろ?お菓子いらないの?」
「え、せんせー持ってるの!?欲しい欲しい!」
「はいはいw」
そう言うと、すぐ近くの机の上にあったキャンディを口に放り込んでくれる。
「ほい」
「わーい おいしいねこれ」
ころんと口の中でキャンディを転がすと、甘い苺の味が広がっていく。
せんせーが最近よく食べているもので、とても甘い良い香りがする。
「で、俺には?」
「えっ?」
「まちこは俺にお菓子くれないの」
「着替える時にお菓子は荷物になっちゃうから全部じゅうはちに預かってもらってたんだった…」
服の事だけを考えていて肝心のお菓子のことを忘れていた。
あーあ、せっかくのハロウィンだったのに….
てっきり「なにしてんだよ」と言われると思っていたら、何故かせんせーは唇で麗な弧を描く。
そして次の瞬間には、視界がぶれていた。
気が付けば私は押し倒されていて、目の前には整いすぎたせんせーの顔がある。
「あ、あの、せんせー….?」
「trick or treat お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ」
「え、」
「もしかしてこれも忘れちゃってた? お菓子がないなら悪戯してもいいよな」
確かに私はお菓子をあげられていないし、理論的にはそうなるのかもしれないけれど。
これは想像していた悪戯と、大きく違う気がしてならない。
せんせーにしっかりと掴まれた両手も、鼻先が触れ合いそうな距離にある顔も、何もかもが熱を帯びていく。
「お、お菓子が食べたいなら、後で持ってくるからー
「返してもらうからいい」
どういう意味だろうと思った瞬間、せんせーとの距離はゼロになっていて、唇が重なっていた。
突然のキスに戸惑う間もなく、せんせーの唇が開く。
同時に「返してもらう」という言葉の意味も、ようやく理解した。
慌てた時にはもう、遅くて
「….っ」
慣れない感覚に、びくりと身体が跳ねる。
いっぱいいっぱいになって抵抗するも、しっかりと押さえつけられていて、逃げられそうにない。
「はっ…んぅ♡」
それからは頭が真っ白になってしまって、解放された時にはもう、何も考えられなくなっていた。
「…..あっま」
満足げに笑うせんせーの舌の上には、小さくなった真っ赤なキャンディが載っている。
羞恥で耐えきれなくなった私は押し倒された状態のまま、せんせーから視線を逸らす。
「も、もうやだ…..」
「嫌じゃないだろ」
口角を上げたせんせーは、私が本当は嫌だなんて思っていないことを分かっているに違いない。
でもその通りなので素直に頷いてしまう。
せんせーは「まちこのそういうとこ、かわいい」なんて言って楽しげに笑っている。
そして私の頭についた猫耳を指先でつつき、せんせーは柔らかく目を細めた。
「かわい」
「…..い、いまそれ言うのずるくない!?//」
「だってまちこ、なんだかんだ拗ねるし」
「拗ねないよ!それと、その、そろそろ離していただきたいんですけれども…..」
「無理」
それからもせんせーは解放してくれなくて、しばらく甘い悪戯は続くことになる。