「直ちゃん。そろそろ飯食い」
神々廻は目の前で黙々とスケッチブックに向かう直を見て、ため息をついた。
最初はちゃんと箸を持っていたはずなのに、いつの間にか鉛筆に持ち替えている。
「……」
返事なし。
直はひたすら紙に何かを描き続けている。
神々廻が頼んだ定食、直が頼んだオムライス。
どちらもほぼ手つかずのまま。
「(……またか)」
絵を描き始めると周りの音が聞こえなくなるらしい。
完全にスイッチが入った直は、食事そっちのけで 無心に鉛筆を走らせていた。
―カリ、カリ、カリ、カリ。
鉛筆の音だけが、心地よく響く。
「…………」
しばらく直を眺めていた神々廻だったが、やれやれと言わんばかりに自分の定食を食べ始めた。
直が食べる気がないなら、放っておくしかない。
「南雲やったら無理やり食わせるんやろうけどな」
ぼそっと呟きながら、味噌汁を啜る。
しかし、ふと直の手元を覗くと、描かれていたのは―。
「……俺?」
思わず眉を上げる神々廻。
そこには、 自分がご飯を食べている姿 が 妙にリアルなタッチ で描かれていた。
「(なんで俺描いとんのや)」
「俺のことスケッチしてる場合じゃないやろ」
苦笑しながら直の頭を軽く小突く。
「飯、食えって」
「…………」
直は ピクリとも動かない。
完全に 没頭している。
「……まったく」
神々廻はため息をつきつつ、直のオムライスを一口すくう。
「せっかく頼んだのに冷めたらもったいないからな」
そう言って、勝手に食べ始めた。
それでも、直はやはりまったく気にしていないようだった。
「(ほんと、変な奴やな)」
そう思いながら、神々廻はもう一口オムライスを食べるのだった。
コメント
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さいこう、、😭😭💞💞