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本日、世界初のA級ダンジョンスタンピードが発生しました。
しかも、南半球の3カ国同時に発生しています。
ウルグアイのモンテビデオA級ダンジョン
南アフリカのケープタウンA級ダンジョン
オーストラリアのキャンベラA級ダンジョン
スタンピードが発生した都市は、すでに甚大な被害を受けています。市民の避難についても、追いつかず、かなりの被害が出ている模様。
発生各国の国防および探索者協会が、現在対応していますが、収束の様子がなく被害がさらに広がっているとみられています。
発生各国は、世界探索連盟に協力要請を提出した模様で、強国からの応援が期待されています。
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その夜、今回の世界同時多発A級スタンピードを議題として、世界探索連盟(WSF)にて緊急臨時理事会が開催されていた。
WSF議長国のアメリカ合衆国大統領が議長となり、WEB会議にて理事会が進行している。
日本合衆国からは、首相の宗方銀次郎、探索大臣の藤堂美咲、副大臣の白石茉莉花、そして、なぜか副大臣(仮)の橘颯、早見咲夜の5名が参加していた。
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緊急臨時理事会の数時間前に時を戻そう。
俺と早見さんは、藤堂さんからの連絡で首相官邸に緊急招集された。
その会議室にて関係者一同がすでに集まっている。今回、招集されたメンバーは、かなり限定されているとのことであった。
総理大臣 宗方 銀次郎
防衛大臣 堤 忠勝
防衛副大臣 進藤 豊
探索大臣 藤堂 美咲
探索副大臣 白石 茉莉花
探索副大臣(仮)橘 颯
探索副大臣(仮)早見 咲夜
日本探索者協会会長 狩野 素子
日本探索者協会特別顧問 竜崎 宗一郎
俺と早見さんは、一番最後に来たので、沈黙の中に入っていくと、すごく目立ってしまった。
「おい!なぜ、(仮)が来るんだ!」
「進藤!黙れ!俺がー呼んだんだ!
文句があるなら、お前がー出て行け!」
「そうそう、防衛省こそ、今回は不要じゃないかしら?」
「黙れ!藤堂大臣!お前みたいな若造がでしゃばるな!」
「あらそう。なら参加する意味があるということね。楽しみにしておくわ。」
「とにかく、俺が招集したんだ!参加者は俺が決める。黙って聴けー!」
険悪なムードの中、議題が進行する。
来たくなかったな〜。
「今夜、世界探索連盟緊急臨時理事会が開催される予定だが、その前に我々日本合衆国の方針を決める必要がある。そのために集まってもらった。
まずは、現在の状況を伝えておく。
白石探索副大臣!」
「はい。3カ国で発生したスタンピードのうち、ウルグアイの状況ですが、すでに隣国のブラジルから国防の応援と上位A級探索者の派遣を決定し、すでに討伐に参戦しているとのことです。
その他、アメリカ、メキシコも上位A級探索者の派遣を予定しているとのことです。
これにより、ウルグアイについては、一番早く収束に向かうのではと予想されています。
続いて、南アフリカの状況ですが、隣国に強国がないのですが、エジプト、ナイジェリアから上位A級探索者の派遣がされている模様です。
その他、フランスも上位A級探索者の派遣を予定しているとのことです。
こちらは、予断を許さない状況ですが、対応方針は決まっている状況です。
続いて問題はオーストラリアですが、まだ、他国からの応援が決まっていません。
自国の国防と探索者協会のみでは、防戦一方でオーストラリア全土が焦土と化してしまうのは目に見えてます。
オセアニア地域は、他の大陸への脅威がないため、率先して応援要請を受ける国がない状況です。
議長国のアメリカ合衆国からは、中国への応援を働きかけていますが、検討中との回答のみで進展はありません。予想として応じる気配は無さそうです。
ロシアに関しても無回答を貫いている様子で、こちらも応じる気配なし。
代わって、日本への応援要請がありました。
ここまでが、現在の各国の動きになっています。」
「白石!ありがとう!
ここからはー!総理大臣!宗方銀次郎が説明する!
そこでだ!我々はー!中国と個別に会談をすでに行い、中国に代わって応援に応えた場合に、常任理事国入りに賛成をすることを条件として交渉した!もちろん、ロシアの説得も含めての条件だ!
中国はそれを飲んだ。よって、日本合衆国としてオーストラリアへの派遣を実行することを理事会で提案する。
後づめは、アメリカ合衆国が行うことで、こちらもアメリカ合衆国大統領と合意済みだ。
異議のあるものはー!挙手してくれ!」
「ちょっと待て!他国に自衛隊を派遣することは、そんなにすぐには出来ないぞ!
国会での決議が必要だろうが!」
「だから言ったじゃないの。防衛省は、今回、何もできないって。」
「グヌヌ。それじゃ、探索省はどうするんだ?言ってみろ!」
「それを決めるんじゃないの。邪魔者は退散してほしいわね。」
「何をー!くそー!堤大臣、どうしますか?」
「進藤さん。こうなったら、我々は無関係だ。責任は総理と探索省が取ってくれるだろう。
もう、退散するとしよう。」
怒ったまま、堤大臣と進藤副大臣は、会議室を出て行った。
「相変わらず、防衛省と探索省は仲がよろしくないのね。見てて楽しいわ。」
「素子も参戦していいぞ。がはは。」
「ふふふ。それは美咲に任せるわ。私も会長ですからね。そういう振る舞いを覚えたのよ。
それで、探索省の案は?」
「A級探索者を派遣するつもり。ただし、魔物の種類と規模を考慮した結果から言うと、今の日本のA級探索者で対処可能なのは、6人しかいないわ。」
「そうでしょうね。そのうちの1人がそこの橘颯くんということね。」
「さすが、素子さん。わかってるわね。他の5人もわかってるんでしょ。」
「そうね。会長ですからね。
橘くんのグループの5人でしょう?」
「ちょっといいか?」
「お!竜崎!お前がー!発言するなんて珍しいなぁ!なんだ?」
「宗方、うるさいぞ。
お前が、橘颯だな!」
「はい、橘颯です。」
「その5人に麗奈も入ってると思うが、万が一のとき、お前は娘を守れるのか?」
わ!眼力が!でも、そらしちゃダメ!
って言うか、俺はすでに行くことが決まってるの?拒否権は?
…………。
「宗ちゃん。大丈夫よ。あなたの知らない秘密があるのよ。ふふふ。」
「そうか。で、お前はどうなんだ?」
はぁ。もう、行くしかないんですね……。
なんで、ここの人はいつも事後報告なの?
「はい!危なそうだったら、俺一人でやりますから。大丈夫です。」
「よし。ならいい。お前に預けよう。無事に帰国した際には、お前を全面的に支援することを約束する。ただし、万が一の場合は、お前をこの世界から抹殺するからな!覚えておけよ。」
「は、はい!必ず、無事帰国します!」
とほほ。事後報告なんですけど。
「じゃあ、それでいいわね。
咲夜ちゃん!他の専属担当に連絡しておいてね。現地の様子によっては、颯ちゃん以外は待機にするから、心配しないように。
わかったわね!」
わ!強制の眼だ!これいつもの強制のやつ!
「は、はい!承知いたしました!」
「あと、素子さん!颯ちゃんの必要なものは協会で準備してあげてね。探索省持ちよ。」
「いいわよ。なんでも用意してあげるわ。探索省持ちでね。」
「あれもいけるわよね。高速浮遊移動艇。」
「いけるわよね。どうやって持っていくかは知らないけど、準備はしておくわ。」
「ふふふ。ありがと。」
「それじゃあ!これで会議はー!終了だ!
美咲、白石、橘、早見は残ってくれ!
理事会には5名でー参加する!よろしく!」
「俺、外国語わからないんで、辞退していいですか?」
「颯ちゃん。大丈夫よ。このイヤホン付ければ、全部の言葉が日本語で聞こえるから。
各国の参加者全員がイヤホン付けてるから、もし、喋る時も日本語でオーケーよ。」
「はぁ。そうですか……。」
このあと、連盟理事会に突入していく。
すごく場違いだと思うんですが。なんで?
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