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✦「……しんのすけ、倒れるってば……!」
放課後、誰もいない教室。
風間くんは帰り支度をしながら、窓の外をぼんやり眺めていた。
そこへ、後ろからしんちゃんの低い声が落ちる。
「今日、あの先輩と話してたの、なんだった?」
「生徒会の仕事の確認だよ。普通のことだろ?」
しんちゃんは無言で近づき、
机に手をついて風間くんを囲い込む。
ドンッ 壁ドン
「……、やめろよしんのすけ。」
「やめねぇよ。気になったんだもん。」
◆ 逃げようとした瞬間
風間くんは少し横へ避けようとしたが、
しんちゃんが前に回り込んで止める。
「逃がさないって言ったろ」
「逃げてないから……ちょ、ちょっと近いって……」
しんちゃんの手が風間くんの腰に触れて、
後ろへ軽く引いた。
その勢いで——
風間くんの足が机の脚に軽く当たり、
ふらっとバランスを崩す。
「うわっ……!」
しんちゃんが反射的に腰を抱き寄せる。
ガタンッ!
二人はそのまま机の端に半分倒れ込む形になった。
◆ 倒れたまま、動けない
しんちゃんの片腕は風間くんの背中、
もう片方は机を支えていて、
完全に逃げ道が塞がれている。
「……しんのすけ、どけ……!」
「無理。危なかったんだから」
しんちゃんはむしろ抱き寄せる力を強める。
「オレが支えてやってんのに文句言うなよ」
「文句じゃない……近いんだよ……」
倒れた体勢のまま、
風間くんはしんちゃんの胸に押しつけられる形で顔が上げられない。
耳まで真っ赤だった。
◆ しんちゃんの声が落ちる
「今日さ……ずっとモヤモヤしてた」
「急に何……」
「トオルが先輩に笑ったの、見た。」
「……っ」
しんちゃんの指が風間くんの顎をそっと持ち上げる。
「その顔、他に向けんなよ」
「……ほんとに、嫉妬深いな」
「お前限定だよ。」
距離が一気に縮まる。
壁ドンどころじゃなく、
腕の中に閉じ込めてる。
風間くんは反論しようとしたが——
しんちゃんがさらに押し寄せたせいで、
机の上に軽く押し倒される形になる。
「ちょ、しんのすけ……倒れるって……!」
「倒してんのはオレだよ?」
◆ 逃げられないキス
しんちゃんは風間くんの両手首をそっと掴んで、
頭の上で軽く押さえる。
逃げ場がなくなった風間くんの瞳が揺れる。
「……離せよ」
「離すわけないだろ」
しんちゃんがゆっくり顔を近づけ、
「トオル」
名前を呼んだ瞬間、
風間くんの呼吸が止まる。
「好き」
そのまま、ふっと唇が触れた。
倒れた体勢のまま、
風間くんは抵抗できず、
しんちゃんの胸を軽く掴むだけ。
しんちゃんはその手を包んで、
深く甘いキスを落とした。
◆ 落ち着くまで離れない
キスがほどけると、
風間くんは息が上がっていた。
「……バカ。学校だぞ」
「だから、誰もいない時間にしたんだろ」
「……あんた、ほんと強引すぎ」
しんちゃんは風間くんの前髪を軽く撫でる。
「トオルが可愛いからだよ?」
「言うな……」
しんちゃんは笑って風間くんの額に軽くキスする。
「もう逃げんなよ」
「逃げないよ……最初から。」
風間くんは小さく答え、
しんちゃんの胸に頬を寄せた。
しんちゃんは腕をそっとまわし、
倒れたまましばらく離れなかった。