この作品はいかがでしたか?
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「お邪魔します……」
寝ているであろう彼を起こさないように、静かにりうらくんから借りた鍵を使って扉を開ける。
リビングの電気は消えており、自室があるであろう場所の扉から光が少し漏れていた。
何気に付き合ってからないこさんの家に上がったことは初めてで、少しドギマギする。
めちゃくちゃないこさんの匂いするし。
「いや違う違う。洗濯とご飯……」
ここに来た本来の目的はないこさんの看病なのだ。
頭に過った邪なことを咄嗟に振り払い、洗面所に向かった。
洗濯機の中は衣服は少なく、タオルなどが多めに入っていた。
これは、着替えてない感じかな。いや、あの人のことだし服着てない可能性もある。
タオルが多いのは、汗拭いたり、濡らして額に当てたりしたからだろう。
そんなことを考えながら洗剤をトレーに入れていく。
スイッチを押して洗濯は取り敢えず完了。
食事は買ってきたので、渡すだけ。
レジ袋を持ち、ないこさんの部屋の前に立つ。
やばい、なんか緊張してきた。
恋人の部屋なわけだし。
もしかしたらまだ寝てるかもしれないし。
もしかしたらもしかすると、熱とかで甘えてくるかもだし、!?
そんな小さな期待を胸に、覚悟を決めて扉を開いた。
「あ、らんらん来てたんだ。やっほー」
「え」
そこにはベッドの上でパソコンをいじっているないこさんの姿があった。
「寝てください」
「え、やだ」
「寝てください」
「嫌だ」
「寝てください」
「もう元気だし」
「本調子じゃないとか言ってたのはどこの誰ですか?」
「うぐ……」
「寝てください」
釘を刺す用に言えば渋々とパソコンを閉じるないこさん。
この人はどこまで活動熱心、というか社畜なのだろうか。
「食欲はありますか?ゼリーとか買ってきましたけど」
「お、ありがとう。食べる食べる。」
フルーツゼリーの蓋を剥がし、スプーンで掬ってないこさんの口元まで持っていく。
ありがとう、とスプーンを掴もうとしたないこさんの手を避ければ困惑する彼。
「ちゃんと寝てなかった罰です。はい、あーん」
「え、ちょっ!?」
ないこさんの声はフル無視して、再び口元までスプーンを持っていく。
ないこさんは数秒視線をあちこちに飛ばし、その後、頬を少し染めながら口を開き、スプーンを咥えた。
もぐもくと動く口元に愛おしさを覚えながら、どんどんゼリーを掬っていく。
暫くして、ゼリーを食べ終わったのでスプーンや容器を洗いに台所へ向かう。
「寝てくださいね」
「もう分かったって、w」
「体調、完全に治るまで仕事は控えてくださいね」
「そ、れは……、頑張ります……」
歯切れの悪い返事に苦笑しながら、部屋の扉を閉めた。
「まぁないこさん意外と元気そうだし、もう帰りますね」
「看病ありがと、らんらん」
「ちゃんと寝てくださいね?」
「もう何回言うのそれw」
呆れ気味に笑うないこさんに少し苛ついて。
「本当に心配なんですよ、」
そう言って、額にキスを落とした。
いつも余裕そうな、ないこさんの顔が赤くなっていくのはいつ見ても飽きない。
暫くその表情を見つめ、そろそろ帰ろうかと立ち上がろうとすると、袖を小さく引かれた。
「口には、してくんないの?」
唇を触りながら、そう言ったないこさん。
正直、めちゃくちゃキュンとしたし、めちゃくちゃ混乱した。
けど、その混乱を表にしちゃカッコ付かない。
そう思って、聞こえるんじゃないかってくらいうるさい心臓を落ち着かせて、
「治るまでお預けです。」
そう微笑んだ。
家に帰ってめちゃくちゃキスしたくなったのは言うまでもない。
※桃桃がXくんで絡んでたので衝動書き。
コメント
1件
初コメ失礼します😭 尊い、全てが尊い... 語彙力失うほど尊いッッッ♡ なんて言うんだろ、心情?ですかね まぁそんな感じのやつの書き方が凄く上手くて上手くて...私には絶対書けない書き方なので憧れます😭