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第7話:家行ってもいい?
⚠️前回に引き続きりょつぱ要素があるかもしれません。ご了承ください。
Hrt視点
あの後、目が覚めると涼ちゃんが俺の向かいのソファに腰かけ、呆然としていた。
Hrt「りょう、ちゃん」
この人が、俺の知っているよく笑い、常に優しさをまとった藤澤涼架だろうか。
まるで魂が抜けたかのように、優しさを孕んだ瞳には光が入っておらず、まるで抜け殻だった。
Hrt「りょ、涼ちゃん」
割れ物を触るかのように、声をかけても反応しない涼ちゃんの肩に触れる。
ビクッ
Ryok「ぁ、なんだ……若井かぁ…」
Ryok「ぉはよ、よく寝れた、?」
Hrt「ご、ごめんッりょうちゃ、俺…元貴が倒れた時なんにもできなかった…ッ」
Ryok「なぁんで若井が謝るのさ。謝んなくてもいいんだよ。」
Ryok「これは誰も悪くない。前若井が言ってたでしょ?僕も、若井も、元貴も、誰も悪くないって。」
Hrt「で、でも…ッ」
Ryok「はい!もうこの話終わり!これ以上謝ったら僕怒るからね。」
涼ちゃんに上手く話を終わらされ、俺の口からは何も言葉が出なくなる。
どうしてこうも、俺は無力なんだろう。
Ryok「もう、今日は解散だって。なかなか元貴も起きないし。」
Ryok「先生も、何かあったら僕に連絡してくれるみたいだからさ。」
そう言って涼ちゃんがフラフラと立ち上がり、荷物をまとめ始める。
その背中は、いつものライブを盛り上げる頼れる背中ではなくて。
いついなくなってもおかしくないような、そんな背中だった。
‘’この人を、今一人にしては行けない。”
無能な俺でも、そのぐらいは分かる。
Hrt「ねぇ涼ちゃん」
Ryok「んー、?」
Hrt「涼ちゃんの家、行ってもいい?」
Ryok「ぅんー……、ぇ?」
Hrt「お邪魔します」
Ryok「どうぞー…、僕の家お酒とかもなんにもないのに…」
Hrt「いいのいいの。俺は空気だと思っといて」
Ryok「思えるわけないでしょ……」
俺が家に行ってもいいかと聞くとかなーり嫌そうな顔をしていた涼ちゃんだったが、
「ひとりじゃ寝れない」だの
「明日寝坊する気がするから」だの
適当に文字を並べて粘りに粘り、渋々家にあがらせてもらった。
Ryok「若井先お風呂入るー、?」
Hrt「いや、涼ちゃんの後でいいよ。この家の主は涼ちゃんなんだし。」
Ryok「じゃあお言葉に甘えて……」
そう言って涼ちゃんがお風呂場に向かう。
朝慌てていたのだろうか。部屋には脱ぎ捨てられた服が散乱し、机の上にはゴミが散らかっていた。
の、割には机の上やシンクに食べ終わった食器が放置されている訳でもなく、食器だけは綺麗にきっちりと揃って置かれている。
Hrt「…もしかして朝からなんにも食べてないのか、?」
もし朝から何も食べていないとするなら、絶対に少しでも食べさせなければならない。
Hrt「涼ちゃんが風呂入ってる間に何か作っとくか…」
なにか食材は無いかと冷蔵庫を覗かせてもらう。
Hrt「…なんもねぇじゃん、」
大きな冷蔵庫のはずなのに、その中には何もない。
Hrt「近くにコンビニも無いしなぁ、」
今からスーパーやコンビニに買い出しに行くのには時間がかかるし、何より今は夜中。
Hrt「ホットミルクでも作っとくか、」
冷蔵庫から牛乳を取り出し、食器棚から1番手前にあったマグカップを手にとる。
Hrt「あれ、これ俺があげたやつじゃん。」
かなり昔に俺が誕生日にプレゼントしたインコ柄があしらわれた割とシンプルなデザインのマグカップ。
実は、このマグカップを買った時、こっそりこのマグカップの猫柄をお揃いとして自分用に買っていて、今でも愛用していた。
元貴もつい最近涼ちゃんにコップをプレゼントしていたし、てっきり奥底にしまわれていると思っていたけれど。
まさか、今でも使ってくれているなんて。
無意識に口角が上がりそうになるのを抑え、マグカップに牛乳を注いだ。
Ryok「ふぃー。ごめんね若井、お先」
Hrt「いいよいいよ。ね、涼ちゃん、こっち来て!」
Ryok「ぅえっ?!ちょちょ!」
お風呂上がりの涼ちゃんの手を引き椅子に座らせる。
Hrt「俺が髪乾かしてあげる!」
Ryok「ぇ、?いいの?」
Hrt「もちろん。ちょっと準備するからこれ飲んで待ってて。」
そう言って涼ちゃんの前にさっき作ったホットミルクを置く。
牛乳の優しい甘さの匂いが鼻をくすぐる。
涼ちゃんは目の前に置かれたマグカップを見て心底驚いているようだった。
涼ちゃんの髪の毛に優しく丁寧にヘアミルクを塗りながら、俺は涼ちゃんに話しかける。
Hrt「ねぇ涼ちゃん。」
Ryok「んー、?」
Hrt「そのマグカップ、まだ使ってくれてたんだ。」
Ryok「……うん。いっぱい元貴や若井からプレゼントは貰ったし、マグカップも頂き物がいっぱいあるけどね、」
Ryok「これだけは、どうしても棚の奥底に大事にしまっておくことができなくて。」
Ryok「…だんだん使ってきてるうちにコーヒーとかの色が染み付いちゃって、ちょっと悲しいけどね。」
そう言って涼ちゃんは大切そうに両手でマグカップを撫でた。
Hrt「……そっか。ありがとね。」
Ryok「んーん、こちらこそ。て言うか、よく若井このマグカップ僕が使ってるってわかったね。最近忙しくてずっと使えてなかったのに。」
Hrt「涼ちゃんの考えることは俺には全部お見通しだからな。」
Ryok「なにそれ笑」
他愛のない会話をしながら、涼ちゃんの髪の毛を丁寧に乾かす。
相変わらず、涼ちゃんのサラサラとした髪の毛は美しい。
ライブ中になびくこの金髪を見ると、俺は涼ちゃんから目が離せなくなってしまう。
どうしてこれほどまでにこの人は綺麗で美しいのだろう。
いつもは「セットが崩れるから」と全然触らせて貰えないけど。
今日だけは、思う存分涼ちゃんを独り占めできる。
こんな幸せな時間がいつまでも続けばいいのに。
Hrt「はい!乾いたよ。」
Ryok「ありがと〜。わ、めっちゃサラサラじゃん!」
Ryok「若井髪の毛乾かすの上手いねえ!」
そう言ってこっちに微笑みかける涼ちゃんの笑顔に、思わずドキッとしてしまう。
普段は見れない、前髪を下ろしノーセットの涼ちゃんの姿。
心臓がバクバクとうるさい。
どうした、今日の俺、なんかおかしいぞ。
Hrt「髪の毛乾かすのに上手いも下手もないでしょ笑」
Ryok「あるでしょ!若井の乾かし方めっちゃ気持ちよかったし!美容師さんみたいだったー!」
目をキラキラと輝かせる涼ちゃんに、また釘付けになってしまう。
ダメだ、自分でも顔が赤くなっていっているのがわかる。
Ryok「若井、暑い?顔赤くない?」
Hrt「ぁ、あー!いや、大丈夫!俺も風呂入って来るね!」
逃げるかのように風呂場へ向かう。
リビングから涼ちゃんの無邪気な笑い声が聞こえた。
Hrt「…まじどうしちゃったんだよ俺、」
この時、俺と涼ちゃんは気づいていなかった。
元貴からの『明日一緒に病院行きたい。』
という連絡に。
まさか、あんなことになってしまうなんて。
おかえりなさい!楽しめましたか?
本当に更新遅くて申し訳ないです😭
いつもアホほど長い文を読んで頂きありがとうございます🥲暖かいコメントも凄く嬉しいです!なるべく文字数減らせるように努力致します……😭誤字脱字ありましたらすみません🙇♀️
では、また次回のお話でお会いしましょう!
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