こちらはnmmnです
理解がある方のみ、お楽しみください
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「さとちゃん、相談乗って!」
そんなことを言われたのは暑い暑い真夏の放課後
好きな人が出来たと報告してきた俺の幼なじみ。俺がこっちに越してきた時から何をするにも一緒で俺達は兄弟みたいだと良く言われてきた。
恋愛なんてめんどくさいと言っていた莉犬だがどうやら好きな人が出来たらしく、相談役を頼まれた。
「で、どう思います」
「んー、いんじゃね?知らんけど」
「もー、真面目に答えてよ!てか聞いてる!?」
「ま、莉犬なら大丈夫だよ、帰るぞー」
「全部適当じゃん!」
正直なところ、全く話が入ってこなかった。莉犬の話す言葉、全てが右耳からはいって左耳へ抜けていく、何を話していたかさっぱり分からなかった。おかしいな、暑さにでもやられたか。
「 あ、さとちゃんアイス買ってこ」
「おーん、俺が買ってやるよ」
「え、まじ!さとみちゃん、好き!!」
…やっぱ、暑さでやられてたわ。
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「アイスありがとね」
「んー、ええよ」
「…俺ね、本気なんだ、初めて誰かを好きになれた気がする」
…
「え、好きな人できたの」
「おい、ほんとに聞いてなかったのかよ!こっちは真剣なのに」
「…分かった。仕方ねぇ、さとみ様が相談乗ってやるよ!」
なんで彼女なんか欲しがるようになったんだか、お前は俺が居れば充分だろ。
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あれから莉犬は俺が相談に答えたことを素直に聞いて好きな奴にアプローチし続けていた。なんて言ったけ、3組の、、まぁ、女子に。好きな人のために頑張るやつは輝いて見えるもんだ。青春してるからか。
正直、ため息しか出ない。
「…なんであんなかわいいんだろな」
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「あー、もう全然ダメだ。絶対俺のこと好きになってくれないって」
「まだまだこれからでしょ、本気で好きになったんだろ?」
「そうだけど、」
「このさとみ様が相談役なんだからもっと自信持てって」
「んー、なんかさとちゃん当てになんなくなってきたな」
「おい、お前相談してる側やぞ。立場を弁えろ」
「さとみー」
突然、クラスの女子に呼ばれ何かと聞いてみると。空き教室にきてほしいという女の子がいるのだと言う。俺は莉犬と話していたかったし、断ったものの、どうしてもと頼まれた挙句、いつの間にかこっちに寄ってきていた、莉犬に行ってこいよと言われてしまい。仕方なく、空き教室へと向かった。
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ドアを開き、分かった。俺を呼び出した人物は莉犬が思いを寄せている人だった。やっぱり来なければ良かったと、後悔したのは今更。
「ごめんね、いきなり呼び出したりして
私ね、前から伝えたいことがあって…さとみくん、私さとみくんのことが好きなの!」
顔を赤らめながら彼女はそういった。嫌な汗が出てくる、だってそんな素振り一回も、
「…俺
声を発した瞬間、ドアの方からとたとたと走る音が聞こえ、一瞬赤色が見えた気がした。
…
「あ、あの!」
「ごめん、俺にも好きな人がいるから」
莉犬の好きな人を蔑ろにしてしまったのは許してほしい。だって、あいつにだけは誤解されたくない。好きなんだ誰よりも、友達だって相談相手だってなんでもいい。昔から俺はお前が居れば充分なんだよ。
なぁ、りいぬ
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「やっぱ、ここか」
「…何しに来たの」
「相談役の次は慰め役かなって思って」
「必要ない…さっさと彼女のとこ行けよ、」
やっぱり、勘違いしているようだ。自分を強く見せようとするくせに声はだんだんと小さくなっていく。
「なんでだよ、莉犬には俺が必要だろ?」
「っ、俺にはもう、相談役も慰め役も必要じゃない!いやなの、!さとみくんに当たってる自分が」
俺も嫌だよ。こんな時にまで好きな人をいじめてる自分が、勘違いさせたくないとか言って矛盾してる。
「そっか、ごめん莉犬俺もお前に当たってたわ。好きな奴がここまで好きな人の幸せを願ってるのが分かって」
「…え?」
「なぁ、りいぬ。俺、あの人と付き合ってないよ」
「な、んで」
「俺は莉犬が好きだから」
「…なにそれ、俺、さとみくんなら許せると思ったのに」
「だめだよ莉犬、俺は莉犬以外本気になれない。まずあの人の名前すら知らない。そんな奴が莉犬の好きな人の彼氏になったって、その人は幸せにならないよ」
「でも、」
「あの人とは付き合えない。だからそんな目で俺を責めないで?俺もお前に本気なのわかるでしょ、莉犬なら」
「俺はまだ…」
「 知ってる、だから。もう、相談役にはなれない。慰め役にもならない」
「好きだよ、莉犬」
ねぇ、まだまだ莉犬には俺が必要でしょ?
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