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じゃり、じゃり、じゃり…
「まったく、いつまで続くんだよこの砂利坂…」
私、レイラーは現在ほぼ垂直に近いような砂利の急坂を駆けあがっています!
え?何かおかしいですか?
という冗談はさておき、本当にどこまで続くんだろうか。
「あーもう!めんどくさいなっ……B級光属性魔術《キラー》!」
自分の中にある魔力を大量に消費し、急坂をさきほどとは比べ物にならないくらいのスピードで駆け上がっていく。
そして、ある程度上ったところで―――進行方向に二つの人影が見えた。
これ、やばいやつ。
そんな予感通り私はその二つの人影にぶつかった。
「「わぁぁぁぁああぁぁぁぁぁあああぁぁぁあああ!?」」
たぶんタヒんではいない。はず…いまさら怖くなってきた。
キラー状態を解除し、砂利坂にスライディングしながら停止する。
入学早々やってしまったなと思いつつ服の砂埃を払った。
「というわけで申し訳ありませんでした……っ!」
はい。私は今砂利坂にツインテールが中間までつくくらいのお辞儀をしてます(?)
そこで頭がつかないのは柔軟力がないせい―――ってそんな無駄なことは置いといて。
目の前にいるのは砂でところどころ茶色くなった二人の少女。歳は私と同じくらいだろう。
一人は、黄緑色からピンク色にグラデーションになっている髪の毛を後ろで大きなポニーテールにした少女。
もう一人は、ピンク色から水色にグラデーションになっている髪の毛をロールツインテにした少女。
緑髪の少女はあわあわとしており、ピンク髪の少女はツンっとした雰囲気を纏っている。
「まぁ、私たちに怪我もないし許してあげるわ。これ以上こんなことしないようにだけど…」
ピンク髪の少女が落ち着いた口調で話す。
「かこちゃん、責めちゃだめだよ?!」
緑髪の少女が慌てて『かこ』と呼ばれたピンク髪の少女の口元に手を当てる。
「ちゃあこ、これは責めてるんじゃないわ。そんなに取り乱すなんて御茶屋家の長女としてどうかと思うわよ」
『ちゃあこ』と呼ばれた緑髪の少女がうなだれ、そしてキリッと顔を上げた。
「あのっ、話変わりますが新入生ですよね?私たちもなんです!」
私は絶句する。何故分かったのだろうか?
「何故分かったのだろう?そんな顔してるわね。これが私――御茶屋菓子の魔術なのよ」
御茶屋菓子と名乗ったピンク髪の少女はその場でくるりと一回転して見せた。
その一挙手一投足で心をつかまれるような感覚に陥る。
呆気に取られていると、緑髪の少女のほうが自己紹介を始めた。
「わたすは御茶屋茶子です!わたすが姉で、菓子ちゃんが妹。御茶屋家の双子の姉妹なんです!」
「改めまして御茶屋菓子よ。以後お見知りおきを。ちゃあこは不器用な姉ですが仲良くしてくださいね」
二人は丁寧にお辞儀をした。貴族が使う上品なお辞儀だ。
「あ、えっと…私はレイラーといいます、田舎出の庶民ですがよろしくお願いします」
私は不器用にカクカクしているであろうお辞儀をする。田舎者なので仕方ない。
「よろしくね!レイラーさんっ!」
「よろしくお願いするわ」
私は、ちょっと不思議な姉妹と共に寮へと向かう急坂を上っていった。
Next Episode…紫電の少女の寮生活