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オリジナルの結婚証明書、良すぎます!すごいです🙌✨ ♥️くんが仕事出来お母さん過ぎて🤭このシリーズの影の主役感ありますよね!笑
まとめて見させてもらいました 神ですね😇✨💕
すみません作者様のお話大好きで、以前から読ませていただいてて、なんなら何回も読み返したりしてて🥹 今回のお話も控えめに言っても最高です!大好きです❤️結婚式いいですね✨というのを伝えたくなりコメントしてしまいました💦
誕生日の次の日、雑誌の仕事を終えた後
「二人とも、メイクは落とさないで。次の現場そのまま行くから。」
「「次の現場?」」
このままこのスタジオで別の雑誌の撮影じゃなかったっけ?
「元貴、場所変わったの?」
涼架の言葉に、元貴は頷いた。
「時間限られてるし、急ぐよ。」
何故か元貴の運転で郊外の緑豊かなところへと連れてこられた。
「降りて―。」
言われるままに降りると、そこは森の中にポツンとたつ西洋風の真っ白な教会があった。
「涼ちゃんはこっち、若井はあっちの部屋へ行って置いてある服に着替えてきて。」
「「??」」
スタッフさんが一人もいない、俺ら三人だけ?
元貴に言われた部屋に入ると中には黒いタキシードが置かれていた。
何の撮影するんだろ?と思いつつ着替えて部屋を出ると
「え・・・?」
同じタイミングで涼架が白いタキシードを着て出てきた。
「かっこいい・・・。」
涼架の呟きが聞こえ、なんだか照れてしまう。
「涼架もかっこいい。いつもと違うけど、そういうのもいいね。」
二人で照れあっていると、元貴がやってきて俺らを見た
「うん。やっぱり涼ちゃんは白で若井は黒だな。」
本当に何の撮影なのだろう?
「涼ちゃん、ちょっと屈んでくれる?」
「?」
涼架が腰を少し下げると、元貴は手に持っていたベールを涼架の頭にかぶせる。
「花嫁のベールはね、”邪悪なものから守る”って意味があるんだって。」
「「花嫁?」」
「え?そういうコンセプトの撮影ってこと?」
涼架は首をかしげる。すると、元貴はしれっと
「今から二人の結婚式を始めます。」
「「結婚式?!」」
「ちゃんとした結婚式とか披露宴はいつか公表できた時に改めてすればいいよ。俺は今しかないこの瑞々しい瞬間を残しておきたいんだ。」
超ワクワクしている元貴。こうなったらもう誰にも止められないので、俺と涼架は大人しく元貴に従うことにした。
「二人とも指輪貸して。あ、若井は壇上で待っててね。涼ちゃんは音楽始まったら入場するからこっちに来て。」
元貴と涼架は扉の外へ行き、俺は一人壇上に。
ふと見上げると、太陽の光が差し込んでステンドグラスの窓は煌びやかに輝いていた。
多分ここは貸しスタジオとかで、元貴が探して借りてくれたんだろう。
結婚式か・・・。
考えてなかったと言えば嘘になるが
できるとは思っていなかった
元貴が考えてくれた結婚式なら
涼架と一緒なら
俺にとってはこれが”ちゃんとした結婚式”だ
突然スピーカーからピアノの音が流れ始めた。
そしてエレキギターの音がそっと始まり、ピアノの音と混じっていく。
扉が開き、ベールをかぶった涼架がバラのブーケを持って入ってきた。
近づいてきて気づいたが、赤いバラのブーケの中央には青と黄色のバラが一本ずつ。
長年一緒に居るから思考が似てしまったのか・・・。
でも、青と黄色を守るように周囲を赤で固めているところは元貴らしいかもしれない。
涼架は俺の横で立ち止まった。そしていつの間にか元貴が神父のような服を着て、十字架を背に立っていた。
「若井滉斗。あなたはここにいる藤澤涼架を、悲しみ深い時も、喜びに充ちた時も、共に過ごし愛をもって互いに支えあうことを誓いますか?」
元貴の言葉に、俺はもちろん
「はい、誓います。」
「では藤澤涼架。あなたもまたここにいる若井滉斗を、悲しみ深い時も、喜びに充ちた時も、共に過ごし 愛をもって互いに支えあうことを誓いますか?」
「はい、誓います。」
涼架を見ると、ベールに隠れてちゃんと見えなかったがほほ笑んでいるようだった。
「では指輪の交換です。まず若井から涼ちゃんに。」
さっき元貴に渡した涼架とお揃いの指輪が、赤い布を敷いたトレーに乗って差し出された。
指輪を取って、涼架の左手薬指にはめる。同じように涼架も俺の左手薬指にはめる。
いつも右手にしてるから違和感あるけど、この違和感がなくなるようにいつでもどこでも左手に指輪をしたいと思ってしまう。
「では次、誓いのキスを。」
「「え?!」」
メンバーの前で流石にそれはハズイ。元貴も分かっているのか
「唇にはハズイよね。俺も気まずいし。おでこかほっぺでいいんじゃない?」
「涼架のキス顔見せたくないんだけど?」
「ちょっと、滉斗何言ってんの?!」
「若井、ベールアップにもちゃん意味はあるんだよ。ベールは二人の間に障壁があることを表し、ベールを上げることでその障壁が取り除かれ、二人が永遠に結ばれるという意味が込められてんの。」
「じゃあベール上げて指輪にキスで。」
「お好きにどうぞ。」
元貴は呆れたように言ったが俺は割とガチ。涼架のキス顔とか元貴にも見せたくない。
涼架のベールを上げると、顔を真っ赤にして涙が零れそうな涼架が現れた。
「・・・・。」
あっぶなっ。可愛すぎて唇にキスしそうになった。
「若井、今無意識に涼ちゃんの唇にキスしそうになったろ。」
「なんでわかった!?」
「お前分かりやすすぎ。」
「いや、これは無理だろっ。」
「え?涼ちゃんのキス顔俺に見せて言いの?」
「ヤダ!」
「なんだよそれ(笑)」
「もー!早くしてよっ、僕心臓持たないから!」
プルプルと震える涼架。心臓というより涙腺が持たなそうだな。
涼架の左手を取り指輪にキスをする。ポロリと涼架の瞳から涙が一粒零れた。
「さて、最後に結婚証明書にサインをしてください。」
そういって元貴は緑色の厚紙と金色のインクのボールペンを置く。
「俺がデザインした世界に一つだけの結婚証明書。司式者の所には俺がすでにサインしてるから。日付は当日じゃなくて記念日でもいいらしいから涼ちゃんの誕生日にしといた。」
下の方に金色のペンで元貴のサインがしてあった。俺と涼架もそれぞれサインをする。
「これにて、本日の結婚式を閉じさせていただきます。二人の愛がいつまでも続きますように。」
撤収して帰る車の中、涼架はずっと泣いていた。
「涼ちゃん、これから貴方の誕生日パーティーなんだからいい加減泣き止んでよ。」
運転してる元貴は困ったようにルームミラーに映る涼架を見る。
「も”と”き”ぃ~あ”り”がと”う”ぅぅ。」
「あはは、いいよ。俺も楽しかったし。帰ったら撮影してた映像編集して、結婚式ムービー出来たら送るね。」
「すげぇな。5人分くらい仕事してんじゃん。」
「今回のことで、こういう事業を打ち出すのもいいかなって。」
「俺らで試したの?」
「俺がひどい奴みたいじゃん。二人の幸せな姿見て、チーム全体で誰かの幸せのお手伝いできればいいなぁって思ったんよ。」
「そういえば元貴、ベールアップにも意味があるって言ったじゃん?ベールダウンにも意味あるみたいだね?」
「あぁ、そうね・・・。」
この様子だとやっぱ知ってたっぽい。スマホでググった文章を読む。
「えーっと『バージンロード歩く前に母親が娘のベールを下すのは、邪悪なものから守り、清らかな花嫁として送り出す最後の身支度を意味してる』だって。」
「ふふ、元貴やっぱりお母さんだ。」
「二人が俺のことお母さんお母さん言うからでしょ!」
”もー”と言いつつまんざらではなさそうな元貴。いや、諦めたのか?
「あ、そうだ。BGMで掛けてた音楽、アレのデモ音源も後で送るから確認しておいて。式では涼ちゃんと若井に掛けてピアノとエレキだけだったけど、歌とアコギも入るから。」
「BFFみたいに三人だけで演奏するってこと?」
俺の言葉に元貴は頷いた。
「そのうち涼ちゃんのフルートとかオーケストラ系を入れてアレンジも作りたいけど、最初はやっぱり思い出の曲ってことで三人でしたいかな。」
俺と涼架は顔を見合わせた。
このチームで本当に良かったと心から思った。
涼架の誕生日パーティーが行われた。皆の中心にいる涼架はまるで向日葵の様で、あの笑顔に癒される人は大勢いるだろう。
「”俺の涼ちゃん取らないで”って思ってそう。」
隣に座った元貴が小声で言ってきた。
「流石に今日は思わないよ。皆に祝福されてるの見てると、”みんなに愛されてる俺の涼ちゃんもっと見て”って思うし。」
「・・・お前酒入ってる?」
「いや。涼架の誕生日パーティーで粗相するわけにはいかないから飲んでない。」
「素面でそれ?怖っ。」
「元貴が頑張ってくれたおかげだよ。俺今超幸せだもん。」
元貴を見たら、照れたのか持っていたジュースをグイっと飲んだ。
「仕事用のタブレットにさっき話してた曲送ったから、帰ったら涼ちゃんと確認しといて。」
「分かった。」
誕生日パーティーがお開きになり、今日は俺の家に涼架と一緒に帰ってきた。
「そういえば元貴が話してた曲、タブレットに送ったから確認しておいてって。」
「んー・・・。」
羽目を外して飲みすぎてしまったのか、涼架はソファーに横になって眠そうにしている。
「明日にする?」
「聞きたいから、スピーカーに繋いでかけてぇー。」
「はいよー。」
「タイトルは?」
「書かれてないね。」
タブレットの再生ボタンを押すと、Bluetoothで繋げているスピーカーから曲が流れてきた。
イントロはとても静かな、しかし悲しさは感じられないピアノのソロから始まった。そしてエレキの音が加わり、アコギも加わっていく。
一番目の歌詞は、第三者が両片思いの二人にやきもきしながらも微笑ましく見守りつつ、そっと背中を押すようなもの。
二番目の歌詞はただただ祝福を歌っているもの。
そしてアウトロではエレキとピアノの音が溶け合うように終わっていく。
「「・・・・。」」
「僕、勝手にラブソングのバラードと思ってた。」
「まぁ結婚式で使うから悲しい歌ではないとは思ってたけど・・・。」
砂糖菓子のように甘い甘い歌は端的に言うとウエディングソングだった。
「でもこれってさぁ・・・。」
「まぁ、俺たちのことだろうね・・・。」
その瞬間、涼架はまるでアニメのように大粒の涙を零し始めた。
「元貴ぃ・・・。」(இωஇ)ブワッ
昨日と今日とで涙流しすぎて枯れないか心配になる。
とりあえず元貴に『聞いた』とラインしたら着信が来た。スピーカーにして出ると
「もしもし?」
『聞いた?』
「聞いた。涼架大号泣中。」
「うぅ・・・。」
『あはは、涼ちゃんの嗚咽が聞こえる(笑)」
「一応の確認なんだけど、この曲のモデルって。」
『君たちだね。』
「ですよね。」
『本当はジューンブライドに出したかったけど、スケジュール的に無理だった。』
「俺らだってこんだけ忙しいんだから、元貴10人くらいいないと無理だろ。」
『だからレコ自体は落ち着いた頃して、その時期に出すシングルにB面的な感じで一緒に配信しようかと考えてる。んでFCとかでこの曲使った結婚式の投稿募集とかしたらよさげじゃない?』
本当にこの男はどこまで先を考えてるんだろう、
「あの、元貴。」
『なに?』
「色々ありがとう。元貴がいてくれてよかった。」
「ありがと、元貴!!」
『よせやい、照れるだろうが(笑)』
電話を切った後、涼架はタオルで涙を拭きながら
「もう幸せすぎて怖いんだけど・・・。」
「良いことがあれば悪いこともあるって言うからね。」
「もーなんでそんなこと言うの。」
「プロポーズの時言ったでしょ?『厳しい道のりになるのは分かってるけど、涼架と一緒なら乗り越えられると思う』って。」
「うん・・・。」
「悪いことがあっても二人で乗り越えよう。」
「不束者ですがよろしくお願いします。」
【終わり】