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『 グラスの底の嘘 』
桃赫
シャンパンタワーが終わった後のクラブは少し落ち着いてた。
テーブルの上には氷が溶けかけたグラスが並び、甘い匂いが空気を満たしている。
桃 : りうら今日も来たんだ ~
ソファに腰を下ろしたないくんがにやりと笑う。
赫 : だって別に来ないでなんて言われてないし
桃 : 確かに言ってないね ~ てかむしろ来て欲しかったし
その言葉が喉を焼く。
ホストの甘い言葉なんか信じちゃいけない。
分かってるのに心が簡単に傾く。
赫 : ほんとに . . ?
りうらの口から思わず零れたその一言にないくんは真面目な顔をしてりうらの方へ身を乗り出した。
桃 : ほんとだよ ずっと会いたいと思ってた
甘く低い声に耳が落ちる。
触れそうで触れてくれないないくんの指先。
もう逃げられない。
赫 : じゃあ朝まで離れないでね ?
桃 : もちろん 笑
桃 : 朝まで俺と一緒に過ごそ ?
ないくんは笑ってりうらとグラスを合わせる。
澄んだ音が夜に響いた。
りうらは知ってる。
明日にはないくんは別の客の隣で同じように笑う。
でも今は世界に二人しかいない。
ないくんがそっとりうらの手を包む。
それだけで呼吸が深くなる。
この夜が終わってもいい。
ただ一回だけでも君と二人で夜を過ごしたいだけ。
短いけど1時間くらいかかってるので沢山はーとこめんと待ってます✊🏻♡
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