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⚠駄文
…
「…へ?」
放課後終わりの帰り道、双子の景君から聞こえたのは“俺藤士郎の事好きだ。”なんていう言葉。突拍子も無く発された言葉に驚いて素っ頓狂な声が出てしまったけどとてもその言葉は冗談には思えなくて。
お揃いで買った耳に揺れるイヤリングは今も風に吹かれていて、なんだか僕の心の中を写している様だった。
「す、好きってなに、?そりゃ僕も景君の事好きだけど…、」
齢18歳、もちろんずっと共に過ごしてきた景君の事が嫌いなわけがない。ただ、今景君が言っている事と僕が思っている事は少し違う気がした。
「ずっと、ず〜っと、藤士郎の事が好きだったんよ、なぁ、俺と付き合ってくれん?」
「付き合う…って……僕ら家族だよ、?」
血の繋がった双子が付き合うだなんて見たことないし、聞いたこと無い。家族が付き合うのも漫画の世界の中だけだと思っていた。だから尚更僕は動揺している。
「家族だから付き合っちゃいけないのは無いだろ?」
「そりゃ別にない…と思うけど…」
そんなの調べたことないしわかんないよ、なんて勝手に気まずくなって目を伏せて応える。従兄弟が結婚、とか、そういうのは出来るって聞いたことあるけど僕達は従兄弟でもなんでもない普通の家族。血の繋がった双子。
「じゃ、お試しで付き合ってみん?」
きっと景君、クラスの人に変な漫画でも読まされたな、だってあの景君がこんな事言っているんだもの、…まぁでも、お試しで、なら。
…
「と〜じろ〜!!これ、俺からプレゼント〜!!」
「んぁ?お〜〜い、藤士郎はお〜れ〜の!!」
「と〜〜〜〜じろ〜!!!!!!」
…
思ったより、恋人してる。尽くされてる。
かなり恋人してるし、ス◯バに並んでる普通のカップルより恋人してる。
前が仲悪かったわけじゃないけど、前よりもぐんと距離が近くなってたまに意識させられる様になった。僕の景君に対する価値観も少し変わってきて意外と恋人でも大丈夫なんじゃないか、?なんて考えたりしちゃって。
「藤士郎、俺といるのに考え事?」
景君の事を考えていたら本人が顔を覗き込んでくる、家でくつろいで二人しかいないのに無駄に距離が近い。
「景君の事考えてた、ゆるして?」
景君が一番好きで、効く角度で言えば大体の事は許される。これは恋人として過ごしてみてからわかったこと。
「ふ〜ん…、…んね、藤士郎、」
突然子犬の様な、怒られる前の子供の様な声で僕に語りかけてくる。
「お試し、どうだった…?」
…そうだ、これお試しだった、余りにも違和感が無いから何も気にしなかったし、普通に僕も恋人として接していた。一言で言えば“悪くなかった”だけど、僕はそんなツンデレヒロインになる気はない。
「僕ね、景君が恋人でも全然い〜かなって思ったよ。」
本当に、心からそう思った。
「…ぇ、」
「聞いた本人が何固まってんの?」
間抜けな顔した景君が面白くってつい笑っちゃう、大方断られるとでも思ったのだろう、でも本当に景君が恋人でもいいかな、なんて思ってしまったのだ。
「…藤士郎、俺と付き合ってくれますか」
改めて聞かれると恥ずかしいな、そんな真剣に見つめないでよ、顔赤くなっちゃうじゃん、
差し伸べてくれた手を柔く握った。