テラーノベル
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ふと窓の外を見れば、日が沈み、月が空へ高く高く登っていた。それを見てもうこんな時間かとぼーとしてソファに座っていると、ガチャリと脱衣所の扉が開く。そこから出てきたのは風呂上がりのレローゼ…なのだが何故か上着を着ていない。
「なにやってんだよ?」
「部屋に服置いてきちゃってさ〜」
あぁ、忘れたのか。
「ワンちゃんもお風呂入っちゃいなよ〜?もーそろそろ、しらっちも帰ってくる頃だろうし!」
「あー、そうだなァ」
何気ない話をしていると「はっ、くしゅんっ」と寒がってくしゃみをするレローゼに本当に何やってんだかと、呆れて見れば、レローゼの背には食い込んだような痛々しい爪跡が残っていた。その背中に思わず目を見開いてしまう。一体誰に、何を。何とか深呼吸をして怒りを抑える。とりあえずレローゼにしっかり聞くことにする。
「…レローゼ。背中…どうしたんだ。」
「へ?……あ〜!これ?なんだと思う〜!?」
俺の心配をよそに口を大きく開けて笑うレローゼ。こっちは心配してんのにこいつってやつはァ…!
「い、一応!聞いてみた、だけだ…」
こんな時ぐらい、素直になれればまだ可愛げがあるだろうが、生憎と俺には似合わないと諦める。だがレローゼは過大解釈が得意なもので。
「え〜!?心配してくれてるの!?それはうれしーなぁ♡毎日でも怪我しちゃおっかな〜!」
「言っとくけど、わざとは知らねェからな!…別に心配…なんか………」
あーもう、レローゼがこんな元気なら…俺が心配してるのが馬鹿見てぇじゃねェか。なんだかモヤモヤして来てぷい、とレローゼに顔を背ける。レロちゃんみたいに素直になれば良いのに〜☆と茶化してくるレローゼ。つーかお前が素直…??捻くれてるの間違いじゃ…と言いかけた言葉を必死に飲み込んだ俺は偉い。
「んとね、これは〜…」
何かを話かけたのに、ピタリと口の動きを止めた。いや今何か言いかけたろ。いきなり何かを考え込むレローゼを見てぱちぱち目を瞬きしてしまう。するとレローゼが俺を見て口角を上げてニンマリ笑う。
「やっぱり〜教えてあげなーいっ!レロちゃんだけの秘密で〜す!☆」
「はァ!?」
教えろよ!とつい叫んでしまう。
「でもまーワンちゃんがど〜しても気になるなら〜…ひとつだけ、ヒントあげるよ〜!」
「この傷跡は愛のあ・か・しってやつだよ〜!アッハハハハ☆」
「………はぁ?」
アッハハと声を上げて笑うレローゼは、そろそろ部屋に服取ってくるね〜と一言、階段の向こうへ消えていった。
いやそれより最後の…何つったっけ。考え込んでいると「今帰った」と玄関の方から、ましろの姿をしたシラツチが帰ってきた。
「おぉ…おかえり…」
歯切れの悪い返事に疑問を抱かれたのか、如何かしたのかと聞かれた。何でもないと返す前に、シラツチに聞けば分かるんじゃ…?
「…傷跡が愛の証…ってなんだと思う」
「………何だ、それは」
思い切ってさっきの話をシラツチに説明する。最初こそ真剣に聞いてくれたのだが… シラツチの顔が段々眉を寄せ始めていた。
「結論を言ってやる。気にするだけ無駄だ」
「はァ!?」
なんでだよ…!シラツチだって意外とそういうの気にするじゃねェか…!
さっきの爪痕が頭から離れない、堪らず拳を握りしめる。確かに俺は地獄アイテムや難しい事は良く分かんねェ。でもこの中でも力はまぁまぁ強い方なんだぞ。だから…言ってくれりゃ…俺が…。悔しさのあまりぎり…と歯を食いしばる。
「…これでも、俺とレローゼは付きあってんだぞ、」
「レローゼのこと…傷付けられて何で気にせず居られんだよォ…」
思わず涙が零れそうになって、ぐっと堪える。その様子を見て仕方ないと言うようにシラツチが1度しか言わない。と言って耳元でぽつりと呟かれた。
「お前、レローゼにしがみつく事があるんじゃないか?」
「……は?」
言葉の意味が分からず、その場に立ち尽くす。
しがみつく事が…ある?俺が?レローゼに?何で今?
「あ、おい…」
聞き返そうとしても、既にスタスタと脱衣所へ足を進めて行ってしまった。結局レローゼの傷跡も分からなかったし、何よりしがみつくとは。どうしてそのワードが出たのかも分からない。
「……風呂、一番最後になっちまった…」
1771文字
ここまで読んで頂きありがとう御座います✨
コメント
3件
傷跡の正体、分かっちゃいました笑 確かに愛の証ですね🫶🏻心配してるフェン君、優しいし可愛いです! このお話では、😈組が一緒に生活してるんですね!(実際そうであって欲しいな…) 自分が付けたであろう傷跡なのに、心配したり理由が分からなかったりするフェン君、 愛の証である傷跡を自分だけの秘密にしておきたいレロ君、 傷跡の正体が分かっていて2人に対して呆れながらも見守ってあげてそうなシラツチ君、全員が尊かったです🫶🏻💗
これは、なんだかあまり上手くかけなかったような気がします…(*´. . )