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あっぷるぱい
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橘 柚
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番外編
番外編「潔が風邪を引いた日」
朝。
ブルーロック学園、1年A組。
「……あれ?」
凪が教室を見回す。
「潔、いない」
「……確かに」
玲王も時計を見る。
「もうホームルーム始まるぞ」
千切が心配そうに呟く。
「寝坊……かな?」
「いや」
凛が窓の外を見る。
「潔が遅刻するなんて珍しい」
蜂楽がスマホを確認する。
「連絡もないね」
そこへ担任が入ってきた。
「今日は潔は休みだ」
「「「「え?」」」」
全員が一斉に反応した。
「体調不良だそうだ」
「…………」
教室が静まり返る。
そして。
凪がぽつり。
「……大丈夫かな」
玲王もすぐに頷く。
「風邪かな……」
千切。
「昨日は元気そうだったのに」
凛。
「……」
何も言わない。
だが、手元のシャーペンを握る力が妙に強い。
蜂楽が笑う。
「ねえねえ!」
「今日、みんなでお見舞い行かない?」
「「「行く」」」
即答だった。
◆放課後・お見舞い作戦会議
「何を持っていく?」
玲王が聞く。
「ゼリー」
千切。
「スポーツドリンク」
雪宮。
「喉に優しい飴」
氷織。
「プリン!」
蜂楽。
「桃ゼリー」
凪。
「……お前、自分が食べたいだけじゃない?」
玲王がツッコむ。
「違うし。潔が食べる」
「じゃあ俺もプリン買う!」
「玲王、それ俺の」
「お前のじゃねぇよ」
「……」
凛は黙っていた。
「凛は何持ってく?」
蜂楽が聞く。
「……何も」
「えー?」
「必要なものは他の奴が持ってくるだろ」
そう言いながら。
凛の手には、
新品の体温計と冷却シートが入った袋。
「…………」
全員が見る。
「……何だよ」
「いや」
烏がニヤニヤする。
「めっちゃ心配しとるやん」
「うるせぇ」
◆潔の家
ピンポーン。
「はーい……」
少し弱々しい声。
ドアが開く。
「……みんな?」
パジャマ姿の潔が立っていた。
髪はいつもより乱れている。
頬も少し赤い。
「大丈夫!?」
千切がすぐに近づく。
「うん……たぶん」
「たぶんじゃダメ」
玲王が心配そうに見る。
「熱は?」
「さっき測ったら……38度ちょっと」
「38度!?」
全員。
「「「「寝てろ!!」」」」
「わっ!」
潔は驚く。
「ご、ごめん……」
「謝らなくていい!」
雪宮が慌てて言う。
「今日は絶対安静」
「うん……」
潔はしょんぼり。
「みんな来てくれて嬉しい……」
その一言で。
全員の表情が柔らかくなる。
「……まあ」
凛が小さく言う。
「心配だったからな」
「凛……」
潔が笑う。
「ありがとう」
「…………」
凛、撃沈。
◆看病争奪戦
「俺が看病する」
凪が即座に言う。
「いや、俺だ」
玲王。
「僕もできるよ」
千切。
「俺も」
凛。
「僕も手伝う」
雪宮。
「俺もー!」
蜂楽。
「……全員やる気やん」
烏が呆れる。
潔は困ったように笑う。
「じゃあ……みんなでやれば?」
「「「それだ」」」
そして。
なぜか潔の部屋に全員集合。
ベッドの周りに男子が大量発生。
潔。
「……狭くない?」
「狭い」
凪が潔の隣に座る。
「でも帰らない」
「凪……」
「潔が寝るまでいる」
「そっか……」
潔は笑う。
「ありがとう」
凪は満足そうに目を閉じた。
「……看病っていいね」
玲王。
「お前は何もしてないだろ」
◆お薬の時間
「潔、薬飲める?」
千切が水を渡す。
「うん」
潔は薬を口に入れて、水を飲む。
「……ん」
「苦かった?」
「ちょっと」
蜂楽がプリンを差し出す。
「はい! ご褒美!」
「え?」
「食べよ!」
「いいの?」
「もちろん!」
潔はスプーンですくって一口。
「……おいしい」
「よかったー!」
蜂楽は嬉しそう。
それを見た全員。
「…………」
玲王。
「俺もプリン買えばよかった」
凪。
「買ってきた」
「お前もかよ」
◆潔が眠くなる
しばらくすると。
潔の瞼がゆっくり落ちていく。
「……なんか……眠くなってきた」
千切が優しく言う。
「寝ていいよ」
「でも……みんな来てくれたのに……」
「気にしなくていい」
雪宮が笑う。
「俺たちは潔が寝てるのを見るために来たんじゃないから」
「……うん」
潔は布団に入る。
「じゃあ……ちょっとだけ寝るね」
「うん」
「おやすみ、潔」
「おやすみ……」
目を閉じる。
数分後。
「…………」
静かな寝息。
凪が小さな声で言う。
「寝た」
「静かにしろ」
凛が睨む。
「分かってる」
玲王が布団を整える。
千切が冷却シートを確認する。
蜂楽がそっとカーテンを閉める。
みんな自然と声が小さくなっていく。
◆そして一時間後
「……ん」
潔が目を覚ます。
「……あれ?」
目を開けると。
部屋の中にいる全員が静かに座っていた。
「みんな……まだいたの?」
「いるよ」
凪が即答。
「なんで?」
潔が笑う。
「心配だから」
凛が答える。
「……そっか」
潔は少しだけ嬉しそうに笑う。
「ありがとう」
その瞬間。
「…………」
全員の胸が締め付けられる。
熱で弱っているからか。
いつもより少しだけ素直で。
いつもより少しだけ甘えるような笑顔。
「……みんながいてくれて、よかった」
「…………」
凪が顔を逸らす。
玲王が口元を隠す。
千切は耳まで赤い。
凛は壁を見る。
蜂楽は悶えている。
烏は笑いを堪える。
「……何?」
潔が首を傾げる。
「いや」
烏が言う。
「病人のくせに破壊力高すぎやろ」
「?」
潔には意味が分からない。
◆帰る時間
夜。
「そろそろ帰るか」
冴が言う。
「潔、ちゃんと寝ろよ」
「うん」
「水分も取って」
「分かった!」
「明日も無理して学校来るなよ」
「……でも」
潔が少し寂しそうにする。
「みんなに会いたい」
全員。
「…………」
凪が即答。
「じゃあ明日も休んでいいよ」
「なんで!?」
「潔が治るまで俺たちが毎日来る」
玲王。
「それは本当にやりそうだから困る」
千切。
「僕も来るけど」
凛。
「……俺も」
蜂楽。
「俺も!」
士道。
「俺も行くぞ!」
烏。
「全員で押しかけたら病人休めへんやろ」
潔は笑った。
「ふふっ……」
「でも……」
みんなを見る。
「今日は本当にありがとう」
そして。
「大好き!」
「「「「…………」」」」
沈黙。
凪が小さく呟く。
「……風邪引いてるときの潔、反則」
玲王。
「同感」
千切。
「……早く治ってほしい」
凛。
「……ほんとにな」
潔は意味も分からず笑う。
「じゃあ、また明日!」
全員。
「「「「お大事に!!」」」」
ドアが閉まる。
その直後。
全員が顔を見合わせる。
そして――
「……明日も来る?」
「「「行く」」」
結局。
翌日。
潔の家の前には――
大量のお見舞い客が並んでいた。
潔。
「……多くない?」
全員。
「「「普通」」」
潔。
「絶対普通じゃないよ!?」
番外編・完
コメント
1件
みぅ🤍🥀です🥀 潔くん風邪か…しんどいのにみんなの前で笑おうとしてる感じ、すごく伝わってきた。凪が「帰らない」って潔の隣に座るシーンが特に好き。凛くんこっそり冷却シートと体温計持ってきてるの、ツンデレすぎてにやけた。最後の「大好き!」でみんな沈黙するところ、甘くて切なかった…。風邪の日の特別な空気感、丁寧に描いてくれてありがとうございます🌙