テラーノベル
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ヘタカンの狭間
「ドォーン」
1999年12月31日、寺全体に鐘の音が鳴り響いた。21世紀の幕開けである。
「うわっ」
その音の大きさに三男のひろとが母に走り寄る。
「なんだよひろと、まだこんなのも怖がってるのかよ」
次男のかずとがからかうと、
「あんたも一昨年同じことしてたでしょ」
ぎくっ、と言わんばかりにかずとは真顔に戻る。
「まあまあ、はやくあれしよ」
開きなおってかずとが言うと、家族全員で家に帰った。
「おめでとう!」
三男のひろとは言う。
ここまで2回登場した「アレ」というのはめずらしく1月1日生まれの母を祝う誕生日パーティーだ。普段から騒がしいこの家が、さらに騒がしくなる年に一度の日、しかも今回は21世紀最初の日だ。その予想は当たり、終わった頃にはみんな疲れて寝てしまった。
「まさか、私の誕生日パーティーなのにわたしが一番疲れるとはね」
パーティーの後片付けをしながら、思わず母の真由美は呟く。
翌日
「ちょっと、冬休みだけど9時には起きなさい」
「えー、いいじゃん」
「だーめ。 さ、さっさとおきなさい。今日もゆうきくんと遊ぶ約束してるんでしょ。」
パーティーで疲れてまだ眠い目をこすりながら、ひろととかずとは1回に降りてくる。
「お兄ちゃんもこれたらよかったのにね」
しばらくたち、朝食をとっているひろとが言う。
「しょうがないだろ、仕事で遠いところにいるんだから」
「それより早く遊び行くぞ。」
「わかったよ、もう」
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