◇◇◇◇◇
冒険者ギルドを出ると、さっきの絡んできた人たちが待っていた。
マッド:「おー。出て来たな。」
ブラン:「ヒーヒヒ。カモのお出ましだー!」
もう1人:「……。」
マッドとブランの2人にもう1人いた。
マッド:「なあ、坊ちゃんよ。
この街のしきたりでな。
まず新人は俺たちに安全料を納めるってことになってんだよ。大銀貨8枚だ。
それで安心して冒険者が出来る。
そのくらい安いもんだろう。
特に嬢ちゃんはその後もいろいろ教えてやるからよ。」
ブラン:「ヒーヒヒ。金持ってるのは確認済みだぜ。」
いきなりのカツアゲ!しかも全財産!
冒険者ランクはランクが1つ違うと相当の差があると聞いたことがある。
マッドはCランクと言っていた。
リンドウ:「ふーん。また今度ね。」
そう言って、リンドウはリオを連れて立ち去ろうとした。
ブラン:「おい!また今度な訳ねえだろうが!」
マッド:「ははは。随分、肝の座った嬢ちゃんだな。そういう女は嫌いじゃねえ。あとが楽しみだねえ。
ブラン!ちょっと教えてやりな。」
ブラン:「ヒーヒヒ。実は俺はDランクなんだよ。俺は手加減が苦手なんで、死んでも知らんぜ。」
ブランが構えると同時に気絶し倒れた。
マッド:「ん?ブラン。」
と言うマッドも同じように気絶し倒れた。
リンドウ:「あらら。2人とも寝ちゃったわね。」
リオとパーティのもう1人も何が起こったのかわからない。
周りで見て見ぬふりを装っていた見物客も同じように意外な光景に慌てている。
リンドウ:「リオ。行きましょうか?」
リオ:「は!はい。」
リオとリンドウは宿を探しに歩き出した。
マッドのパーティのもう1人は、何も言ってこなかった。
リオ:「リンドウ。あれって何かしたんですか?」
リンドウ:「そうね。当て身って奴よ。見えなかった?」
リオ:「はい、全く。」
リンドウ:「そうね。リオは鍛えないとね。」
リオはリンドウが異常な強さであることに改めて気づいた瞬間であった。
だが反面、その強さに興奮した。
僕もリンドウのように強くなりたい。
世の中の理不尽に対抗できるように。
◇◇◇◇◇
街を歩いていると小さい女の子が声をかけて来た。
女の子:「お二人さん!ここ初めてでしょ?宿は決まってるの?」
リンドウ:「まだね。」
女の子:「おすすめの宿があるよ。案内してあげるよ。」
リンドウ:「リオ、どうする?
案内してもらおうか?」
リオ:「そうですね。」
女の子:「オーケー!じゃあ、ついてきてね!」
◇◇◇◇◇
女の子について来たけど、だいぶ外れに来たぞ。
女の子:「お二人さん!着いたよ!ここだよ!
お母さん!お客さんだよ!」
え?お母さん?
母:「あー!いらっしゃい!
お二人さんだね。ここはヌルメ亭だよ。
食事かい?泊まりかい?」
女の子:「泊まりだよね?」
リンドウ:「そうね。」
母:「それじゃ、2人部屋なら1泊3食付きで1人2500ペロだよ。」
女の子:「ね?安くていいでしょ?
食事もすごく美味しいからね。」
リンドウ:「じゃあ、とりあえず1泊分お願いね。」
女の子:「はい!」
とりあえず宿の確保が出来て一安心。
お金を払って部屋に案内された。
女の子:「ここが部屋だよ。鍵を渡すね。
私はクリム。クーちゃんって呼ばれてるの。
よろしくね。
お母さんはマリムっていうのよ。
お腹空いてるでしょ。食事にする?」
リンドウ:「そうね。」
クリム:「じゃあ、食堂に行きましょ!」
食堂にて食事をいただきながら、いろいろとクーちゃんに教えてもらってる。
ここの食事は美味しい。当たりだ。
クリム:「マッドたちのパーティは最悪ね。
みんな何も言えないから無法地帯なんだよ。」
リンドウ:「マッドとブランの他にもう一人小さい子がいたけど。」
クリム:「あー。あの子は荷物持ちだよ。
教会の孤児院に住んでるよ。
たしか名前は……カランマって言ったかな?
マッドの荷物持ちなんてやる子はほとんどいないんだけど、あの子だけは続いてるかも。
なんか事情がありそうだけどね。」
リンドウ:「そうなのね。」
◇◇◇◇◇
代官の屋敷。マッドの部屋にて。
マッドとブランの兄弟が会話していた。
マッド:「あの女。どうなってんだ。くそ。」
ブラン:「兄貴もやられるなんてな。」
マッド:「うるさい。油断しただけだ。次はあの坊主を狙うぞ。それを人質にして、女も可愛がってやらねえと腹の虫がおさまらねえ。」
◇◇◇◇◇
リオとリンドウは部屋に戻っている。
討伐は明日からスタート!
食事をしてから、リオの防具を揃えに行くも、資金が乏しく皮の胸当てのみ購入。
所持金が76000ペロから46000ペロに。装備は徐々に揃えて行くことにした。
リンドウは装備はすでにデフォルトで大丈夫とのこと。さすがURです。
クリム:「リオ!今ならお風呂入れるよ。
2人一緒に入ってくれると助かるんだけど。」
この世界は魔道具のおかげでお風呂はすでに衛生上の理由で一般的になっている。
宿の部屋付きとなると高級宿になってしまうが、一般の宿は共同風呂は当然付いている。
リンドウ:「クーちゃん。ありがとね。一緒でいいわよ。」
クリム:「ありがと。じゃあ、お願いね。」
リオ:「リンドウは一緒でもいいんですか?」
リンドウ:「もちろん。リオならいいわよ。」
うわー。他の人と入るのは初めて。
しかも、女性と一緒。母親と入った記憶さえないのに、いきなりハードルが高いぞ。
でも、ちょっと嬉しいかも。姉がいたらこんな感じなのかなぁ。
脱衣所に行くと、一瞬のうちにリンドウは素っ裸になった。
リオ:「リンドウ!刀と服はどこに行ったの?」
リンドウ:「ふふふ。装備一式は収納できるのよ。仕組みは不明。私たちはそういうものなのよ。気にしなくていいわ。」
そっか。カード収納と同じ感じなのかも。
というか、リンドウの体ってすごく綺麗。
ちょっと変な気持ちになってきた。
リンドウ:「ふふふ。ガン見してどうしたの?
私の裸に興味が沸いたの?
リオも剣はカード収納して、あとは全部脱ぎなさい。」
そう言われて赤面したが、リオも素っ裸になった。
リンドウ:「あらら。リオも男の子ね。
ほら、入っちゃいましょう。」
それからリンドウに体を洗ってもらって、湯船に浸かっている。
リオ:「リンドウは歳は幾つなんですか?」
リンドウ:「私は17歳よ。たぶん、他の従者も設定がそれくらいになるわね。アースの神の趣味だと思うわ。萌えって言ったかしらね。」
リオ:「そうなんですね。」
リンドウ:「リオ、それ大丈夫?パンパンだけど。」
リオ:「あ!すいません。大丈夫です。」
リンドウ:「そう。きつかったら遠慮しないで言うのよ。」
リオ:「あ!はい。ありがとうございます。」
ん?どう言う意味だろう?
お風呂から上がると、ベッドも一つなので、リンドウと一緒に寝た。
誰かと添い寝するのも初めての体験。
すごく、幸せな気分になる。
リオにとって、すでにリンドウは姉のような存在になっていった。
明日から初めての魔物討伐。楽しみ。
◇◇◇◇◇
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