テラーノベル
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この作品はsxxnでnmmnですご本人様は一切関係ございません。
桃緑♀︎(同棲してます)
薄曇りの朝、窓の外にはまだ街が目覚めきらぬ静けさが広がっていた。すちは寝ぼけたままふわりとベッドから抜け出し、キッチンに向かう。長い髪が肩に垂れ、寝間着の柔らかい布が体にまとわりつく。まるで人妻のような落ち着いた雰囲気を漂わせるその姿に、らんは思わず息を呑んだ。
「…もう起きたの」
無意識に声をかけたらんに、すちは振り向きもせずにニコリと微笑む。
「朝ごはん作ろうと思ってね」
彼女の声は柔らかく、自然体でらんの心に小さな波紋を広げた。毎朝のことなのになぜか今日は特別に胸がざわつく。
らんはキッチンに立ち、コーヒーを淹れる。彼の手は正確に動き湯気が立つマグカップに香り高いコーヒーが注がれる。しかし、視線はついすちの方に向いてしまう。すちは黙々とトーストを焼き、卵を割る。手際の良さや天然、マイペースさの混ざったその仕草にらんの胸は締め付けられた。
「らんらぁん、手伝って?」
すちは自然にそう言いながら肩越しにらんを振り返る。らんは瞬間的に躊躇したがすぐに向き直り、卵をかき混ぜる手伝いを始めた。二人の距離はわずかに近く肩が触れる。らんは心の奥で小さく声を上げた。「…このままずっと、この距離でいたい」と。
朝食をテーブルに並べると、すちは無防備に伸びをして背中を見せる。その柔らかい曲線にらんは思わず視線を落とす。だがすちは気づくこともなく笑顔で「いただきます」と言った。らんは胸の高鳴りを押さえつつ、静かに手を合わせる。
昼間は買い物に出かけた。すちはマイペースに街を歩き、気になるものがあればふらりと立ち止まる。らんはそのたびにそっと手を添え、荷物を持ち、さりげなく体を密着させる。すちはそれに無自覚に微笑むだけだ。周囲の目を意識せず二人だけの世界に浸る時間。
「あ、これ可愛い」
すちは小さな雑貨に目を輝かせる。らんはその横顔をじっと見つめ、心の中でつぶやく。「…可愛いのはすちだよ」
だが、口に出すことはできない。らんはいつも周りを見て空気を読み、自分の気持ちを押し込めてしまう。悪い癖だとすちは言う。
買い物を終え夕方には二人で家に戻る。すちは早速、キッチンで料理を始める。らんは黙って手伝いながらも視線は自然とすちの細やかな仕草に向いてしまう。卵を混ぜる手、トーストをひっくり返す手、何もかもが無防備でらんの理性を削っていく。
「らんらん、味見してみて」
すちはお玉を差し出す。らんはそっと受け取り、温かさを感じた。顔が近づき手が触れる。二人は自然に視線を交わす。心臓の鼓動が耳まで響くようだ。すちはその熱に気づかず、無邪気に笑った。
「どうかな、合格?」
らんは小さく息を吐き、心の中で告白する。
「…合格じゃない、完璧だよ。全部…」
だが口には出さない。まだ今はまだ、すちが自然体でいるこの日常を壊したくないから。
夜、窓の外には街灯が並び柔らかい光が部屋に差し込む。二人はソファに並んで座りテレビを見ながらだらりとした時間を過ごす。すちは無防備に肩を寄せ、頭を軽くらんの肩にのせる。らんの胸の奥が熱くなる。思わず手をそっとすちの手に重ねる。
「…らんらんあったかい」
すちは微笑むだけだがその声にらんの心は揺れる。思わず目を閉じ、香りに酔いしれる。
「…俺だけのすちだ」と、誰にも聞かれない声でつぶやく。
その夜、二人は肩を寄せ合い静かに眠った。何気ない日常の積み重ねがらんの中で濃密な感情となりすちの存在を心の中心に据えていく。無邪気な笑顔、柔らかな仕草、自然に甘えてくる彼女。らんは初めて自分の気持ちを日常の中で実感するのだった。
コメント
2件
うわ、めっちゃ最高、そして書くの上手すぎない!?続き気になります✨