蘭春
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がちゃ
蘭「お、あがったー?、じゃ俺も入ってこよー、っと⋯、。 」
そう言いかけて蘭は俺を見て目を見開いたまま固まった。
春千夜「⋯んだよ、なんか変なとこでもあんのかよ」
不安になってそう問いかけた。
蘭「⋯⋯べっつにー、ただちょっと、服、大きかったかなって思ってー笑」
にやにやしながら蘭が答える。
春千夜「んだよ、そーゆうことかよ⋯。そーでもねぇわ!ピッタリだわ!」
たしかに少し蘭の方が背は高ぇけど!それでも誤差だろ誤差。
蘭「えー?ほんとー?笑、なら良かったー」
今度は声を上げて蘭が笑った。
こいつまじで⋯、。
いやいやこんなことしてる暇じゃねぇんだよ!
春千夜「いいから!さっさとてめぇも風呂入ってこい!」
もしもこれで蘭に風邪なんか引かれたりしたら嫌だからな。
蘭「はいはーい、言われなくても行くよ、えーと、タオルタオル」
あ、そういえば⋯⋯、
春千夜「蘭、⋯」
風呂場に向かおうとしている蘭の袖を掴む。
蘭「え、⋯なに、どうしt、」
春千夜「ふ、風呂⋯っ、先にかしてくれて、その⋯あ、りがとう⋯⋯そんだけ!」
俺は恥ずかしくなって蘭の反応も見ずに、先程まで座っていたソファに向かってあるいた。
ボスッ、
春千夜「⋯⋯、」
あー、やっぱりお風呂上がりだから顔が熱い 。
やっぱお風呂上がりだからな。お風呂上がりだから。
⋯⋯⋯//
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ガチャ、
蘭「春千夜ー、上がったよー」
頭をガシガシと拭きながら蘭が出てくる。
春千夜「おー、⋯」
クッソ、やっぱ風呂上がりもイケメンだなこいつ。
蘭「え、まって、てかもう酒開けてんじゃん」
なんでだよ、と言いたげな顔をしながら蘭がそう放った。
春千夜「いいだろべつに、待てなかった。」
ほんとは、さっき自分で言った言葉が恥ずかしくなってシラフじゃやっていけないから、ってだけだけどな。
春千夜「いいから、早く飲もーぜ。お前のも持ってこいよ。」
蘭「えー、一緒に開けたかったのに。」
なんてブツブツ言いつつも蘭は自分の分の酒と適当なおつまみを冷蔵庫から持ってくる。
春千夜「ん、さんきゅ」
春千夜が蘭に少し微笑みながらいう。
蘭「⋯⋯、どーいたしましてー」
蘭が春千夜の隣に腰かける。
春千夜「⋯」
近っ、⋯、//
ピタリと触れた肩からは、風呂上がりなのも相まってじんわりとした暖かい熱を感じる。
伝わる熱が、その熱を感じ取って早くなる鼓動が、蘭への好きの気持ちを膨らませているみたいでなんだかいつもよりもっと意識してしまう。
蘭「あ、春千夜、口に泡ついてる」
蘭が春千夜の口元に指先を当てる。
春千夜「っ、ぁ、⋯⋯。」
その瞬間自身の体がビクッと跳ね上がったことを感じた。
蘭「え、⋯なに、大丈夫?」
心配そうに蘭が春千夜の顔をのぞきこんだ。
春千夜「⋯⋯んでもねーよ。」
好きの気持ちがバレてしまうのが怖くて咄嗟に目をそらす。
蘭「ふーん、⋯、」
春千夜「⋯⋯」
なんだよこいつ急に黙り込んで。やっぱりさっきの反応はおかしかったか?、もしかして気づかれたんじゃ⋯。
いやそもそも、気づかれちゃダメなんてこと別にねーし⋯。。俺から告白したっていいけど。
けど⋯⋯。
いつの日か聞いた、寝てる俺に向けてくれた蘭の本心。それを今、聞きたい。ちゃんと目を見て。感じて。そして、
それに応えたい⋯、。
春千夜「⋯、」
酒が入ったこともあってか、いつもより思考回路が飛躍していることが自分でもわかった。
あぁーくそ、あれもこれも全部こいつのせいだ!!
なんて思いながら目の前にあったビールの缶を掴みごくごくと飲み干した。
蘭「⋯⋯春千夜。」
ずっと黙っていた蘭がやっと口を開けた。
春千夜「⋯⋯んだ、よ、。」
蘭の方を振り返ると同時に、今まで肩が触れる程だった距離が一気に縮まり、蘭の顔が目の前に写し出される。
春千夜「っ、⋯。」
キス、される。
そう思いぎゅっと目を閉じた。
するとその直後、ふはっ、という楽しそうな笑い声が聞こえる。
春千夜「⋯は、?」
目を開けるとすぐ目の前で笑みが溢れ出すように蘭が笑っていた。
蘭「⋯、ごめんね春千夜、さっきの反応が良かったから、ちょっと、からかいたくなって笑」
から、かう⋯?、
春千夜「⋯⋯⋯。」
そう言われた瞬間、真っ赤な怒りと同時にふつふつとした悲しみが湧き上がってきた。
蘭「⋯?、春t、」
ドンっという音と共に蘭は少し後ろに押される。
春千夜「⋯お前、⋯⋯ふざけんなっ、!」
声を荒らげて春千夜が言った。
蘭「⋯ぇ、あ、⋯?」
蘭は、春千夜から、最近はあまり向けられることの無かった声色に動揺を隠せない。
春千夜「こんなこと⋯こんなこと⋯⋯、してくんじゃ、ねぇよ⋯⋯⋯。」
ふざけんな。許せない。ムカつく。こんなやつ嫌いだ。大嫌いだ。そう思いたいはずなのに、それだけだと思いたいはずなのに。
蘭とキスするということを思い浮かべただけでドキドキしてしまう俺と、こんなことをしてくるあいつとの”好き”の違いに、虚しさ、切なさ、悲しさ。悶々とした気持ちが浮かび上がる。
好き。嫌い。好き。嫌い。
この言葉が何度も何度も頭の中で交差して離れなかった。
あ、ダメだ、ダメだ、やめろやめろ、。。
春千夜「⋯クッソ、クッソ⋯⋯」ぼろぼろ
そんな感情を俺だけのからだで支えられる訳もなく、嫌だ嫌だと思っていても涙が溢れ出てしまう。
蘭「⋯!、春⋯、千夜⋯⋯」
春千夜の目から流れる涙を見て蘭は目を丸くした。
春千夜「⋯⋯⋯⋯かえる。」
涙をふき下に俯きながらそう答えた。
蘭「え、ちょっと、待ってよ⋯急に⋯⋯さっきのがそんなに嫌だったの?あ、それともからかったのがムカついた? 」
春千夜「うっせぇよ、⋯⋯もういい、⋯⋯⋯。」
春千夜は後ろを振り返らず、前だけ向いて玄関へずんずんと歩いた。
振り向いてしまえば、きっと後悔してしまう。
蘭を抱きしめて、好きだ、と自分から愛の言葉を囁けばよかった。と、後悔⋯、してしまう。
蘭「まって!待ってよ春千夜⋯!」
蘭が春千夜の腕を掴む。
春千夜「っ、おまえさ!⋯⋯分かってねぇんだろ、⋯?⋯、俺が⋯⋯なんで、怒ってるか⋯」
そのまま立ち止まって春千夜が放った。
蘭「⋯ごめん、⋯わかんない⋯」
蘭が下を俯きながら答えた。
⋯⋯これでもまだ、何にも、言ってくれないんだな。
春千夜「⋯⋯やっぱり、⋯⋯もういい⋯⋯。」
そういいもう一度玄関の扉に向かい歩みを進めた。
蘭「⋯、っ!」
蘭はもう一度春千夜の腕を掴み、その手を引き寄せ春千夜を後ろから抱きしめた。
春千夜「⋯⋯、はなせよ、⋯」
蘭「嫌だ。離さない。」
より一層春千夜のことを強く抱きしめる蘭。
春千夜「⋯っ、離せって⋯!」
春千夜が蘭の腕を振り払おうとした。
蘭「⋯っ、好きなの!⋯春千夜の事が⋯っ!」
息を飲んだ。
春千夜「⋯⋯⋯、」
蘭「⋯⋯好きだから、 ⋯その⋯⋯⋯確証が欲しかった。だから⋯あんなこと⋯。」
蘭「⋯⋯お前のこと傷つけた⋯、。⋯⋯ほんと、ごめん。」
蘭が春千夜の肩に顔を埋めた。
春千夜「⋯⋯蘭⋯、」
優しく、名前を呼んだ。
蘭「⋯ん、」
春千夜「手、離せ。」
蘭「⋯⋯⋯うん⋯⋯⋯」
蘭が悲しそうに春千夜から離れる。
春千夜が蘭の方を向く。
その瞬間蘭の顔が春千夜の方に引き寄せられ、2人の距離が一気に縮まった。
ちゅ、
蘭「⋯え⋯、」
信じられない、と言うように蘭が目を見開く。
あー、ほんっとこいつ⋯⋯、
春千夜「⋯おっせぇよ、⋯ばぁーか⋯、。」
そう言ってとびきり甘い笑顔を蘭に見せる春千夜。
蘭「⋯ぅ、わ⋯⋯、」
目を見開いたまま少し固まる蘭。
春千夜「⋯おい、⋯他に言うことねーの?」
蘭「他に⋯言うこと⋯⋯?」
こいつ⋯分からないふりでもしてんのか⋯⋯。
春千夜「⋯好き⋯なんだろ、俺の事⋯⋯」
ムッとした顔をして春千夜が言った。
蘭「あ⋯、もしかして⋯」
閃いた蘭が春千夜の顔を見た。
蘭「つ、⋯付き合って欲しい⋯んだけ、ど。」
⋯正解。
春千夜「⋯よろこんで。」
蘭「あー、⋯さいこー⋯。 」
先程のソファの上で手を握り合い、くっ付き合う2人。
蘭「てか⋯春千夜が俺のこと好き⋯とか、まだ信じらんねーんだけど」
春千夜「あ?⋯んな事言ったら蘭が、俺のこと好きだって言うことの方が信じらんなかったわ。」
聞いた時は嘘かもって何度も疑ったしな。
蘭「えー?そんなもんかな」
んー、と悩む蘭に、可愛い⋯そう思った。
春千夜「そーゆうもんだよ。思ってるだけじゃ伝わんねーんだから。」
春千夜「ちゃんと相手と向き合って伝えねーと意味ねぇよ。」
あの時みたいに、寝てる俺に話しかけるだけじゃなくてな。
蘭「⋯そっか⋯。」
蘭が、あ、というような顔をする。
蘭「じゃあ春千夜も言ってよ!」
春千夜「?、なにを?」
蘭「俺のことが好きだって。」
⋯⋯
春千夜「⋯⋯しょーがねーな。」
春千夜「⋯蘭、俺、⋯⋯⋯お前の告白聞いた日からずっと、蘭のことが好きだった。⋯⋯ これでいいかよ⋯// 」
恥ずかしくなって蘭から目を逸らした。
蘭「⋯悪くない。けど、告白聞いた日から⋯って
なに?」
あ、やっちまった。
春千夜「⋯⋯んでもない。間違えた。」
今度は別の意味で蘭から目を逸らす。
蘭「いや間違えたって、んなわけねーだろ。どうゆう事だよ、春千夜。」
まずい、さすがにここでバレるのは今までのこともあって俺が結構恥ずかしい。
こうなりゃ、⋯逃げるが勝ちだ!
春千夜「別になんでもねーよ。あー、喉乾いたわ、水とってくる。」
そう言って、蘭と繋いでた手を離し、キッチンへと向かう春千夜。
蘭「は?、え、ちょ、春千夜!誤魔化すなって。」
それを蘭が追いかけた。
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長らく読んで頂きありがとうございます!
今回のお話でこの物語は完結致します。
今まで読んでくれた人ありがとうございました。
🙏🙏
次回のお話もお楽しみにしていただけたら幸いです🫶💕
コメント
1件
キュンキュンがとまらない、、、♥