狼達の物語
自分はミナ・セレノ。狼族の女王。これを見てるってことは、聞く覚悟があるってことだよね?じゃあ、これから約百七十万種の氏族の中の狼族の物語を教えてあげる。まずは、自分の過去、かな。──じゃあ、話すね。
自分は、研究番号、人造人間零壱七(ゼロイチナナ)として生まれてきた。つまり、誰ともがつながってない。多分。いや、わからない。自分は、誰かのクローンなのか、完璧に新しい物なのか。何もわからない。それで、自分は実験体だったんだ。どんな実験かというと、獣人を作り出すという実験だった。その実験方法は、人間の脳に動物の脳の一部を入れ、尻尾と耳を付けるというものであった。
研究員の話によると、今までは、失敗に終わることが多かったらしい。失敗すると、早ければその夜に脳が侵食され、骨の形が変わり、獣になってしまう。
成功であれば、完璧な人になれる。いつまでも。
成功したら、動物の脳に侵食せれすぎないように、人間と同じく教育をする。
一方自分は、十二回目の夏にその実験をされ、一週間たっても獣にならなかったのである。だから研究員は喜び、油断していた。だが、私が体に違和感を覚え、寝て起きた朝には獣になってしまっていたのだ。だから自分は、研究所では手に負えないと、研究所から追放された。
自分は、何も知らない人間から見ると、どこにも行き場がない犬になってしまった。どこに行けばいいかわからない。自分は、がむしゃらにどこか遠くに逃げた。すると、運良く住宅街についた。ここに居れば人間に拾われるだろう。
だから、ずっと。
ずっと待った。
人間が来た。自分のことをゴミを見る目で見ている。嘲笑っている。捕まった。もがいた。逃げれない。やがて車に入れられた。しばらく経つと自分は寝てしまった。睡眠ガスだろう。そのまま、自分はその人間の家に入れられ、何度も何度も、力を振るわれた。周りの人間にバレそうになったら自分を外に投げた。そんなことの繰り返し、繰り返し。 でも今回は違った。とうとうバレたのだ。今回の周りの住人は優しくて、人間にバレないように保護団体に通報してくれたらしい。すぐに保護団体が来てくれた。人間がいないときに。自分を保護した。ボロボロの自分をつらそうな目で見つめて、優しく柔らかいタオルで包んでくれた。そして、小さいキャリーに入れられ、揺れの少ない車の中で、自分は眠っ目が覚めると大きいケージの中へ入れられた。ちょうどいい温度の部屋だ。とても落ち着く。人間の話を聞いていると、病気を持っている可能性があるみたいだった。病院に連れて行かれた。本当にたくさんの病気が見つかった。皮膚病、肺がん、片足は折れていた。薬をもらって、大体は治った。足と皮膚病は治った。肺がんはまだ治ってない、時間が少ない。
そろそろあの時が来る。“殺処分の日”が。殺処分をしなきゃ、犬がどんどん増えていくだけだから。
人間は今にも泣きそうだ。「あなたと離れたくないわ」と言うように。そんなこと、思われたって、どうにもならない。忘れられたほうがこちらは落ち着くのに。
とうとう殺処分の日が来るみたいだ。小さいケージに閉じ込められた。周りには沢山の他の犬が居た。ダフニー、フィークス、アイリス、マーキア、リスラム、ミリカ、”フローズ、サビア、サイマス、リベス、アベリア、セダム、フェリシア、オクナ、リクニス。
とても思い出したくない。その後うちらはでかい車に入れられて、睡眠ガスで一時的に眠らされた。睡眠ガスから目が覚めたとき、とってもくらい場所へ居た。ケージからは出ている。きっとうちらはここで殺されるのだろうと、思った。でも思っているだけではとても虚しい。だから、くらいなかでも自分は出口を探した。出口を見つけた。でももう火がつけられていた。だから見つけられたのだけど、それでも自分は、一生懸命出ようとした。そろそろ火がゴウゴウとしていた。もう遅いかもしれない。でも、それでも一生命出ようとした。少し開いた。もう少しだ。
なんとか自分が出れるくらいの隙間が開いた。だけど、もう昔んなは焼かれている。皆んなのことを教えなかった。この罪悪感を胸に秘め、外へ急いで出た。すでに右目元はヤケドしていた。周りを見渡すとすぐ近くに森があった。そこへ逃げよう。そこへ逃げたら人間に会うことはない。それにしても、一瞬の出来事で頭がパンクしそうだ。とにかく、遠くへ遠くへ、走り続けた。山の奥底へ。
ここはどこだろう。疲れ果てて立ち止まった時には深い森の中へ入っていた。運良く目の前にはとても小さい湖があった。ここでひと休憩としよう。
周りはとても静かだ。さっきまでは鳥のさえずりが聞こえていたが、急に止んだ。とても嫌な予感がする。するとわおーんと狼の遠吠えが聞こえた。少し近いところだ。ここは狼の縄張りなのだろうか。ならばすぐに逃げなければ。沢山の大きな足音が聞こえてくる。もう近い。四方八方から気配が近づいてくる。
途端にすごくでかい狼達が四匹現れた。自分は恐怖で逃げることができなかった。どうしよう。考える暇もないうちに一匹の狼が近づいてきた。すごくきれいな白い狼だ。四匹の中で一番でかい。全長約五メートル程だろうか。なにか話しかけてきた。「あなた、どこから来たの?」そう聞こえた。人間の言葉だ。おそらく聞き間違えではないだろう。なぜ?なせ人間の言葉が喋れる?普通の狼よりも背も高い。美しさも違う。一番の違和感は角と翼が生えているところだろう。本当に不思議でたまらない。少し混乱し止まっていたが、とりあえず、わんっと吠えてみた。するとその狼はまるで人間のような表情でニコッと笑った。
まるで微笑ましいとでもいうように。するとまた、「そうよね、わからないものね」と言い、「あなた、どこから来たの?」と狼語で聞いてきた。どっちにしろわかっているのだが、話せない。どうしたら良いのだろう。犬語や、狼語は喋れない。言葉を理解することしかできない。なにかを察した狼は「とりあえずついてきて頂戴」とまた狼語で言った。とりあえずついていくことにするが、警戒はしておいたほうがいいだろう。他の狼達は自分に話しかけてきた白い狼について行っている。他の狼は黒いのが二匹と茶色いのが一匹だ。皆、それぞれ単色だ。他の毛色は入っていない。狼のことを見ていると、急に止まった。ついたのだろうか。「ちょっと縄を持ってきて頂戴」白い狼が、オスの黒い狼に言った。するとその狼は「はい。女王陛下」と言った。女王陛下? どういうことだろう。この狼は女王なのか? でも一体何の?
「ここで大人しく待っていなさい」自分に少し脅すような声で言って きた。ここは木の前だ。やはり怪しい。何を企んでいると言うんだ?少し経つと口に頑丈な縄を咥えて黒い狼が戻って来た。「この娘を取り押さえといて頂戴」とても冷たい声で白い狼。自分はすぐに取り押さえられ、木と一緒に手足を縛り付けられた。何をする気なのだろう?考えてる間もなく自分は白い狼に眠らされた。
自分は眠らされたので、何をされているかわからない。とても恐ろしくてたまらない。意識が戻るまで何もできない。次第に意識が戻ってくると、体に違和感があった。少し体がおっきくなっているような、そんな感覚だった。体の痛みも消えている。ずっとその違和感を感じながら意識が戻るのを待っていると、今度は狼達が話している声が聞こえた。「毛色が白いわ、なんてこと」「女王にするのですか? 女王陛下」などいろいろなことが聞こえてくる。喜んでいるのか、困っているのか、軽蔑しているのか、何もわからない。意識が戻ったようだ。体に感覚が戻ってきた。恐る恐る目を開けてみた。そこには眠る前の狼の大きさとは違う。少し小さくなった狼がいた。これは、自分が大きくなったのか、狼達が小さくなったのか。ひとまず狼の話しを聞かなければわからない。「あら、起きたのね!」と自い狼が言う間もなく自分は吠えた。「離せ! 今すぐ離せ!」自暴自棄に吠えたつもりが、なぜか人間の言葉を話せていた。自分は人間に戻ったのか?「あら、そんなに暴れたら怪我しちゃうわよ?」狼はやはり人間のような表情だ。自分は狼に縄を解かれた。今のうちに逃げよう「今のうちに逃げようなんて思ったって無駄よ」自分が行動に出る前に言われた。
察しられてた。そりゃあ、あんなこと言ったんだ、逃げるとわかっているに違いない。自分は困惑し少し止まってしまったが、幸い殺そうとはしなかった。「いい? 話を聞いて頂戴。怪我をさせるつもりはないから」と白い狼が少し焦りながら言った。一体何を考えているんだ。「まずはここに座って頂戴」白い狼が指した場所は木の椅子であった。それに机もある。しっかりと狼が使えるような大きさだ。その光景に少し動揺しながらも自分はその椅子に座った。「あなた、名前は?」名前? 名前ってなんだろう? 研究NOで良いのだろう か?
「えっと、僕の名前はゼロイチナナ、です」少し困りながら言った。「あら? 不思議な名前ね? ゼロイチナナ、なにかの番号かしら?」やはり違うみたいだ。名前、保護してくれた人間は、自分に“フローズ”とつけていたな、その名前でよいのだるうか?「僕の名前、フロース? だと思います、わかりません」「フロース、いい名前ね! でもわからないって、どういうことなのかしら?」白い狼は首を傾げた。なんと答えればよいのだろう。
すこし戸惑っていると、「まぁ、色々あったのよね、無理に言わなくていいわ」と言った。
その言葉にすこし数われた気がした。「ずっとここにいるのも嫌でしょうし、詳しくは私達の栖で言いましょう。
自分は今、狼になり、柄に連れて行かれている。信用してよいのだろうか? でもこの狼達はとても自分に危害を加えるような奴らとは思えない。でも、その油断が一番怖いのである。「あなたはどこからきたの?」ボーっとしていると不意に話しかけられた。すこしビクッとしてしまったが、「僕は、人間が住むところから来た」と返した。「ていうことは、飼い犬“だった”ってことね?」いかにも“だった”を強調してくるな、「まぁ、そうです、飼い犬でした。色々あったんですよ、色々」少し疲れた声で言った。「つきました。ここが私達の“聖域”であり栖です」翼を広げ、誇らしげに言った。「ここが、柄…..」その栖はとても聖域とは言いたくない、いかにも“野良”って感じの全く美しくない洞穴と巣穴が広がっていた。
「あなた、『思ってたのちがう!』って思っているでしょう! 全く、失礼な娘ね!」「あの、たっきから僕のことをむすめと言ってますが、やめていただけませんか?」すこし嫌な声で言った。「あらそう? でもあなた女の子でしょう?」その言葉にとても腹を立て、「女だの男だの! 性別とか関係ないだろ! “僕ば”僕なんだ!」と、しゃがれた声で怒鳴った。「そうね、私ったら、もう」本当にわかっているのかこの狼は、僕は僕なんだ、! 「まぁまぁ、ここに入って頂戴」とりあえず入ろうか、「ここに座ってくれればいいわ」なんとも洋囲でおしゃれな部屋だ。外装はめっちゃダサいのに内装は借じられないくらいおしゃれだ。「ふふ。見間違えるほどにきれいでしょう?」と言ったのでその白い狼の方を見たはずが、人間だった。自分は驚きを限せなかった。「あら、ごめんなさいね、何も言ってないのに急に人間になってたらびっくりするわよね」そういうと、丁寧に説明をしだした。「私達氏族は地位が高いものは天の恵みで人間がいう、魔法を使えるの。
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